るーたん再び満腹になる
いつもお越しいただきありがとうございます。
今日も1日ご苦労さん、そう言って俺は猫ちゃんたちに声をかけた。すると、みんなわらわらと立ち上がって寄ってきた。
「ふぃー、今日はちょっと疲れたにゃん。ケイトが撫で繰り回すんで背中の毛がなくなるかと思った!」
「そっちなんていいよ。こっちはセオドアだぜ。何が悲しゅうておっさんで撫でられにゃあんのにゃ!」
「うううう。アンによだれこぼされたにゃ」
俺はみんなのために用意しておいたカレーライスとスープをテーブルにセットした。
「えええーカレーとスープって!」
そんな文句を背に受けて二階にあがる。おや、今日は珍しく王女が部屋にいる、と思ったら、何かを見てにやにやしている。
「あれ?どうしたの?そんなににへらにへらして。」
「うっふっふっふー。これを見るのじゃ!妾の最新のコレクションじゃ。なかなか手に入らない限定ものを並んでもらって手に入れたのじゃ」
あ、自分で並んだんじゃないのね。そう思ってみると、おいおい、それ、スミス殿と俺が作った馬車セットじゃん。それ全部買ったら高いんだよな。
「あ、よ、よかったね」
「これをみるのじゃ、このうつくしいフォルム。この美しい馬の首のかしげ方。どこをとっても天才の仕事じゃ!」
まあ、それには同意だな。スミス殿の造形力は、今からアキバに連れて行っても一流の職人として働けるほどの腕前だし。海・堂なんかに就職できそうだし。
「それにな。このアクセサリーのきめ細かさ。どうやって作ったんじゃ。」
あ、それ作ったの俺だ。デザインはスミス殿だが。
「ああ、このデザイナーどんな美しい女性なんじゃろ。会いたいなぁー」
いや、会わない方がいいと思うよ、絶対卒倒するし。
するといきなり、るーたんが入ってきた。
「パパーひどいのん!わたしのカレーはどこ?」
「るーたんのもあるから待って。一緒に食べよう。」
「あれ?王女様、パパの馬車見て何にやにやしてんの」
それを言っちゃだめだ!
「どういうことじゃ?これはタクトのではなくわしのじゃが」
「でもパパも作っていたの。」
「どういうことじゃ?」
俺はごまかすことにした。
「ああ、これ、俺も集めているんだ。それでこないだ壊したのを直して。」
「おお、こんなところに同好の士が」
「え、パパーでもぉ」
俺は、るーたんに、黙っていたらカレーをもう一皿あげるから、と言ってごまかした。そして、るーたんから引き離すために、俺の作業場にある新作の別バージョンの馬車を見せた。
「おおおおお、こ、これは???」
「すごいだろ。新作だぜ!」
「し、しかし、これはカタログにも載っていない品!」
そりゃそうだ。作ったばかりのピカピカの一品ものだもの。
「だだだだだだだだだだだだだ」
「どうした、落ち着け!」
「だだだだだだだだだだだだだ」
「え?」
「だだだだだだだだだだんなさま!」
「わかったから落ち着けってば。」
「ここここここここここここここ」
鶏かな?
「ここここここここここここここれ」
頑張れ!
「っこおおおおおおおおおおおおおおこおれ」
よし、もう少しだ!
「これええええくださささささささささい!!!!!」
「だめ」
「どどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどど」
れみふぁそらしど?
「どどどどうしてですか!!!!!!!」
「これ、正確には、俺のじゃないんだ。でも売ってもらうことは可能かもね。」
「かかかかかかかかかかかかかかかかかかかかっか」
か?
「かった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
毎度あり!
というわけで俺は、ついに太い客をつけることに成功した。
「へっへーもう一皿!」
「るーたん、もう4皿たべたでしょ!」
「えええ、じゃあ、王女さまーーー」
「わかったからたべな!」
全く、変な知恵をつけさせてしまったようだ。
「るーたん、ジュース飲みたいん!」
「もう寝る前に甘いものは」
「えーーーー王女さまぁ〜」
「わかったよ!」
うーん、教育上よくないよなぁ〜〜〜。
「へっへーもう一皿!」
「るーたん、もうこれ以上食べたら」
「えええ、じゃあ、王女さまーーー」
「・・・・・ほら」
大丈夫かな。
「パパー、ぽんぽんいたいのん」
だからいわんこっちゃない。
「バチがあたったな。もう王女様〜って言わない?」
「もう言わないのん。」
涙を浮かべてぽんぽんをさする、るーたんであったのでした。めでたしめでたし?
これからもよろしくおねがいいたします。