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タクト修羅場る

あらすじ:「サンタクロースは、いるよ!」


僕は思わず、鉄ちゃんに言った。鉄人くん、サンタはいないって言い張るんだ。


「サンタなんて、いないんだ!うちにきたことなんかないんだ!」


何言ってんだ、鉄ちゃん。それは鉄ちゃんがいい子じゃなかったか、サンタさんが忘れただけなんだ。そうだ、僕がサンタの代わりに届けてあげよう!僕は、そう心に決めた。ゆみちゃんと一緒に鉄ちゃんの家に夜、しのびこんでやれ。


その晩、僕とゆみちゃんは、こっそりしのびこんで、とってきた木の実や果物、そして、魚を置こうとした。その瞬間、ダーンという音がして、僕は目の前が真っ赤になった。


「この泥棒ギツネ!」


「鉄ちゃん、それ、ゴ、ゴン狐。」


僕はそれだけ言うとぱったり倒れたのだ。

カラン、扉が開いた。そして時が止まった。入ってきたのは、ショッキングピンクを着て、金髪のウィッグをかぶった筋骨隆々としたオカマさんである。レティーか。うーん。


みんな、何か怖いものでも見たかのような顔をして、自分は見ていないよ、というふりをしながら猫ちゃんを撫でている。ごまかすために強く撫ですぎて猫ちゃんが禿げるぞ!


「あらぁ〜ん。初めて来たけど、なかなかいいとこねん。タクトちゃん、いる〜?」


その時、ガタっと椅子を倒して立ち上がった男がいる。


「あ、兄貴!」


ゲっ、セ、セオドア。どうも似たような体つきだと思ったら、お前の兄貴か!


「あらーん、テッドちゃんたら、あんたもついにかわいいものに目覚めたのん?」


レティが投げキスをする。不気味なものを見たと、眉をしかめる者がいる一方、セオドアの困った顔をみて、微妙に笑いをこらえている者もいる。


「あ、兄貴!セドリック兄貴が公爵の仕事はこりごりだと嘆いていたぞ!だいたい、セドリック兄貴は子爵として、自分の領地もあるのに、兄貴が仕事をおしつけるから、大変だって、泣いていたぞ!


セドリックって、車みたいな名前だな、そう思っていると、レティの目がギラっと光った。ひぃ、怖い。


「あら〜ん、じゃ、テッド、あんたがやんな!」

「バ、バカなこというなよ、あ、兄貴、俺も騎爵をもらって領地があるし、それに、騎士団の仕事もあるフラフラ下手な人形を作っている兄貴とは違うんだ!」


その瞬間、レティの表情がすっとなくなった。うわ。キレてるぞ。


「あらん、私に意見しようなんて偉くなったものね。ここで指導してあげてもよくってよ。」


レティが二の腕に力を入れる。うわ、ふ、服が吹き飛びそうにパンパンになっている。


「す、すまねえ兄貴。そういうつもりじゃないんだ。」


お、王国一の騎士がびびっとる。ダラダラ冷や汗をかいてるじゃん。まあ、怖いよな。ゴリラみたいなやつがショッキングピンク来ていたらなおのことだよな。


「そんなことより、クタトちゃん。これ、持ってきたの。王女様いらっしゃるかしら?」

「お、王女様は、残念ですが、買い物、あ、用事で・・・・」

「ふふふ。いまだに買い物三昧なのね。タクトちゃんも将来苦労するわね。絶対散財するわよ、王女様」


それに関しては完全に同意だ。王女の買い物がひどすぎて、もう2部屋クロゼットとして潰してしまったぞ。クモ山さんも嘆いていた。


「それにしてもタクトちゃん、いい男ねん。もし、他の人のものじゃなかったら、私のものにしちゃうのに、うふふふ」


背中に寒気がいったり来たりだ。怖すぎだろ。舌なめずりしているし。


「お、王女様には、こ、こ、これ、お渡ししておきますよ。」

「うふふふふ。タクトちゃん、かわいいわねーどう、この後お姉さんと一緒にデートでも。うふん!」


ひえ、よしてくれ。俺はふるふると頭を振ったが、まだ、帰ってくれない。こっちを舌なめずりして見てる。怖い。


「お、おい兄貴いい加減にしろ!坊主がおびえてるだろうが!営業妨害だから帰んな。商品は坊主が渡してくれるとよ!」


ありがとうセオドア、悪は去った!


「ふふふふ、言われなくても消えますわよん。じゃ、みなさん、レティーの人形よろしくね〜!うふふふ」


うん、気持ち悪い。今日、絶対夢に出てくる。怖い。


レティーの持ってきた商品は、新作のアクセサリーと・・・・・泥人形だった。うーん。どうして、泥人形になるのだろうか。一度、スミス殿と相談したほうがいいよな。これ。


夕方になって先生とローラがやってきた。相変わらず仲がいい夫婦だな。でもなんだか、ローラがいつも何か企んでいるように見えてならない。保険金かけられて殺されたら、犯人は絶対きゃつだ!


「タクト様〜!」


シェールが後ろから抱きついてきた。思わずグラスを落としそうになったよ。


「ど、どうした!シェール?」

「なんでもない。よんでみただけ〜」


訳がわからん。


「はぁああ充電。」


そう言うとシェールが抱きついてスリスリしてきた。


「ああ、タクト様の匂い、落ち着くぅ〜」


ケっという声と、舌打ちが聞こえる。俺のせいじゃない!俺が悪いんじゃないんだ!


俺が落ち込んでいると、急に、るーたんが、俺の背中におぶさってきた。そしてかぷっと首を噛んだ。


「うわ!るーたん、どうした。」

「うん。味見!」


そんなに腹減ってるのか!やめてくれ、るーたん!パパは食べ物じゃありません!


「今、ぽちと吸血鬼ごっこしてん。パパー吸血鬼ってどうして、首食べんの?」

「あ、あれは首食べてるんじゃなくて、血を吸ってるんだよ。」

「血っておいしいん?」

「いやいやいや、そんなのお話だけだから。」


ま、ほんとは、この街にも吸血鬼の真祖がいるけど、伝承のほとんどは、嘘だから。本当は、普段、飲んでんのは、俺たちと同じだから。お茶なんかだから。そいでもって、綺麗な女の人を狙うというのも嘘だから。


だいたいバンパイヤって、単に歳をとるのが遅くて、力が強い人たちだから。飢饉の時、みんながバタバタ倒れているのに、ピンピンしてて、それで、血でも吸ってんじゃねえの、あいつら、って言われただけし。しかも、真祖の生活習慣がめちゃくちゃだから夜しか活動しないとか言われているだけだし。


実はレティーにもバンパイヤの血が入ってるんじゃないかって俺は疑ってる。もしくは、若いつばめを夜な夜な食べてんだろうな。別の意味で。


あいつがバンパイヤだとしても、大好物は、俺みたいないたいけな男の子だから。それに、別に何百年も生きてないし。単に40歳ぐらいが、30歳ぐらいにしか見えないっていうのと、異様に力が強いってだけだから。しかも血じゃなくて違う意味で若い男の子を食べようとしているから!!大切なので繰り返しました。いやはや、クワバラクワバラ。


しかしオカマさんのバンパイヤってのも、おもしろいね。本当だったらね。ショックングピンクだし。フリフリのピンクのシャツにぴちぴちのピンクのパンタロンって、ディスコの時代にもそんな奴いないから。日本のアイドルにだって、そんな頭がおかしい奴は・・・・・あ、うららの人がいた。まあ。それぐらいなもんだ。


そんなことを考えていると、王女様がご帰宅だ。王女付きのメイド達がたくさん荷物を運んでいる。3部屋目を潰す日も近い、俺はため息をついた。


「相変わらず、すごい買い物ですね。」


ち、乳がしゃべった!ってあ、ミリカか。目の位置がちょうど、胸だからいつもびっくりするぞ。


「あら?これは、レティ様の新作ですか?」

「あれ?ミリカも知ってるの?」

「はい、王国の女性でレティ様の作品を知らないなど、もぐりですわ。」


そんなに有名だったのか。あいつ。


「でもアクセサリーのおまけのオブジェはいらないともっぱらの評判ですが。」


逆だ逆!オブジェが主で、アクセサリーがおまけだ。


「でも中には、あのオブェが目的で買われている奇特な方もいらっしゃるとうかがったことがあります。でも、あの苦悶の表情を浮かべたオブジェには何か哲学的な意味があるのでしょうか?」


本来人形が目的で買うべきなんだよな。哲学的な意味があるんじゃなくて、造形が悪くて、安い外国産の大量生産フィギュアみたいになってるだけだ。手作りだけど。


「まあ、それより何より、セドリック様がレティ様のせいで過労死なさるのではと市井ではもっぱらの評判です。」

「セドリックって、セオドアのお兄さんなの。」

「私も詳しくは存じ上げないのですが、そうらしいですわ。」

かわいそうな奴、名前は車だしな。まあ、トーマスとか、機関車っぽいのよりはいいかな?


「あーあ、それにしても疲れたなぁ〜」


最近寝ていないからフラフラだ。気がつくと、ふにゃっと俺の頭がミリカの胸に押し付けられていた。


「ご主人様、もう少しお身体をお労わりなさいませ。」


なでなでされた。うーん、ちょっと気持ちいい。猫ちゃんの気持ちがわかるぞ。


「ご主人様は、かけがいのないお方なのですから。」


うーん、そうだろ、そうだろ、サーシャもこのミリカの態度を見習え!そう思っていたら、乳魔人に潤んだ瞳で見られて、ちゅうされた。うーんなんだかな。


「もう私といる時、他の女の方のことを考えてはいやですわ。」


そう言われて、また俺は唇に吸い付かれた。い、息がく、苦しい!


「はーい、ストーーーーーーーップ!」


俺とミリカの間をサーシャが割って入る。


「なんですか!これからいいところなのに!」

「こんなとこで発情しなさんな。ほら、みんな見てるよ。」


気がついたら、皆にじーと見られていたようだ。はずい。もうお婿にいけないじゃないか!


「そんなこと、関係ありませんわ。私とご主人様との間の愛の語らいの時間なのですから。」

「あんたねー、ま、いいわ。でもね。キスは、こうやるもんよ!」


止めてくれたはずのサーシャが今度は唇に吸い付いてきた。ギブギブ!!


「修羅場かな?」「修羅場だ」「ああ、ミリカ様、おやめになって!」「サーシャちゃん、あんな奴に!」「俺のタクトに何するんだ!」


なんか聞こえてはいけないものまで聞こえてきたような。修羅場じゃないよ!もう。勘弁してくれ。俺の平安な日々を返して欲しい。

いつも来て下さり本当にありがとうございます。皆様のコメント、ブックマーク励みになっております。これからもよろしくお願いいたします。風邪が抜けずに泥亀更新ですみませぬ。

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