朝のひと時
夢って不思議ですよね
危ない!車道に猫が飛び出した。まだ子猫だ。最初はうちのたまかと思ったがたまよりずっと小さい。車が迫っている。た、助けなくちゃ!
うわ!叫んで目覚めた。最近は、見ていなかった前世での最後の瞬間の夢だ。目覚めたら汗をかいてきた気持ちわるい。
猫の姿に戻っていたミケが猫パンチを放ってきた。痛いよ。ミケたちも結局夜は猫の姿に戻って一緒に寝ている。だって、もう18人もいるんだよ、猫ちゃんたち。いよいよもって、自分のスペースは小さくなっている。ちくせう!
実は、あれが一番最初のミケとの出会いだったんだな、とふと思った。
3歳の時、初めて召喚したのが、ミケ。驚いた。だって、自分が助けた猫がそのまま召喚されてきたんだから。しかも喋りやがるし。猫神様は、召喚術を付与してくれたけど、使いこなせるかどうかは、自分次第だとおっしゃっていた。3歳になって、やっと召喚はできるようになったが、その時は、召喚時間は、最大でも1時間だった。それが、訓練とともに、2時間になり、3時間になり、ついには1日中になったわけだ。その後、順調に12名まで増やすことができた。
これも、ある意味、ミケのおかげかもな。そう思って、ミケには、今日、奮発して、いい餌をあげることにしよう。
子猫のコタローが、肩の上に登ってきた。こいつは、まだ子猫なのに、寝起きがいい。
「タクちゃま。コーヒーの用意ができましたのにゃっ!」
こいつは本当にえらい猫ちゃんだ。なんでも手伝ってくれる。ミケなんて、こんなことしてくれたことなかったよ。
下に降りていくともうランちゃんもパンを焼いていてくれた。
「タクト様、これ、ママがもって行って、って!」
マリアさん、まじ神!おいしそうな生ハムだ。これは、ありがたい。
「ランちゃん、ちょっと待ってて。掃除ちゃちゃっと終わらせるから!」
昨日のうちに掃除は簡単にすませておいたので、今朝は楽だ。
ランちゃんと席につくころに次々と猫ちゃんたちも降りてくる。ゆったりとした時間だ。
餌をあげて窓の外を見る。見なきゃよかった。そこには、窓にはりついてこっちを伺うケイトとアンがいた。おまいら早すぎだろ!
招き入れて2人にもあさごはんを振舞う。
外はもう明るい。さあ、もうすぐ開店だ!
もうタイムマシンは、人間の記憶ってことでいいんじゃないでしょうか。