ケリーとケイトと王女と俺と
亀です。いつも猫カフェにきていただきありがとうございます。
冒険者飯を一通り売り終わって、やっと一息つけた。どうも、ヒロ君のダンジョンは、お宝がたくさんあるというのと、あの勇者の剣があるというので、大人気だ。まだ、誰も取れてないのかよ!しかもあれ、性能が異常にいい単なる剣だし。
カラン、ドアにつけてあるベルがなる。入ってきた客を見て、おれはうんざりした。
ケリーだ。ケイトもちょっとうんざりした顔をして、猫ちゃんを撫でる手を止めた。
ケリーは、花束を持っていて、タタタタタタ、と一目散にケイトのところにかけていった。
「ケイト様、この私の燃えるような愛を受け取ってくださいまし!」
「ケ、ケリー殿、そのお気持ちは嬉しいが・・・・」
「まあ、嬉しいんですのね。ささ、私を妻にしてくださいまし。」
ケイトが縋るようにこっちを見る。仕方ないな。
「ほらほら、ケリー様、ケイト殿が困ってるじゃありませんか。公務にお忙しい中に、猫ちゃんに会いにきてるんですから邪魔をなさるのはちょっと・・・・・。」
「出たわね!女たらしの経営者!」
「え、お、おんなたらしって、ひ、ひどい。」
「だって、おんなたらしは、おんなたらしでしょうが!」
段々声が大きくなる。やめてくれ!
「なんだなんだ?」「また修羅場か?」「よくやるよな。」
お客さんの小声が俺につきささる。うーん。困った。
「おやおや、どうした。おや、これは珍しい!ケリー伯ではないか。旦那様に何かようか。」
お、王女様!これは助けてくれるのか。
「い、いえ、王女様におかれましてはご機嫌麗しゅう。」
頭を下げ、臣下の礼を取ろうとしたケリーを押しとどめる。
「よいよい、ここは、私の家のようなもの。プライベートな時間にそのような礼は必要ないぞ。」
「は、ありがたきお言葉でございます。じゃ、メグ!あなたの旦那ひどいわ!」
「ほお、ジュディス、どういうことじゃ!」
お前ら知り合いかよ!
「私のケイト殿にデレデレベタベタ!ひどいのよ。」
「ほう、それは許せんの!私というものがありながら!どうなのじゃ、ケイト!」
「い、いえ、タクト殿は、困っていた私を助けてくれだけで。」
「ほお、本当かのう?色目を使ったのじゃないのか?」
「い、いえそのようなことは!」
「まあ、使ってくれて構わん!」
「えええ?メグ!」「王女様?」
「妾の旦那様は、どんどん女性に好かれることで光輝くのじゃ!」
「メグ?」「王女様?」
「ジュディスも、ケイト殿が好きなら、もっともっとアプローチせんとな。まあ、うちの旦那に惚れてしまったら、お主の方を振り向くとは思えんがな。ケイトよ。」
「は、王女様」
「気兼ねなく、旦那様に甘えてくれて構わん。同じ妻として、切磋琢磨しようぞ。まあ、妾が正妻だがな。」
「王女様!」
「ケイトよ、お前もメグと呼んでくれて構わん!」
「わかりました!王女・・メグ!」
ケイトは感極まって泣きだした。うーん、何、この茶番。そのケイトを見るケリーの目は熱い。
「うーん、メグ。じゃ。私は、ケイト様を巡って、あなたの旦那様といいライバルになるから」
「はははは。頑張れ!」
なんだかんだで、落ち着いたようだ。3人は、しばらく同じテーブルについて歓談していった。
ケイトは、騎士団に、そして、ケリーは、ケイトがいなくなったら、ここにいる意味がないので、出て行った。
「また来るわよ!あなたにだけは負けないんだから!」
びしっと!指を突きつけてケリーは出て行った。
すると、ケイトが戻ってきた。何かを忘れたのか?
ケイトは、なぜか、俺をぎゅっと抱きしめて、おでこにキスをしていった。
「私も明日から、ここにお世話になります!」
そう言い切った。うーん。なんだこれ!
夜、温泉に入っていると王女が入ってきた。びっくりだ。いつもは、お付きの女官と入っているのに!
「ふふふ、驚いたか。妾もこれから、旦那様と入るぞ。もう最初の夜まで一緒に風呂に入れないなんぞとは言っておられんからな!」
ケチャとアイカが王女を見て微妙にショックを受けていた。
「10歳なのに、あ、あんなに胸が・・・・」「くっ、また胸の大きいライバルが・・・・・」
ふふーん、と2人に胸を突き出して誇らしげな王女様。でもさ、別に胸で序列とか決まってないんですけど。俺が、トホホホホ、となっていると、頭の上にスイカが乗せられ、俺は後ろから抱きしめられた。これは、ミリカか・・・・・・。王女はそのスイカを見て、信じられないものを見た、というようにぷるぷる震えた。子犬か!なぜか、ガクっとなる女王。ふふーん、とミリカは嬉しげだ。えーともう一度言います。これ、胸の競争じゃありませんから!
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