まったりの午後
亀です。今回は短めです、すみません。
「秋なのに、暑いなんて変な天気!」
サーシャが伸びをしていった。俺たちは、庭の葉の掃き掃除をしていたのだが、やっと終わってちょっとほっとしている。まあ、放っておいてもいいのだろうが、やはり、見栄えが、ね?
「しかし、今週は、ミケも忙しいのか、全然こないねえ。」
「神様だからこの掃き掃除のこと知っていて、今週は避けたのかもねえ。」
「うーん、ありえる。」
まあ、神様も楽じゃないらしくミケが帰ってくる日も毎日ではなく、1週間に2、3回だ。それでも、神の中には、とんでもなく忙しい地域を任されて、40万年休みなしという神もいるらしい。どんなブラック企業だよ!
「やっと葉を袋詰めも終わったし、コーヒでも飲まない?」
「いいわね。ありがとう。」
袋詰めした葉はとりあえず、後で、土と混ぜて、肥料にするのだが、今日はこれでいいだろう。やれやれだ。
「サーシャの方は、どう?売上?」
「ぼちぼちね。まあ、猫カフェよりはいいけど。」
「うーん。確かに。でもさ、最近メイドカフェの売上がすごいよな。」
「確かに。あ、コーヒーの豆変えた?」
「お、わかる?ちょっとブレンドの配合を変えて新しい豆を入れてみた。」
「ふーん。でもこれだとちょっと癖があるから、前の方が好きな人も多いかもねえ。」
「やっぱりそうだよな。でもこれはこれで、なかなかいいと思ったんだけど。」
「ぴょん子、そういえば、グッズも売っているから、それですごいんじゃない?」
「もう売上、猫カフェの2倍だぜ!」
「マジか?」
「うん。王様も、スカウトしたいっていっていたらしいよ。」
「ひゃー。あいつ、私を超えたわ!」
「確かに師匠はお前だもんな。」
「すごいよね。」
窓の外を俺たちは見た。暑い日だが、白くたなびく雲が、今は夏ではないことを教えてくれる。もう蝉もいないし、夜は虫がうるさいしな。
「そういえば、今日は、ケチャは?」
「あ、そういえば、ケチャとイーダは、街に買い物に出かけてる。」
「何?その組み合わせ?珍しいじゃない。」
「なんでもイーダの新しい服をケチャが選んでやるらしい。」
「えー、やめた方がいいって。ケチャの趣味あんたもしってるでしょ!」
「あー。確かに。ま。いいんじゃない?カントリーガール風のドレスも。」
「イーダには似合わないと思うわよー。」
「そうかな?」
「そうよ。」
俺は、すっと立って、戸棚からパウンドケーキを取り出した。
「どうしたの?これ?」
「あ、昨日作った。でもさ、バターたくさん使っているから1切れだけな。」
「わ、わかってるわよ。でもこれが最高に美味しいのよね。」
俺たちはしばらく無言で食べた。
「でもさ、これ、俺たちが食べたって知ったら。シェールが怒るよな。」
「あいつ、あんたのパウンドケーキに目がないからねえ。」
「確かに。」
「ねえ。」
「うん?」
「もう一切れ!お願い。」
「だめだよ、これ、本当にバターたっぷりだからな。1切れで多いぐらいだぜ。」
「ケチ。」
「そうかな。」
「そうよ!」
俺はコーヒーを入れなおして持ってきた。
「あ、こっちは古いブレンドね。」
「ああ。」
「安定の味ね。」
「だな。」
俺は、外を見た。のんびりだ。
カラン、ドアがあいて、ケチャとイーダが帰ってきた。イーダは、麦わら帽子で、オーバーオールだった。うーん。田舎の少女。
「へへへー店長!どう?これ。ケチャが選んだんだ。」
「ああ、すぐわかったぜ。まこれはこれで。」
ちょっと海賊王っぽいイーダを見て俺は微笑んだ。イーダはちょっと照れている。明日は雨だそうだから、今日中に洗濯終わらせておくか。
また猫カフェにお越しください。よろしくお願いいたします。