勇者対魔王!
亀です。いつもありがとうございます。
「なんだよ、俺に用ってさぁ」
ポチが偉そうに俺にいう。ただ、るーたんに抱っこされているから、偉そうな感じが半減以下だ。
「いや、何。お前、魔王だっただろ。また、魔王やってみたいって思わないか。」
「は?そんなことで俺を呼んだの?バカバカしい。もう魔王なんかしたいわけないだろ!」
「ところがさ、今度、勇者が現れて、そいつと戦って欲しいんだよ。」
「ほう、勇者!それは、ちょっとだけ面白そうだな。」
ちょっとだけ尻尾がパタパタする。わかりやすいい。
「といってもさ、もう、話はついているから。まあ、軽くやられそうになって、最後は逃げるみたいな・・・・。」
「はあ、断る!そんな茶番!」
尻尾がだらんと、下がった。あ、興味を失ったか。
「もう、タクト、へたくそか。」
サーシャが、俺を引っ張って、自分が前にずいっと出てぽちに直接話しかける。
「あんたさあ、彼女と結婚考えてるんだろう。」
ちらっと、ぽちがるーたんを見る。
「そ、それがどうした。」
「あんたさ、ちゃんと結婚資金貯めてんの?」
「けけけけ、結婚資金?」
「そうだよ、結婚式、披露宴だって、ものすごいお金がかかるよ。それから、新婚旅行、そのあとの、住むところだって、ただじゃないよ。それから、指輪はどうすんだい?」
「そそそそそそそそそ、そんなこと、考えてもみなかった。」
「甘いな、甘い、砂糖より大甘だよ!私だって、もうこしょこしょこしょ貯めてんだよ!」
急に、ぽちの耳にくちを寄せてささやくサーシャ。
「そそそそそそんなに!」
「そうだよ。ちゃんと仕事を持っている私だって、こうなのさ。それに引き換えあんたはどうだい!」
ぽちの尻尾が、だらーんと下がっている。テンションだださがりだ。
「毎日、くっちゃね、くっちゃね。お金なんか稼ぎやしない。単なる居候だよ、ニートだよ。」
ガーン、とショックを受けるぽち。って、ぽちは、わんちゃんなんだからお前そんなめちゃくちゃ言うなよ。
「でもさ、あんたに一発逆転のチャンスだよ!」
騙されてるぞ!ぼち!
「この仕事を受ければ、あんたに、この仕事の10%、いや、20%あげようじゃないか!どうだい!」
「わかった。やらせてくれ!」
「よし、男に二言はないね!」
「ああ、俺も男だ。るーたんに、指輪を買わなくてはならん!」
えーと、指輪より、食べ物の方がよろこぶと思うけど・・・・・・・・。しかし20%かよ、えぐいな。普通、こっちが20%だよ。
というわけで話はついた。次はダンジョンだな。俺はスミス殿に相談して、スミス殿が所有している、私有地で、使い道のない泥地を譲り受けた。サーシャがでしゃばったので、格安で・・・・・・。これには、いくら、使い道のない土地だとはいえ、スミス殿大苦笑。
さあ、俺は力を抜いてダンジョンを召喚した。箱物は立派だが、中は空っぽだ。
スミス殿も面白がって、内装に力をやたら入れた。
玉座に、ぽちを据える。犬モードではまずいので、ちょっと人間モードにするため力を分け与えた。
「おおおお、この姿もひさしぶりだ。どう、るーたん、格好いい?」
「うん、かっこういいん!すごいん!るーたんも、やりたい!」
ということで、るーたんもゴスロリの服を着させて女王として、玉座のとなりに椅子を設えた。うーん、なかなか迫力あるぞ!
例のコシチを含む5人の猫ちゃんの残りには、4天王になってもらい、コシチは大幹部にした。準備よし!
そして、俺は、王女とセオドアとケイトに根回しをして、魔王が復活したこと。そして、この国の騎士団が、散々な目にあったことを喧伝した。そして、勇者に正式な依頼をした。
なぜか、信じていない、隣国の軍隊がきたので、散々な目にあって、撤退してもらった。うーん、ぼろい商売だ。装備品や、お金をむしられた兵隊たちが、涙目で、帰っていく。
「ふははははは、カスが、お前らなぞ、命を取る価値もないわ!勇者に伝えておけ!魔王が待っているとなぁ!ふはははは!」
あとで、小声で、るーたんにねえ、かっこよかった、かっこよかった、としつこく聞いていた以外はなかなかよかったと思う。
そして一月後、勇者がやってきた。たくさんのスポンサー契約とともに。
その前夜、俺たちは、勇者グループの商人とあった。そして、いろいろ決めた。
「でも、勇者には、この八百長のこと話してないんですよ。他のみんなは知っているんですが、あいつ、演技が下手すぎて!」
「なるほど、ま、問題ないなあんな実力だったら。」
「そんなことより、賞金よ!いくら出ることになったの?」
「えーとしめて、白金貨500枚!」
「あら、結構出すわね!」
「デモンストレーションがきいたようです。それに私たちもそれぞれ、別のスポンサー契約をいただいて、それがおいしいおいしい。ざっと、白金貨千枚ずつです。ふふふ。これは私たちのとりぶんで構わないんですよね。」
「もちろん。だって、もっとお金になるやり方を考えているし。」
というわけで、俺たちは戦いを映像記録石に収めて、それを上映して、お金をがっぽり稼ぐことにしたのです。ふふふ。これはすごい!サーシャ、本当に悪い。これには、商人も愕然としていた。
次の日、勇者たちがやってきた。俺たちは、こっそりと、録画している。後ろではあはあしているのは、隣のダンジョンマスターのヒロ君だ。おいおい、まだ、魅惑の魔法が切れていないのか。顔が紅潮してきもいぞ。
「ヒロ君、はあはあうるさい!」
「タクト君、しかたないだろ。ひさしぶりの勇者様なんだ。はあはあ。」
向こうではすでに戦闘が始まっている!
「お前らなんて、この4天王で十分だ!」
「勇者様、ここは私たちに任せて!」「先に、いらしてください!」「私たちが食い止めます!」「未来は勇者様にかかっております。」
おお、いい仕事しているな。魔法使い、武闘家、剣士、賢者がみえを切る。この日のために服も装備も新調してある。なかなかかっこいい!
そして猫ちゃんたちもいい仕事をしている。圧倒すると見せかけて、譲るとことは譲る。しかも見栄えだけいい魔法で、全然痛くないんだよね、あれ。うーん。
勇者が、魔王の元に行こうとする。その前に立ちふさがるコシチ。そして、障壁をはる。
「ひさしぶりだな。弱虫勇者、前に負けたこと、忘れてはおるまい!ふははははは!」
結構うまいな。
「お、お前は、ま、魔王の側近だったのか!」
「今頃知ったか。だが死ね!」
その前に、なぜかヒロ君が飛び出していった!アホー。
ヒロ君に、派手なエフェクトの魔法がぶつかった。あれ痛くないのに、どうした、ヒロ君。
「ゆ、勇者様、お慕い申し上げておりました。が、頑張って下さい。がくっ」
あいつ、チキンだな。あれ、痛くないのに気絶しやがった。ほらみろ、勇者も対応に苦しんでんだろ。いきなり現れて。
「う、うん。わかった・・・・・・。さあ、こい、側近!」
「ぐはははは!命拾いしたな!」
ぺち、っとコシチが叩く。あ、やば!勇者、そんなに弱いのかよ!ふっとんでいって、気絶しやがった。
コシチ大困惑、こっちを見る。俺は、小声で、回復回復と告げる。
「しねえ!」
そう言って、コシチが回復をかける。あ、やっと目覚めやがった。どんだけ弱いんだ勇者!
その時、賢者が、後ろからきて、勇者をかばう。
「勇者様には指一本触れさせません!」
「う、こちらに来るな。お、俺は真実の愛に弱いんだ。ぎゃー!」
そういって、コシチが消える。よくわからんが、うまいぞ!賢者も、すみません、とこちらに合図した。
すると、魔王が現れた。
「ふふふふ、よく来たな。お前らをしまつ!」
「るーたんぱーんち!」
ふげ!勇者がふっとぶ!ああ、もうあれダメだな。仕方ない。
もうあとで映像は編集だ!
「じゃあ、すみません。魔法使いさん、武闘家さん、剣士さん、賢者さん、お集まりください。」
どうせ、勇者は倒れているから、俺たちは集まって、殺陣を協議した。
「さあ、決着だ!」
俺たちは上手に立ち回った。そして、賢者のお願い通り、最後は、結婚を申し込んだ勇者が、真実の愛で、なんとか、魔王たちを封じ込めるということにした。
「ふふふふふ、この縛鎖は、1年しかもたんぞ!1年後にまた会おうぞ!」
そして、魔王は消える。そして、見つめあう、勇者と賢者、キス。結婚の約束、カット!
勇者は俺が後ろから、支えた。どうせ編集でなんとでもなる。
そして、勇者は伝説になった。なぜ、結婚するはめになったかは、勇者は全然わからなかったようだが、みんなに祝福されて、少し涙目になっていたそうだ。なんと賞金は、白銀貨1千枚に増額されて、俺たちはほくほくしている。それぞれの勇者パーティーも、そのあとの講演会なんかでたんまりもうけたようだ。
そして、上映の日がきた。思った通り、大ヒットだ。俺たちは、稼ぎに稼いだ。なぜか、ヒロ君が悲劇のヒーロー扱いされて、腐女子の方々に大人気になった。魔王たちにもなぜか熱烈なファンがついた。でも一番人気はるーたんだった。変装していなかったら、ひどいことになっていたよな。
その後のダンジョンは、ものすごく栄えたので、俺は、コシチをそこに置いて、臨時のダンマスにした。ぽちも、結婚資金がたまったと喜んでいる。これで、いい・・・・・のか??
皆様、いつもお読みいただきありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。