コサブロー王になる
亀です。いつもありがとうございます。
「タクト殿、このパイサクサクでおいしい!」
ケイトが叫ぶ。仕事で午後いなかったから残しておいたんだけど、喜んでくれてよかった。なぜか、王女様2人も一緒に食べている。王女様方、午後にたべましたよね・・・・・・。マーガレット王女もベアトリス王女も満面の笑みで食べている。よかった。でも太るかもね・・・・・。
「仕事は忙しいのかい?」
俺はケイトに話を振った。
「うーん、話していいのかどうかわからないけど、きな臭いんだよ。」
「妾も聞いたぞ、海上国家が戦争を準備しているんだってな。」
「まあ、そんなこと。許せませんわ!」
まあ、戦争なんか、仕掛ける奴はアホだな。え?海なんかあるの?
どうやら、塩辛くない淡水の大きな湖のそばに位置する国らしい。たまたま、過去の文献から、海と名付けたが海ではないようだ。水もどうやら、日本の琵琶湖程度らしいぞ。それでも大した量だけどな。
え、そいつらが、一番大切な資源である水、持ってんの?じゃあ、戦争する必要ないじゃん。アホらし。
戦争なんかない、そう思っていたことがありました。
「なんじゃと!我が国に海上国家が攻めてきたじゃと!」
ある朝、知らせが王宮から届きました。
「は、つきましては、姫様も、タクト様も、危ないので、王宮へおいで下さいとのことです。」
「あー、いいや。ちょっとさっくり終わらせてくるから!」
俺は、コサブローと、ぴょん子さんを呼んでダンジョンへと向かった。
「おーい、コシチいるかー?」
「はい、ごし人様。いるろ。」
俺たちは、コシチに頼んで、海上国家の軍隊の駐屯地の真ん中に飛んだ。
「な。なんだ、侵入者?」「こ、子供?」「な、なんだ!」
俺は、軍の一番お偉いさんと思われる人のところに行って宣言した。
「さ、お遊びは終わりだよ。帰った帰った。」
お偉いさんは、眉も動かさずに俺に切りかかったが次の瞬間驚愕していた。だって、誰だって剣がいきなり消失したら驚くだろ。
俺は、言った。
「コサブロー、コシチ、ぴょん子さん、こいつらの武器、全部、送っちゃって!」
いきなり3人の姿が消えたと思うと、あちこちから悲鳴が上がった。
「お、俺の剣が!」「ご先祖様から頂いた大切な剣が!」「うわ、き、消えた!」
次の瞬間3人が現れた。
「よう、タクト、終わったよ。」「こっちもなろ!」「終わったであります!」
俺は司令官を見据えていった。
「もう帰ろうか。」
「ま、まだ戦える!全軍、拳ででもいいぞ!相手を叩き潰す気でかかるぞ!」
誰も答えないが、いいや。まだ呆然としてるもんな。
「やりたくなかったけど、この方達を下着にして差し上げて!」
3人が消えたと思うと、周りの兵士たちが下着だけになった。
「お、俺の財布!」「お、俺の鎧!」「王様から下賜された鎧がー!!!!」
気の毒な光景だ。見たくないよな。
時々、無謀な奴らが、俺を襲おうとするが、その都度ぴょん子さんに縛られて、簀巻きにされている。簀巻きが30人になったところで、俺は尋ねた。
「さ、これで、どう?」
「く、俺たちが帰ったら、家族が殺されるんだ!」
「はあ、どゆこと?」
俺が聞くとどうも、海上国家の王が代替わりして、その息子がアホで世界征服を考えて、反対する兵士の家族を人質にしているらしい。
「なんだ、最初にいってよ、ちょっと一緒にきて!」
俺たちは、下着の司令官と一緒に、海上国家の王国へとサクっと飛んだ。
うわ、下品で金ぴかの広間。気色悪。そこにガマガエルが座っていた。
「大臣よ!そろそろ、向こうの国の陥落の知らせが入ることかな?」
「もう少しだと思います。」
「朕、待つの嫌いなんだよね。お前の家族の首、はねてもいいんだぞ!」
そこへ俺たちが現れた。
「お、お前らはなんだ。あ、し、司令官、なんで、お前下着なんだ。朕の前にそんな格好で、お前もお前の家族も死刑だ!」
はぁー、俺はため息をついた。
「コサブローさん、コシチさん、ぴょん子さん。やっておしまい!」
簀巻きにされた、王が騒ぐので、猿轡をした。周りの衛兵もご同様。
「なんか、この衛兵、柄が悪いけど、ほんとうにここの兵隊?」
俺は疑問に思ったので、司令官に聞いた。すると、唾棄しそうないきおいで司令官が答えた。
「いや、こいつらは金でなんでもする心のない雇われものだ。」
「なるほど、で、こいつらが、あんたらの家族を人質にしているのか。」
「ささ、悪いけど、サクっとこの建物のみんなをこの大広間に集めてきておくれ。で、悪い奴らは簀巻きでよろしく!」
あっという間に、みんな集められた。
「さて、これじゃ、公平じゃないから、ちょっと2つの国の王族も集めてもらうか。コサブロー、コシチ、悪いけど、王女様たちと、王様たちを集めてよ。」
驚いたのは王様方だ。いきなり、海上国家が攻めてくると準備していたら、戦争が終わったと聞かされたのだから。
「さてと、この海上国家の王様で次の係累は誰だい。」
「そ、それがみんな、この狂人に拭せられてしまいました。」
「なんてこった!」「酷い」
王様方が頭をかかえる。
「で、では、弟君たちも?」
「残らずみんな・・・・・・。」
確かに狂人だな。俺は、詳細を聞こうと、猿轡をはずした。するといきなり高笑いを始めた。
「くくく、お前使える奴だな。ここに王を集めてご苦労なことだ!」
狂人王が笑い出した。
「世界の半分をお前にくれてやる。さ、みんなを殺せ!俺が王の中の王となろう!」
こいつに感化されているのか、周りの傭兵連中もそうだそうだと叫ぶ。
それに、呼応して、簀巻きになっている奴らも、叫ぶ。うるさい。世界の王様、王様叫んでうるさいことこのうえない!
あ、ダメなパターンだ、これ。王様方も首を振っている。
「海上国家の大臣よ、この国は、何か物資に困ったり、しているのかい?」
「いえ、全く困っておりません。それどころか、この国唯一の水資源がありますので、大変潤っております。」
「だよね。で、ここを抑えられたら、みんな悪い事になっちゃうしなあ。」
俺が考えていると、司令官が跪いて言った。
「我が家族を救ってくださったお礼忘れませぬ。あなた様こそ、王になるにふさわしいお方。」
それがいい、それがいいと王様たちが言い出した。
「いや、私は神の使い。神の使いでは王にはなれない。もしみなさんが許してくだされば・・・・・コサブロー!」
俺はコサブローを呼んだ。
「お前、セリーヌと一緒に、この国をしばらく治めてくれないかい?」
「はあ?タクト、それって?」
「お前が神になって独り立ちできるまで、ここで、みんなの幸せのために働くんだ。」
「うーん、セリーヌに聞かないと。」
「じゃ、連れて来てくれ。」
次の瞬間、セリーヌとコサブローが現れた。
「コ、コサブローちゅわん、こ、ここここは?」
「ごめん、驚かせたね。」
「あ、タ、タクト・・・・殿、そ、それに、王族の方々?これは一体???」
みんなが俺たちを見守っている。
「セリーヌ殿、セリーヌ殿は、ずっと、本によって、皆に幸せを届けてきた。その力を王妃として、貸して欲しい。」
「王妃?だ、だれの。」
「もちろん・・・・・」
「僕の王妃としてさ、セリーヌ様。結婚してください。」
お、片膝ついて、指輪まで。どこから出した?コサブロー!!!
「ももちろんよ。し、幸せ。でもこれって?」
「何、簡単なことさ。みなさんも聞いて欲しい。俺、タクトは神の使い。神をこの世に送り出し、人々を幸せにするのが俺の使命。アテナ様、アルテミス様、ヘスティア様も、俺たちを祝福してくださる。」
皆が、なぜか平伏した。
「この国は、成熟した人々の国家となるまでここにいるコサブローがつとめる。コサブローは、神として、いずれ、セリーヌ様と、旅立つが、それまで100年、200年は、この地に平和をもたらしてくださるであろう。」
俺は周りを見渡した。
「じゃ、かわいそうな軍の人々もよんであげるか。」
「ところで、この狂人と取り巻きはどうする?」
「うーん、最初から、スタートしてもらうか。」
俺は、力を込めて、サクっと、アホどもを赤ちゃんに戻した。
「え、な、何を??」
「あ、巻き戻し。最近覚えたスキルなんだ。」
すると、皆が更に恐れおののいて平伏した。
「やだなー。だれだってできるんだよ、こんなこと、レベル300超えたら簡単だよ。」
「レ、レベル300???」「そんな人間いたか?」「レベルって99までじゃないの??」「か、神様のつかい・・・・・・・・」
ざわざわしてるが、まあ、いいか。
そてて、戦争に駆り出されていたみんなを回収して家族にあわせた。それから三日三晩はお祭りだったそうだ。そうだ、っていうのは、もちろん、俺はパスして、ハンモックに揺られていたからだ。今日は星が特に美しいし。
すると、声がした。
「妾の旦那様は欲がないのう。」「本当でございます。この世界をも手に入れられるのに。」
「いやいやいや。国なんて小さいよ。ほら!」
俺はこの宇宙の終わりを映し出した。星が死んでいく。宇宙の死滅だ。
2人は驚愕している。
「俺の使命は、これを止めることさ。」
俺は、再び、ハンモックに寝転んで、星を見つめた。ただただ美しい星がまたたいていた。
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