のぞみちゃん?の大冒険
亀です。いつもありがとうございます。ゴッドフェス、絶賛爆死中です・・・・・・。
「うなぎ野郎!おめーよー!毎日毎日、俺を働かせやがって!そいで、何人もいる妻といちゃいちゃしやがって!独身の皆さんに悪いと思わねーのか?ええ?」
どんどん俺の中の優しいのぞみちゃんが壊れていく。俺は見えないようにそっと涙をぬぐった。
「おま、俺の苦労を一度でも感じてみろよ!大変なんだぜ。こう見えても。あっちこっち行くしさ。でよ、お前、羨ましいぞ。」
「は?なにがだ?」
「お、お前、モテモテじゃん。俺も一度でいいからもててみたいぞ!」
俺は少し考え込んだ。そうか。俺の欠点は、人の立場に自分を置いて考えることができないところかもしれない。だったら・・・・・・。
「じゃあさ、俺とのぞみちゃんの体を取り替えてみるかい?」
「はあ?うなぎ!そんなことできんのかよ。」
「ああ、前にもやったことあるし、朝飯前だよ。まあ、あとはのぞみちゃんの気持ち次第だけど・・・」
「やるやるやる。俺もハーレム経験してみたい!」
というわけで、サクっと体を交換してみた。
うお、この体、本当にすごいぞ。猫ちゃんになった俺の体もすごかったが、これはその3倍以上だ。角でも生やそうかな、とちょっと錯乱してしまった。
すると、のぞみちゃんが俺の体で呆然と立っている。
「どうした、のぞみちゃん。」
「お、お前、こんなへぼい体で生活してんのかよ!」
「そ、そうだけど。」
「こ、こんな酷い疲れやすい体なら、うなぎが食べたくなるのも道理だな。性能低すぎんだろ!体、おも!重すぎだろ!」
「お、おう。じゃ、俺、届け物するから。まあ、1日限定だし、楽しみなよ。」
「あ、ああ。こ、こんな体の中じゃ、普通にしているだけでも拷問だけど、な、なんとか頑張るよ・・・・・。」
酷い言われようですが、まあ、こんな性能のいい体に慣れていたら、そう感じても仕方がないのかもしれません。それにしても、本気を出せば、ひかりとはいかなくても、音速は軽々越えられそうです。いや、はやいはやい。
「あら、また、お仕事かしら?」「あ、猫ちゃん、こんにちは〜!」「かわいいねえ〜!」
街の人たちも俺に声をかけてくれます。俺はにゃーと挨拶をして届け物をします。風が気持ちいいです。午前中の仕事を終えて、少し街の外の空気を吸いに出かけました。ちょっと本気を出すと、ぐんぐん距離を稼げます。みるみる遠くに見えた山が近くなり、そして、後ろに過ぎ去っていきます。気が付いたら、もう隣の国です。
帰ってくる途中、馬車の車輪が泥にはまってしまい困って立ち往生している家族がいたので、軽く押し出して、サービスで馬車を引いてあげました。
「ねこさんありがとう!」「素敵なねこさん。すごい!」「ありがとうございました!」
俺は、にゃーというと、猫カフェに戻って配達を続けました。配達はあっという間に終わって、やることがなくなりました。うーん。働くのって気持ちいいんだなあ。
どれだけ跳躍できるかちょっと試してみたら、教会の鐘楼に飛び乗れてしまいました。
「あれ?ねこちゃん。どこから来たのかな?」
お年寄りの鐘つきのおじいさんが、俺に話しかけます。俺はにゃーと返事をしておきました。おじいさんは軽く俺の頭を撫でて煮干しのようなものをくれました。おそるおそる食べたら美味しいので驚きました。自分のからだだと、美味しく感じられないのに、この体だと味覚も嗅覚も、いえ、すべての感覚が研ぎ澄まされたような感じで新鮮です。俺は、にゃーと言って、おじいさんに別れを告げて、街をぶらつきました。
するとランちゃんがおかいものをしていたので、手伝いました。
「店長、ありがとうございます。」
「う、うみゃ?」
「ごまかさなくてもいいですよ、わかりますから。」
どうやらランちゃんにはバレてしまったらしいです。どうしてわかったんだろう?
「でも、ねこちゃんの店長もかわいいですね。うふふふ。」
ランちゃんが撫でてくれます。気持ちいいです。いや、ねこちゃんの体で撫でてもらうのが、こんなに楽しいとは!
俺は、猫カフェに入って、俺のからだに入ったのぞみちゃんを探しましたが、どこにもいません。おかしいなと思って上にあがると、悲鳴が聞こえました。
「助けて、どこにいるかなんて知らないよ!」
「うそおっしゃい!タクト、あんたの体に入ってサボリにいったんでしょ!あんたたち何企んでるの!」
「なにもた、たくらんでないってば。やめてくれー!」
部屋に入ると、簀巻きにされた俺の体に入ったのぞみちゃんがベソをかいていた。俺を見つけると、助けを求めてきた。
「た、たすけろ、うなぎ!俺をだしてくれ!」
「のぞみちゃん!一体、なにしたの?縛られちゃって!」
「なにもしてないんだよ、お前と別れたら、すぐこの女ども・・・・女の方々にバレて、簀巻きにされたんだ。それからずっと尋問の嵐だよ、誤解を解いてよ、怖いよ!」
するとサーシャが詰め寄ってきた。
「あんた!なに企んでるの?」
「はあ?のぞみちゃんが、お届け便が辛いっているから、代わってやっただけだぞ!」
「本当かしら、働くのが嫌いなあんたがねえ。ア・ヤ・シ・イ。」
「ところがどっこい、この体だと、働くのが楽しいってことがわかったぞ。俺、しばらくこの体で生活しようかなあ。」
俺がいうと、悲壮な声でのぞみちゃんが俺に懇願し始めた。
「う、うなぎ、いや、うなぎ様、頼むから、やめて。この体へぼいし、疲れるし、だるいしで、死にそうだよ、もう、元に戻して!」
「ふーん。じゃ、もうお届け便で文句言わないんだ。」
「も、もんくなんていうもんか。あれ、俺の天職だよ!元にもどしてくれ、いや、ください!」
そうか、楽しかったけど、じゃ、仕方がないか。
戻ると、のぞみちゃんは、ひゃっほーーーい、と走り回った。
「ああ、この体が一番だ。うなぎ、いや、うなぎ様、俺、もうお前のことバカにしないよ。だって、そんな不自由な体に入れられてるんだもんな。酷い呪いだよな。かわいそうだよ。そんな体じゃ、なにも楽しめないだろ。じゃな!」
シュタっとのぞみちゃんは、出て行ってしまった。
ちょっと笑ってしまった。
「サーシャ、じゃ、悪いけど、解いてくれ。今日は、おいしいご馳走を食べさせてやるよ。」
「それは楽しみね。でも私たちを心配させた罰を受けてもらおうかしら!」
目をギラギラさせた女性たちが近づいてくる。どうして?
「ああ、抵抗できないご主人様も素敵ですわー。」
ミリカ、お前は変態か。
「ああ、店長の匂い、ボクボクたまらない!」
シェールは・・・・・・最初から変態だったな・・・・・・。
そのあと、みんなに死ぬほどちゅっちゅされて、唇が腫れ上がりました・・・・・・。
のぞみちゃんは、そのあと、楽しそうに毎日仕事をしています。俺が、助けた商人の娘さんたちが、ここを探し当てて、のぞみちゃんとすごく仲良くなりました。
俺のおかげだからな。というと、すごく感謝されました。どうやら、娘さんが、のぞみちゃん的には超ストライクだったらしいです。おまえ、ロ・コンだったのか・・・・・・・。まあ、よく考えたら、年相応なのかもしれないけど・・・・
俺は、まだひりひりする唇に、クリームを塗ってのぞみちゃんがだらしなく撫でられるのを眺めました。秋も深まり、葉が赤く色づいたある静かな日のことでした。
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