熱帯夜
暑い夜は嫌いです
ふー、暑い暑い。
熱帯夜だ。こうなると、石の上に直接ねて、涼をとってしまう。特に猫ちゃんたちは夏は大変だ。寝苦しそう。魔石をつかった空冷機を買ったが、こんな暑い日には、まったく役に立たないというのが実情だ。ふぃー。
天井にいつも潜んでいるクモのクモ山さんもグッタりしている。暑いよな、ってクモ山さんを見たら、本当に、という具合に足をちろちろ動かしてきた。さすがクモ山さん。伊達に子沢山じゃないな。こぐもは、いつも踏むといけないので、天井近くに、こぐもたちのための道として、板を立てかけてある。よく見ると、こぐもたちもグッタりしている。やれやれだ。
しかたないので、散歩に出かけた。昔だったら、ミケが一緒についてきたが、最近ではコタローの仕事になっているらしい。それでもミケは、こっちを見て、しっぱを軽くふってきた。いってきます。
コタローを肩に乗せてあるいていると、フクロウの大塚さんがやってきた。そんな名前ではもちろんないが、前世の日本人としてのたしなみが、名前をつけさせるのだ。
「タクちゃま、いい加減、へんな名前で呼ぶのはやめろ、とユーリーさんがおっしゃってます。」
多分、ユーリーってのは、金髪の偉丈夫の背が高い青年のことだろう。そうにちがいない、いや、そう決めた。
「大塚さん、またね。」
なんだか大塚さんは、今日は機嫌が悪いらしく、頭の上に虫を落としてきやがった。(注:虫は美味しくクモ山さんたちが食べました。)
裏庭から見る月は、本当に綺麗だ。しばしば、見とれてしまった。やはり月に魅せられている女性がいた。いつもポニーテールなのに、今は、おろしているので。気がつかなかったが、サーシャだった。
「そっちもねられないのかい」
「ちょっとね。暑すぎるものね」
持ってきたアイスティーを二人で分けました。コタローにもチョコレートチップクッキーをおすそ分けしました。
夏の暑い熱帯夜の出来事でした。
夜甘いものを食べたら虫歯になります