リリーぼられる
ちょっと短めですみません。
「でさータクト、お願い!この間、救ってあげたじゃない!」
リリーが俺に向かって手をあわせる。うーん、やってやりたいのは、やまやまだけどなあ。
リリーの例の謎のファンクラブが、セリーヌの新刊のサイン会をここで、やりたいと言ってきた。セリーヌの説得は簡単だが、ここを貸し切るわけにもいかないし。どうしたもんか。
「いくら払えんの?」
いきなり後ろから、サーシャが出てきた。
「うーん、金貨5枚ってとこかしら。」
「安すぎね。もう一声!」
「金貨、6枚?」
「そこは、金貨15枚でしょ!」
「ちょっと、それは無理。」
「ええ?じゃ、12枚!」
「もう一声!」
「えーいもってけ泥棒!金貨10枚!」
「よし、買った!」
というわけで、一番暇な午後にサイン会をすることになった。セリーヌは、本が売れるし、コサブローを膝においていていいということで、ホクホクだった。
「かわいいわねん。コサブローちゅわああん。ペロペロ」
ペロペロされているコサブローもまんざらではない感じだ。やばい、こいつ、調教されたか!
そして、リリーのグループがやってきた。しかし、女性陣の目は、セリーヌではなく、コサブローに集中している。
「セリーヌ様、こ、この方は?」「まさか、この方が、新刊のガウラン様の若かりし日のモデル。」「あああ、私も抱きたいですわ!」「ずるいですわ、セリーヌさま。」
阿鼻叫喚!
「だまらっしゃい!小娘ども!ねー、コサブローちゅわああん。」
「はい、ぼくわ、セリーヌさまのモノデス。」
うわ、完全に洗脳されてやんの。気の毒なコサブロー。
ギャースカ言っている、小娘たちの前で、二人はイチャイチャしている。耳をハムハムするセリーヌをうらやましそうに眺める小娘たち。
「ずるいですわ!」「私もハムハムしたいですわ!」「お願いします。せめてひと抱き!」
そんな言葉には、耳を貸さず、頭をペロペロするセリーヌ。
「このコサブロちゅわんは、私のものなのよ。さ、あんたたち!サインいるのいらないの!」
「い、いりますわ!」
セリーヌは、なんだか手抜きのばってんのようなサインを書いている。その間もペロペロはやすめない。変態の鑑だ。
最後のサインが終わると、セリーヌは帰れ、帰れ、としっしっと追い払う仕草をした。
「ああああ、疲れちゃったわん、コサブローちゅわあん。」
「大変でしたね。セリーヌサマ。」
「はああああ、癒される〜。」
ギューっとコサブローを抱きしめるセリーヌ。それを悔しそうに見る女性たち。
聞くところによると、セリーヌの魔の手からコサブローさまを救う会が立ち上げられたそうだ。リリーは、そこの会長になったそうだ。アホだな、みんな。
これからもよろしくお願いいたします。




