踊りませんか。
ダンスダンス、タンス?
ついにこの日がやってきてしまった。王様からのお達しで、舞踏会に出席しなければならなくなったのだ。ちょっと待て。舞踏会といえば、ダンス。ダンスといえば、舞踏会。うん、詰んだな。
しかも、これが、王女様との正式な婚約の証となるというからさあ大変。何故なら、最初のダンスの口火を切って、2人だけでダンスするらしい。ほぁああああ。
さあ、夜逃げだ。皆さん、ここまで、俺たちの活躍の応援ありがとうございました。次回からは、それいけ、うさみーるが始まります!
俺は夜逃げの準備をしたが、サーシャに見抜かれて簀巻きにされてしまった。簀巻きは俺の得意技なのに!
「妾の旦那様として恥ずかしくない、ダンスを身につけていただきます!」
王女の目がマジで怖い。
「そこで、ダンスの講師をお呼びしましたわ!どうぞ!」
「ミリカじゃねえか!」
「ご主人様、いえ、タクト様、ここは、私のことを先生と呼んでください。」
「はぁあああ?」
「妾の夫としてふさわしい素養を身につけてもらうぞ。」
「そして、私のご主人様として、いつかエスコートしてもらえるだけの技術を短期間で習得していただきます。」
それから、地獄の1週間が始まった。思い出すだけでも寒気がします。
「ほら、ステップが違う!」
ビシッとしなった杖で叩かれる。おう、マジで痛い。
「ほら、足の位置が違いますことよ!」
もうやめて、俺のライフはゼロよ!しかし容赦ない叱責が俺を襲う!ほぁ!し、死ぬ。
俺は脱走を決意した。夜中にそっと起きる。しめしめ、誰も見張っていない!
「タクト殿、どこへいかれる!」
俺は、声の方にギギギ、と顔を向けた。
ケ、ケイト、お前どうして。
「ふふ、タクト殿が今夜あたり脱走を試みるから見張ってほしいと王女様に依頼されてな。さすが、王女様の見立て通り!」
「ケ、ケイト、年間パスをやるぞ!い、いや、永久パスはどうだ!見逃してくれ!」
「くっ!え、えい、えいきゅ、永久に猫ちゃんをなでなで。いや、だ、だめだ!だめだ!だめだ!お、お、王国は裏切れん、し、し、しかし、永久に猫ちゃんをなでなで、し、しかし、くっ」
俺は、この隙に逃げ出した。しかし、ドアのところで、待ち構えていたセオドアに捕まってしまった。くそ!
「さすが、ケイト殿、王国第二の騎士だけのことはあるな。はははは!」
「くっ、タクト殿に猫ちゃんなでなで永久パスを渡すなどと言われなければ!」
「ふははははは!見苦しいぞ!これが、王国第1の騎士と第2の騎士の差だぁ!!ふははははは!」
「くっ!」
どうでもいいが、翌日から、ついに俺が逃げ出さないように見張りが増えた。それだけでは、ない。足かせなのだろうか、足にそれぞれ20kg程度の重しをつけられた。
「その程度の重りで、ヒイヒイ言っているようでは、話になりませんよ!」
「妾の考案したダンス養成ギプスだ!」
お前、日本の文化に精通しすぎだろ!古すぎて出典がわからんわ!
そして、その日から、しなる棒がムチへと変わった!
ピシィ!
「ひぃ!」
「ああ、何かに目覚めてしまいそうですわ!ほほほ!」
王女よ、目覚めるな!ミリカもうっとりと、ムチに頬ずりしている。やばい!主に俺が!
ピシィ!
「ひぃ!」
「考えるのではありません!感じるのです!」
うへえ、お前はブルース・リーか!
「妾と一緒に唱えるのです。私は、ただの人間ではない。無限の可能性を持った人間だ!」
こっちは、カモメのショナサンだよ。お前ら、どこからそういう小ネタを?
そういえば、ジョナサンを日本で呼んだら、ジョナサンさんか?どうでもいいか!
「ひっ!」
「よそ見をしない!」
「ふぁ!」
「足が違う!」
なんだか、変なものに目覚めそうです。ボスケテ!
そして、ついに舞踏会の当日がやってきた。
「さあ、大丈夫ですね。」
「ハイ、ダイジョーブダイジョーブ」
「踊れますね!」
「オレターザン。ジャングルノオウ!」
「がんばってください。」
「モチロン、オレサマオマエマルカジリ!」
ついにその瞬間が、キタ。
「王女様、そして、婚約者タクト様、ご入場であらせられます!」
おれこそが、フロアの帝王!マイケル・ジャクソン!お前らオソレオノノケ!
そう思っていた時が俺にもありました。
「さあ、十分に死合おうぞ!」
えーと!
「言っていなかったか?タクト殿がダンスが嫌いだと聞いて、武闘会にしたのだが!さあ、ここから、隣国から集いし、最強のもののふと、死合ってもらおうぞ!」
なんじゃそりゃーーーーーーーーーー!
「しかし、簡単に勝てるとは思うなよ、最初の相手は、隣国最高のバーサーカー!ボスコフ殿だ!さあ・・・・・・・・」
俺は、サクっと猫ちゃんを召喚して、叩き潰した!あほか、俺の時間を返せ!
みんなが、驚愕する中、俺は、山のように積まれた、食事から、骨つきもも肉にかぶりついて叫んだ!くそ、召喚はエネルギーを使うぜ!
「次!」
相手の人たちには悪いが、みんな、俺の憂さ晴らしの相手になってもらおう!
俺の召喚した猫ちゃんは最強だった!サクサク相手をちぎっては投げ、ちぎっては投げ!
負けなしだぜ!ふはははは!
どうやら、王様は俺が本当に、王女様にふさわしいか試したかったらしいが、みんな俺の猫ちゃんに蹂躙されるだけだった。なむー!でもいい憂さ晴らしになったな。
家に帰ると、王女とミリカが、俺に謝ってきた。
どうも、ダンスが俺と踊れればいいと途中から、武闘会になったとわかっていても黙っていたそうだ。
「なんだそんなことなら、最初から、そういえよ、さ、お嬢様がたお手を!」
二人は顔を見合わせて、ぽーっと手を差し出してきた。
「なんていうと思ったか!くらえ!」
おれは、二人に背負い投げを食らわせた!
きゅう、と二人はのびた。ふははははは!
「タックン!ダーメー!」
その時、おれは、武闘会に召喚した猫ちゃん、アリーに猫パンチ食らった。ぐえ、すごい猫パンチ!おれは、おやゆびをぐっと突き出して、やるじゃんと、王女とミリカの上に崩れ落ちた。とほほ。
いつもお読みいただき本当に有難うございます。皆様のコメント、ブックマーク、大変、励みになっております。これからもよろしくお願いいたします。