アラビアのケイトとタクト
亀です!暑いです。まるで砂漠にいるようです。とほほです。お読みいただきありがとうございます。
えーと、俺は砂漠を歩いています。もう、やめてほしいです!ぶっちゃけ、ケイトが悪いんです。俺が、集中して次元跳躍の練習をしていたら、急に抱きついてきたのです。うーん、どうしてこうなった!
気が付いたら、砂漠ですよ。うーん、人里もありません。これはいかんな。
「もう、どうして抱きついたりしたんですか!」
「いや、コーヒーを頼もうと思ったら一人で目をつぶっていたから、絶好のチャンスかな、って思って、てへっ。」
うーん、てへってやられても本質をしっているだけに萌えぬ。とりあえず人里までゴー!
そう思った時もありました。もう2時間も歩いているけど、何も見えてきません。うーん、困った。
ケイトが汗を拭う。
「はい、どうぞ!」
「タクト殿、すまぬ。しかし、この水、どこから出したんだい?」
「企業秘密」
いやはや、暑い。ケイトなんか、フル装備に近いから、余計だろう。
「ケイト、暑いでしょ!服を涼しいのに変えてあげようか?」
「いや、いい。この暑さに慣れるのも、訓練だから。」
「いやいや、どうせ、替えの服ぐらいあるんでしょ?」
「まあ、屋敷に帰ればな。でもなんで。」
「じゃ、交換してあげようか。ちょっと目つぶって!」
俺は、目をつぶらせたあと、交換スキルで、涼しい服に変えてあげた。白いアラビア風の服だ。
「もういいよ、目を開けても。」
「うおおお、タ、タクト殿、こ、これは魔法か?」
「企業秘密。」
「タ、タクト殿には秘密が多いんだな。覚えておこう。」
ケイトが目をつぶっている間に、俺の服も白いアラビア風の服に変えておいた。
「それにしても・・・・」
顔をぽっと赤らめてケイトが続ける。
「お揃いの服とは、まるで、恋人か・・・・夫婦みたいで新鮮だ。よろしくな。旦那様よ。」
「いやいやいやいや。単に服が一緒なだけでしょう。」
俺は思わずつっこんだ。でも、どうもケイトも半分は冗談だったみたいだ。あとの半分は本気っぽいのが怖い。
すると、砂漠の中から急にヘビが飛び出した。
「タクト殿!あ、危ない!」
ケイトは、俺を突き飛ばして、倒れてしまった。俺は、そのヘビを交換でウサギに変えた。本来は、こういう使い方ができないのだが、緊急事態だ。仕方がない。
俺は、自分の魔力のほとんどを使い切ってしまったのを感じた。うーん、まずいな。もうすぐ移動できたのに。
ケイトを見ると、ぐったりしている。
「だ、だいじょうぶか。」
「あ、あれは、一番やっかいな毒ヘビだ、と思う。1、2分で噛まれたら死に至るらしい。もうお別れだ。最後に救えて、よか・・・・」
やれやれ。俺は、この手は使いたくなかったと、ケイトに口づけをして、俺の唾液を飲ませた。ナノマシンが、毒を分解してくれるはずだ。
すると、パチ、っとケイトが目を開けて、信じられないというように立ち上がって体の具合を確かめている。
「タ、タクト殿、どうやって・・・・・・」
「企業ひみ・・・・」
「お、俺に口づけをしたな。はっこれはセリーヌ殿の小説で、口つけで蘇った女性剣士の物語と同じ。では、やはり俺とタクト殿は運命で結ばれて、結婚を・・・・・・」
なにやらぶつぶつつぶやいている。いや、ナノマシンが毒を中和しただけだから。運命とか関係ないから。
俺は残りの力をうさぎに注いだ。するとうさぎが話し出した。
「タクト様、および頂きありがとうございます。」
「うん、お前のこと、これからぴよん太って呼ぶから。」
「タクト様に、つけていただいたせっかくの名前なのですが、私は女性であります。」
「わかった、じゃ、ぴょん子だ。悪いけど、先導して、どこか、この太陽をさえ切れるところまで案内してくれないか。」
「合点承知であります!」
ケイトはうさぎが話したので、目を丸くしている。
「う、う、う、う、う。」
「うーマンボ?」
「うさささささぎがしゃべったーーーーーーーー!!」
あ、あれ、禁忌召喚。生命を依代にして、召喚する術で、ほんとうは、良くないんだけど、まあ、毒ヘビだから、犠牲になってもらった。でも、死んだわけじゃなくて、新しい命として蘇っているので良しとしよう。実はこれを使っても召喚できるのは幻獣様だけなんだが。
「あ、ケイト落ち着いて、問題ないよ。これ、うさぎじゃないから、山田さんだから!」
「ええええ、タ、タクト殿、なにを言っているかわからないんだが。」
「山田さんは、うさぎに見える魔法をかけられるだけだから。」
「そ、そう、なのか?」
納得はしていなかったようだが、まあ、いいだろう。
「でも山田さんじゃなくて、ぴょんなんとか、って言ってなかったか?」
「あ、山田ぴょん子さんだから。」
「・・・・・・・」
すると先行してきたぴょん子が帰ってきた。
「タクト様、向こうに洞穴があります。しかも、すごく快適ですよ。」
俺たちは、中に入った。ひんやりとしてすこし涼しい。
俺たちは横になった。
起きたら、ケイトが膝枕してくれていた。
「タクト殿、起きたかい。」
「ケイトは寝なかったのかい。山田さんがいるから、寝ても大丈夫なのに。」
「いや、タクト殿の顔をずっと見ていたんだ・・・・」
顔を赤らめて、ケイトが言う。うーん。はずい。
俺は起き上がって空を見た。満天の星だ。
「ケイト、見てみなよ。星が綺麗だ。」
ケイトは、つつつつ、と寄ってきて俺にぴたっとひっついた。えーと。まあいいか。
俺たちは星をずっと飽きることなく見ていた。
翌日、やっと力が溜まったので、飛ぼうとしたら、声がした。
「あ、ここにいたのにゃ!」
ミケが俺を探してくれていたようだ。
「さ、帰るのにゃ!」
俺たちは飛翔した。
「で、どうして、みんな裸になって、会議をしているんだ?」
ケイトがおどおどしている。
「いや、うちの伝統だから。」
「もう、結局ケイトさん、入っちゃったじゃないですかー!もう!ぷんぷん!」
シェールはおかんむりだ。
「まあ私たちも途中から見ていたしね。」
腕組みをしているサーシャ。これは切れている。目が怖い。
えええ?遠目で見ていたのか?
「アテナ様がおもしろいものが見られるっていうから、みんなで観察していたのお」
ランちゃんが教えてくれた。
アテナ様〜!なにしちゃってくれてんですかぁ〜!
「で、どこから見てたの?」
「えーと、確か『もう、どうして抱きついたりしたんですか!』っていうあたりから。」
「ほとんど最初からじゃないか!」
俺は憮然とした。
「で、ケイトさんは、このハーレムに参加する意思がおありなのですか?」
ミリカが問いかける。ケイトはすこしビビっている。何故なら、ミリカは、本当にスタイルもバクヅンだし、美しいから引け目に感じているのかもしれない。
「はははは、入れてもらいたいが、この体じゃあ。」
ケイトは、前を隠していたが両手を広げた。体は傷だらけだ。
「こんな体じゃ、愛してもらう資格なんて、ないよ。」
俺は近くによって、ケイトの体を撫でた。すると、すべての傷が消えた。
「タ、タクト殿!」
ケイトは、俺に抱きついた。ぐえ。く、くるしい!
「命を救ってもらったばかりではなく、傷までも・・・・・・。やはりこれは運命だった!」
違うから、傷なんて誰でも消せるから!
「あ、抜け駆けはずるーい!」
シェールが飛びついてちゅっちゅっしてきた。
ケイトも、それを見て驚いていたが、やはりちゅっちゅしてきた。うーん、どうもまた、1人メンバーが増えてしまったようだ。これで、いい・・・・のか???
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