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風になったよ

あらずし:あらずしは、誰も気がつかないほどの小さな浅草の裏通りにある寿司屋だ。腕のいい職人がやっている店だが、ネタは新鮮だ。それに、なにより、値段が良心的だ。寿司屋にありがちな、人によって値段が上下するなんていうこともない。店内はいつもピカピカだ。そんな、彼を支える女将は、彼の娘さんだ。8歳の涼子ちゃんを見るとついお客も頬が緩み、ついでに財布のヒモまで緩んでしまう。お母さんは、遠くにいっているの、そう涼子ちゃんはいう。察して欲しい。そんな涼子ちゃんの姿を見て、大将は少しだけ寂しげだ。こんなあらずし、いつか訪れて欲しい。きっとその寿司は、あなたを満足させてくれることだろう。

スミス殿とラムダと俺で御神体を作ることになったのだが、そうなると、どうしても店に人手が足りなくなる。


「タクト殿、こ、これは少し、じ、時間がかかりそうなんだな。」


スミス殿は、神殿の中央で腕組みをした。ステンドグラスが美しく、床を彩っている。その光が丁度落ちるところに御神体を設置しようというのだが、その大きさが問題だ。ラムダの助けを借りても、相当かかりそうだ。


そこで、俺は、また、幻獣召喚を行うことにした。今度は慣れたもので、サササっとすまそう。力を入れて、幻獣を呼ぶ。すると、いつものように猫ちゃんが現れた。今度は、最初から人化していないらしい。黒い小さな子猫だ。こいつは、じゃあ、コザブローと呼ぶことにしよう。


「おいコサブローこっちにおいで」

「だれだよ、あんた。きやすいな。こんなへぼいとこに呼び出されたと思ったら、ここなんだよ。へっぽこだな。それになんだよ、コサブローって最初のコ、って小さいって意味だろ、じゃ、俺のことじゃないな。俺、ビッグだから、そこんことよろしく!うっす!」


えーと、誰だよ、こいつ呼んだの。めんどくさいな。あ、俺か。


「えーと、じゃ、コサブローお前には、ここの手伝いをしてもらおうと思う。ここにいる、コタローとコジローの言うことをよく聞くんだ。」

「はぁ?俺、誰の下にもつく気、ないッスよ。それに、時給、いくら払ってくれるんですか。えwwwえwwwえwwwはぁあああああん???」


コタローが困惑した顔でこっちを見る。


「それになんすか、あんたらもコなんてつけられて。腰抜けのへぼやろ・・・・・・へぶぅ!!!!」


コジローがととととと、と歩み寄り、猫パンチをかました。すると、回転きりもみをして、向こうの壁にぶつかり、ずずずず、と落ちてきた。


「ぶ、ぶったなぁー!飼い主にだって、ぶたれたことないのに!」


まあ、そうだよな。今召喚したばっかだし。


「ち、ちくしょーやるってーくわぁーかかってこいや、このへぼなすやろ、へぶし!」


また、コジローの猫パンチをくらって、縦回転で飛んでいった。壁にへばりついて、ずずず、ずずず、と落ちてきた。


「こ、こうさんッス!も、もうしわけないっス!せ、先輩にはかなわないッス」


コサブローが這いつくばってゆるしを請うた。いや、弱い。コジロー全然本気じゃないぞ。


「タクしゃま、教育的指導なの」

「うん、わかってるよ、手間をかけさせて悪いけど、よろしく頼むね。こいつが使えるようになるまで、お願いするよ。」

「はあ、ああああああん、こいつだとぉ?なめてんのか、へぶし!」


また、きりもみで飛んでいくコサブロー。その後もなんどもなんども空を飛んでいた。その日、彼は風になった!


いつもありがとうございます。

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