カトリーナ見参
前回までのあらすじ:砂漠の黄金都市、キアラに私たちはやっと辿りついた。ここまで、本当に長い旅であったが、やっとそれが報われる日が来たのだ。
キアラ、忘れられた古の黄金都市。そこには、黄金の像が眠ると人はいう。俺たちは最初半信半疑であったが、そこに行って命からがら帰ってきたという冒険者の話を聞いて信じる気になったのだ。その冒険者は、そこであった出来事があまりにもショックだったのか、黄金の像が何隊も設置されている以外、何も覚えてはいなかったのだが。
街に入ると、確かに、そこ、かしこに黄金像が置いてある。まるで、そこにいた人々を惜しむように、そこかしこに住民が生活してでもいるかのように黄金像が配置してあるのだ。
俺たちは、黄金像に手を触れてみた。何千年前に作られたというのが、信じられないほど、美しい。しかし俺たちは恐怖の事実を知ることになった。俺たちの体が徐々に金にかわっていったのだ。道理で、設置されている像が新しいはずだ。俺たちのようによくに目が眩んだ冒険者っだったのだろうか。
薄れゆく意識の中で、俺は次にくる冒険者に、警告を出そうとして、くるなという具合に手を前に突き出して、はっとした。そういえば、こんな格好の像、何隊もみたけど、何も考えずに、ここまで・・・・・・・・。
カトリーナの日
俺は、珍しく、店にきたスミス殿をもてなしていた。
「いつものクラシック冒険者飯じゃなくていいんですか。」
「ま、前にもい、言ったけど、あ、あれは、弁当だから至高なんだな。店内だったら、サンドイッチで、い、いいんだな。」
そのこだわりは理解できないけど、確かに、一貫性はあるんだよね。スミス殿には。
「こ、これが次のシリーズなんだな。」
おお、これは。
「ガ、ガウラン様なんだな。いつもここにたむろしてらっちゃるからちゃっちゃっとスケッチして人形作ったんだな。」
スミス殿は、店内でぼけーっと猫ちゃんを撫でているガウラン様をみやった。タール爺も隣で熱心に猫ちゃんと遊んでいる。猫じゃらし、楽しんだよね。これだけ見ると、生ける伝説って感じじゃないんだよね。
「こ、これから伝説シリーズつ、つくろうかと思うんだな。」
「あ、それはうけると思いますよ。」
「魔王のフィギュアとかもうけそうなんだな。」
うーん、魔王なら本物がうちにいるぞ。ぽちをフィギュア化したら、可愛くて別の意味でうけるかもな。
「で、現代の偉人も後で作るんだな。そうすると、みんな自分もフィギュアになるんじゃないかとドキドキするんだな。それで、伝説のフィギュアも欲しくなるし、自分を入れて、伝説のジオラマとか作りそうなんだな。」
「確かに、自分が、そういう伝説の出来事の中にちらっとでも入れたらって、みんな結構空想しますもんね。」
俺もヒーローになった空想とか、忍者軍団と戦う空想を昔したもんだ。懐かしいな。
「そ、そうなんだな。くくく、空想もで、できるから、絶対、受け入れられると、お、思うんだな。」
「すばらしいです!」
「しかも、その一環で、アテナ様、アルテミス様の神殿もミニチュアで出そうかと思うんだな。た、ただ、お二方のフィギュアは、つ、つくらないんだな。」
まあ、そうだよな。神のフィギュアとかはなあ。でも、似せてないなら大丈夫かもしれないけどな。
「そ、そうすると、神殿のいいプロモーションにもなるんだな。」
「あ、だったら、メーたんの神殿も作ってください。」
忘れてたけど、メーたんの神官でもあるんで、作ってもらわないと罰をあてられそうだし。でも、いろいろ想像がふくらむな。
俺は店内で、ゆったりくつろぎながら、猫ちゃんを撫でているタール爺さんとガウラン様を見やった。これで、ほぼ人類最強なんだもんな。人間レベルだけじゃないってわかるよな。
「で、つ、次のこ、この新しいラインなんだけど、フ、フィギュアの作成がちょっと滞っているんだな。で、るーたんに手伝ってもらいたいんだけど。」
スミス殿の提案にちょっと俺は頭を抱えた。うーん、困った。るーたんかぁ。
というのも、るーたんは、最近、神殿のマスコット(?)的存在だし、ぽち(神獣?)と一緒に働いちゃっている。この2人を前のように常時、スミス殿の助手として働かせるのあは、ちょっと難しい。うーん。そ、そうだ閃いた!
「スミス殿、ちょっとるーたんは、神殿の仕事で難しいんですが、いい助手をそちらに派遣しますんで大丈夫です。」
「お、お願いするんだな。じ、じゃ、こ、ここに勘定をお、おくんだな。」
「そんな水臭い。いいですよ。」
「いや、し親しき仲にも礼儀あり、なんだな。」
なんだかんだでスミス殿は、きちんとしている。フィギアなんかの売り上げもきちんと分けてくれるし。
そんなこんなで、俺は、新たな猫ちゃんの召喚を決めた。このままでは、スミス殿の仕事のペースが落ちる。それでは、俺も困る。
もちろん、もしかしたら、俺にそこまでする義理はないかもしれない。しかし、俺はできるだけスミス殿を助けたいのだ。何故なら、最近、とみに感じるのだが、スミス殿と俺は、本質的には、非常に似ているような気がする。というか、ほとんど、同じだ。
やっぱりさ、なんだか、いいものを世に広めたいというのは、やっぱりロマンですよね。このスミス殿のフィギュア。日本で売っても遜色ない出来栄えだ。アキバとかナカノで売ったら大儲けできそうだ。
俺は、午後の暇になる時間までそれなりに真面目に働いた。
皆がいなくなったら、サクっと召喚タイムだ。
俺は、いま持っている力をすべて込めて召喚した。体に力が溢れてくる。レベル200の召喚ということで、大気が震えているのがわかる。尋常でないほどの力が集まる。やべ、この分なら、俺、そのうち、
気がつくと、光の中心に長身の女性がいる。どうやら成功したようだ。
「お父様、およびいただき光栄に存じます。」
「うん、じゃ、今日から、お前を、そうだな。カトリーナと呼ぶ。
「ありがとうございます。今日から粉骨砕身努力いたしますわ。」
なんだか、大仰な感じだが、まあ、いいか。
「こっちは、お前の先輩のるーたんだ。」
「るーたんなん。しくよろ〜!」
るーたん、かっる!軽いよ!
「お姉さま、よろしくお願いいたします。」
「まかせるん!」
ふん、とるーたんが胸をはる。
こうして俺たちのところにカトリーナがやってきたのだ。
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