フィギュア道
サンダーバード2号が欲しいです。あれっていいと思いませんか。
個室に入っていたラルフとリリーが、変なことをしていたので、正座させて説教の真っ最中である。俺じゃなくて、サーシャが長い説教をかましている。
「あんたらねえー。もっと節度がある付き合い方ってあるでしょう!」
「わかっていてもダメじゃん!」「もう私たちの愛は燃え上がってしまったの!」
うーん、全然反省しとらん。
「あんたら、私だって、私だって、タクトとあんなことこんなこと、したいのよー!でもそれを我慢してるのーっ!!!」
えーと、それって説教とは違うような。
「わかったジャーン。俺、リリーと結婚するじゃーん。それが俺の責任の取り方じゃーん!」
「ああ、ラルフさま、素敵!」
というわけで、なぜかサーシャは、キューピッドの役をしてしまったようだ。口をあんぐり開けている。
二人は立ち上がって、こっちに向かってきた。
「ってわけで、この世界の俺、がんばるじゃーん!」
「タクト、ありがとう、あなたがいるから、安心して旅立てるわ。王立筆頭召喚士、よろしくね!」
おいおい、まてよ!!!
すると、アホ、もといラルフは、フクロウを呼んで、飛び立っていった。ブランコのようなものが下についていて、二人で登っていく。鬼・郎かっていうの。
しかしフクロウたちは、ヘロヘロだ。うらめしそうにリリーを見ている。リリー、お前、頑張ってダイエットしろよ!
いきなり、空に穴が開き、フクロウも二人も消えた。なんだったんだ???
「ねえタクト」
「うん?」
「あんたもちゃんと責任とんなさいよ。」
俺はため息をついた。どんな責任だよ!
そんなこんなで、ケイトの見合いをぶち壊しにきたわけでだが。あれ?相手は超優良物件だぞ。侯爵の一人息子で、ケイトよりも4つも若く、しかも背も高くイケメンだ。これは、言うことないな。もしかして、性格が??
しかし、話してみるとそういうこともない。
「実は、無理して父上からこの話をねじ込んでしまったことは、謝りたいと思います。しかし、入りたてのころ、私を優しく導いてくれたケイトさまが忘れられず。お慕い申しております。」
うーん、いいやつっぽいぞ。
俺は小声で、ケイトに聞いた。
「おいおい、話と違うぞ。超、いいやつじゃないか。」
「それはそうなんだが、俺は苦手なんだよ。」
「????」
俺の頭の中は、疑問符でいっぱいになった。何が嫌なんだ。
「タクト殿といいましたか。私は、誰よりもケイト殿を愛しております。みて下さい、これを!」
ずらっと、イケメンは、ケイトの写し絵を並べた。
これは、私が初めてケイト殿に会った時のものを写してもらいました。これは、ケイト殿が、私を優しく叱ってくださった時のもの。そして、これが・・・・・。
えーとこの話長くなりそうですか。
「そして、ですね、これが、私とケイト殿が初めて、一緒に・・・・・・・」
あ、長くなりそうですね。俺は、ついに伝家の宝刀、寝て起きたふりを使った。俺ぐらいの達人になると、目を開けたまま寝られるのだ、ぐぅー。
「それだけではありません。」
うん、まだ、話が続いていたのか。隣をみるとケイトがうんざりした顔をしていた。
「これは、ケイト殿が、私と初めて入った時に、使ってらしたストローです。」
はあ???
「そして、これは、ケイト殿がレストランに行かれた時に、使っていた、ナイフとフォーク、そして、お皿とスプーンとスープ皿です。」
「ちょっと待って、それってどうやって手に入れたの?」
「もちろん、ゆずってもらったんです。高かったのですが、いい買い物でした。」
うーん、こいつアホ?
「そして、これが・・・・・・・・」
ちょっとまて、もうこいつ2時間はなしづめだぞ。俺は空恐ろしくなってきた。
ケイトも同様のようで、嫌な顔をしている。うーん。
「そして、これは、昨日、ケイト殿が行かれた猫カフェで使ったスプーンです。」
「え?俺は、知らないよ、売ったことないし。」
「サーシャという女性が売ってくださいました。これは非常に高かった。」
あいつ、何してくれてんの!後でおしおきだ!
「というわけで私の愛をわかっていただけましたか?」
「あー、あんたが、ストーカーだってことはよくわかった。」
俺は、ちゃっちゃと終わりにしたいので、アップグレードした俺のスキルで、こいつのケイトへの思いをスミス殿の人形への愛に変えた。
「はっ!私は何を?このゴミはなんだ!こんなものはいらん!わ、私の人形ちゃんは????」
「はいはい、ここにありますよ。これは、スミス殿の最新作、まだ、誰ももっていません。」
「おおおおおおお、下さい!おいくら????」
「そうですね。じゃ、金貨3枚と、その、あなたが今、ゴミといった、品々でどうですか。」
「買った!」
というわけで、サクッと終わらせました。まあ、もっと早くやっておけばよかったと今では後悔しております。
「タクト殿、それ、すてちゃうのか?」
「いやいや、写し絵はよくできているから、とっておくさ。一時は、本当に、愛されていた絵だしな。」
「そ、そうか。」
ケイトを見たら、ちょっと傷ついていた。
「ケイト、どうした?」
「うーん、あんなに私が好きだと言っていたのに、すぐ豹変するとは、私には、もしかして、魅力がないのだろうか。」
「いやいや、凡百の人間にはわからないが、わかるやつにはわかるさ。ケイトの魅力がな。」
「そ、それって、タクト殿、いや、いかんいかん、私には猫ちゃんが。」
「勘違いすんなって。誰か、将来きっとケイトのいいところも悪いところもひっくるめて、貰ってくれる人が現れるって。ちょ、なんだ、その目は。」
「わかり申した。では、私もタクト殿のハーレムに入って待つことにいたそう!」
お前、聞いてなかったな!
でも、まあ、ケイトも半分は冗談だったようで、あまり俺にはちょっかいはかけてこないが、時々、熱い視線をケイトから感じる時がある。うーん。まさかね。シェールも時々疑っているようで、ケイトと俺が2人きりにならないように、いつも見張っている。しまったこいつもストーカー体質だったっけ・・・・・。とほほだな。
まあ、そんなこんなで、俺は、スミス殿のフィギュアに取り憑かれたファンを手に入れた。俺たちの世界征服の野望はまだこれからだ!俺たちは、まだこのフィギュア道の長い階段を上り始めたばかりだしな!
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。