若返りの日
亀です。皆様、いかがおすごしですか。すみません。ちょっと短めです。
気持ちいい日だなぁ。俺は、ハンモックタイムを楽しもうとしておりました。ところが、猫カフェの前には、なぜか、全然関係ない人々が並んでいる始末です。なんですかねえ。もう。
「タクト様!お願いです!私も若返らせてください!」「若さが欲しいです!」「タクト様!」
やっと、モテキングの教祖から解放されたと思ったら、今度は若さの神様かよ!
でも、それもこれも、数日前にやったことが原因だったのを思い出しました・・・・・。俺のせいじゃん。だめじゃん!!
「タクト殿!」
「ど、どうしました、タール様、血相変えて・・・・」
「最早一刻の猶予もありませんぞ!」
「は?な、なにがです?」
「王立召喚士筆頭の座を継いでいただくことです!」
「え、えーと、それはお断りしたと思ったのですが・・・・・」
俺は、ポリポリと頭を掻いた。せっかくそのフラグは回避したと思っていたのに、なぜか今日のタール殿は必死だ。
「もう、私もこの通り、じじい。すでに、ガウラン様の召喚を常に行うのも、ギリギリ。そして、リリーが向こうに嫁に行ってしまった今、タクト殿しかお願いできる人がいないのです・・・・・・」
「うーん」
たしかに、タール殿の言うことも本当だしな。国の宝、英雄のガウラン様が召喚できなくなるのもこまるしな。あ、そうだ!
「えーと、そうですね。じゃ、タール殿が召喚を続けられればいいんですね。」
「まあ、そうですが、最早この歳で、続けていくのは不可能なのです・・・・・」
「タール殿が筆頭を継いだのは、何歳の時でしたか?」
「あ、あれは私がレベル50になった時でしたから確か、60歳の若者だった時ではないかと・・・・・」
「・・・・・・60歳が若者かどうかはともかく、その時点まで巻き戻せばいいんですね?」
「は?ま、巻き戻す?ど、どういう意味ですかの?」
「あ、こういう意味です!」
俺は、タール殿を60歳に巻き戻した。タール殿のために、記憶はそのままにして、最新の注意をもって巻き戻した。とはいえ、レベルだけはどうにもならず、レベル50にリセットされてしまったのだが。だが、問題は体力ということなので、なんとかなるだろう。
「お、おおおおおお、し、信じられん!若者に戻った!」
「・・・・60歳が若者かどうかはともかく、若がえりました!」
「あ、ありがとうございます!タ、タクト殿!」
「いや、なんでもないです。これから、筆頭召喚士として頑張って下さい!」
これで、全て厄介ごとがなくなった。そう思ったのは間違いでした。どうもタール殿が若者になった・・・ということが知られて、人々が猫カフェの前に集まったのだ。
「わ、私も若返らせてくだされ!」「お願いいたします!お金ならいくらでも!」
普通の人だけではなく、貴族の人まで、猫カフェの前まできちゃったよ!うーんどうすれば・・・・・。
「ちょっとタクト、あんた、なんとかしなさいよ!あんたのせいなんだから!」
サーシャが怒鳴る。まあわかるけどさ、そういわれても・・・・・、まてよ!
記憶を保ったままこの人数を巻き戻すのは完全に無理だ。でも、単純に巻き戻すのだったら!
俺は外に出て、みんなに叫んだ。
「みなさん、それでは、自分が戻りたい歳をイメージしてください。サクッと、巻き戻します。ただし、効果は1日、それで、もし気に入ったら、戻ってきてください!」
俺は力を込めて、みんなを巻き戻した。
「お母さん、ど、どうして、そんなに若く?」「はあ?あんた、誰?あんたなんて知らないんだけど!」
「ああ、なんとそなたは美しい。」「えーと、どなたです。すみませんが、そばに寄らないでください。」
阿鼻叫喚。どれはそうだ。記憶を保ったまま、巻き戻すのには、いくらレベル300の俺にだって、至難のわざ。単純に巻き戻すと、その歳までの記憶しかないから、とんでもないことになる。ただ1日だけだから、どうにかなるだろう!
そんな風に思っていたのですが、みんなが、困り果てて怒鳴り混んできたので、半日もたたずに、元に戻すことになりました。そして、それからは、誰も巻き戻せと、叫ばなくなりました。
ただ、悪いサーシャが裏で、暗躍して、記憶を保ったまま巻き戻しをしてもらいたかったら神殿に喜捨しろさもなくば、無償で神殿で働けと、うるさく言ったようで、そのお陰か、神殿の人員と収入がかなり増えました。ただ、記憶を持って、巻き戻すのは大変なので、戻しても1、2年です。そのため、相当の寄進をするか、かなり働くことになってしまうため、みんなが、お願いすることはないのが、嬉しいのですが・・・・・。
ま、いいか!
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