ガブちゃんとお散歩
亀です。いつもありがとうございます。
「ダ!ダダダダ!」
「え、お散歩に行こうって?」
俺がガブちゃんにミルクをあげていると、急にガブちゃんが何かを思いついたのか、急に話し出した。
「お散歩かぁ。まあ、天気もいいしなぁ。じゃ、おにぎりでも作っていくかな。あ、あと、ガブちゃんのミルクも持って行こうか。」
「ダダダ!」
「うん、わかったよ。替えのおしめもいるかなぁ。」
「ダ・ダァ・・・・・」
ガブちゃんのテンションが急に低くなった。ごめんよ。
俺は、ガブちゃんを抱いて、背中を撫でた。
台所に行って準備をした。ミルクを用意して、おにぎりを作る。水筒には、水を入れた。よし、準備オッケーだ。
さ、ガブちゃん、用意はいいよ。どこに行きたい?
その瞬間、俺たちは、転移していた。へ?ここどこ?遠くに、銀河の腕が見える。渦状星雲の端だ。なんてことだ。
「ダ!ダダダ!」
ガブちゃんが叫ぶ。次の瞬間、俺たちは、眩い光につつみ込まれた。次の転移だ。今度は、銀河の中心だ。ざっと5万光年か6万光年を一飛びで、来たわけだ。なんてことだ。
「すごいわね。宇宙一早いハイハイかも。」
「ちょっと性能高すぎね。」
「アテナ様、アルテミス様、どうして?」
「偶然よ。私たちは、これから、ある無益な戦いを止めに行くのだけど・・・・」
「あなたたちにも手伝ってもらおうかしら。」
次の瞬間、俺たちは別の場所にいた。
「こ、ここは?」
「だいたいさっきの場所から240万光年ぐらい離れた隣の銀河。」
「まあ、あと5、60億年後に、さっきの銀河と衝突するんだけどね。」
「ダ、ダァ・・・・・・」
ガブちゃんも驚いている。それはそうだ。一瞬にしてとんでもない距離を飛んだのだから。
すると、目の前に、いきなり、2種類の鉄の船が現れて、戦い始めた。
デフレクターシールドがビームを跳ね返している。いったいなんなんだ。
「じゃ、タクト、ガブちゃん、あそこの船に行って、王女を連れてきて。」
「は?どんな王女?」
「その王女、とんでもない美人だから、見ればわかる。その女のせいで、この戦争が始まったのだから。」
「いわば、宇宙版トロイ戦争ね。さしづめ、女はヘレンってとこかしら。」
俺とガブちゃんは、旗艦に飛んだ。
そこには、泣いている女性がいた。確かに美人だけど、うーん。
「お、お前たち、どこから?」「あ、赤ん坊だと?」
俺とガブちゃんは、女性に触れると、近くの星へと避難した。
「こ、これはどういうことかしら?」
「あ、ちょっと頼まれて、連れ出した。」
「ま、また、私を連れ去りに・・・・・この美貌が全ていけないんですわ。私が美しすぎるから、争いが・・・・・。」
「は、はぁ。そうなんですか。」
「あ、あなた。そうなんですかって。お分かりになりませんかしら。私の美しさを、宇宙一の、この美貌を。」
「そうですかねえ。俺、少なくともあなたより綺麗な人、何人も知っていますけど・・・・・。」
「ダダダ!ダ!」
「そうだよね。サーシャの方がずっと綺麗だし、ミリカだって、このおばさんより綺麗だよね。」
「お、おばさん!な、なんたる侮辱かしら!そうおっしゃるのでしたら、見せて欲しいですわ、私より美しいという方を。」
「はあ、ショックを受けないでくださいね。アテナ様、アルテミス様!」
するとすっと2人は降り立った。
その2人を見て、女性はショックを受けた。
「う、うそ・・・・・・・。」
「えーと、見せろっていったでしょ。この方達、神様ですから、いつも外見は完璧ですよ。歳も取らないし。」
ガーンとショックを受けている女。
「そ、そんなわけないわ。神様なんていないし。なんなの。なんで私が負けたの???」
「アテナ様、アルテミス様、どうしましょう。」
「ま、この女さえいなければ、みんな元に戻るから。」
「放っておいて、ピクニックを続けましょう。」
俺たちは、鉄の船を見ると、どうやら、正気に戻ったのか、戦闘をやめて、それぞれ、別の方向に帰っていくようだ。
「ちょ、ちょっとまって。私はどうなるのかしら。」
「うーん、置き去りかな?」
「ダダダ!」
「あ、ガブちゃんが、井戸と、おいしい木の実がなる木を用意してあげろって!じゃ!」
「ま、まって!責任とってよ!」
「はぁ?なんの?俺たち、これから、ピクニックだし!」
「わ、私も連れてけ、いえ、連れてって・・・・・・」
「ダダダ!」
「ガブちゃん、面倒だってさ。」
「そ、そこをなんとか。」
「ま、ちょっとだけだよ。」
俺たちはジャンプした。元の渦状星雲の腕に戻ってきたようだ。美しい光だ。
「ひ、ひぃいいいいい、こ、ここは?」
「えーと、別の銀河の端、かな?」
「ま、まさか。何万光年もさきなのに?」
「簡単なことだよ、このお二方、神様だから。」
「へ?ほ、本当の神様???」
そのまま、王女は凍りついてしまった。おーい、もしもしー!ま、いいか。
「アテナ様、これは、なかが、佃煮です。こっちは、梅干し。」
「私は、佃煮がいいかな。」
「じゃ、私は梅干し。」
「はい、どうぞ。ガブちゃんもミルクね。」
「ダダダ!」
「あの、ちっちゃい恒星を回ってる惑星に、ひょろひょろした生物が生まれるんだけど、こいつらが、悪くてねー。」
「あ、あれは手を焼いたわねー。」
俺たちは和やかに食事をした。終わったところで、猫カフェに戻った。
「おーい、今日は、とめてやるからな。明日になったら、部屋を探せよ。」
「は、こ、ここは、どこ?私はどこにいるの?」
「ここは俺のいえ。」
「わ、私は、まだ、宇宙一よ!」
「はあ?」
「あの2人は神様でしょ!人間じゃないもの!私が人間では、いちば・・・・」
「あら、ご主人様、おかえりですか。」
ミリカが現れた。その美しい姿を見て、王女の口があんぐりあいた。
「こ、この人も女神なの?」
「はぁ?普通の人間だよ。まあ、美しくはあるけど。」
「あらいやですわ。ご主人様。」
そのあと、次々と出てくる女性達を見て、王女は絶望していた。
「ま、元気出せよ。ほら、パンケーキやるから。」
「ダダ!」
ぽん、とガブちゃんが、王女の頭を叩いた。
「ま、負けませんわ!」
「はあ?誰がどう見ても負けてるだろうが!現実を直視しろ!」
「今は負けていてもこれからですわ!」
「まあ、どうでもいいから。俺は疲れたから寝るから。」
「あ、あなた。私をこんな目に合わせて、責任取りなさい。」
「はあ?なんの?だいたい、お前が勝手についてきたんじゃん。」
「カ、カサンドラ。」
「はあ?」
「それが、私の名前です。」
「ふーんよかったね。じゃ。」
俺は、2階に上がった。階下から、うまーいという声がして、カサンドラが飛び込んできた。
「あなた。私のシェフにしてやってもよくてよ。」
「断る!だいたい、生意気だぞ!30位程度のくせしやがって!」
「さ、さんじゅう位!!!」
「そうだよ!何が宇宙一だよ。もっともっと綺麗な人いるよ。アホ。」
「くっ。言い返せませんわ。でももうすぐ28位ぐらいにはなってみせますわ!」
「よかったな。じゃ、俺、寝るから、ドアしめてよ!」
俺は、ギャーギャー言うカサンドラをしめ出して、ドアに鍵をかけた。そして、ベッドに飛び込んだのだ。もうピクニックは、しばらくいいや、と思いながら俺は意識を手放したのだった。
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