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一難去ってまた一難

おじいさんおばあさんも縁側でねこちゃんを愛でますよね。

「で、なんであんた、猫ちゃんたちを人間化してダンジョンに潜ろうとしないのよ!メイドカフェってなにさ!」

サーシャがぶーたれる。


「だって面倒だもん。他の人がダンジョンで儲けたおこぼれをカフェでもらうので十分!」

「あんた、今、この国一の召喚士でしょ!なんで王国で働こうと思わないわけ??王立召喚士って、知ってる?」


うーん、めんどい。それよりまったり生活したい。


「あんた、私があんたぐらいのレベルがあったら、王立召喚士を目指すわよ」

「で、レベルが高くたって、召喚できるのは猫ちゃんたちだけだぜ。」

「確かにそうね。」


サーシャもレベルは、34と低くはない。多分、王立の召喚士でも彼女より低いレベルの召喚士は、存在するだろう。俺のアドバイス通り、うさぎを常時1名は召喚してレベルあげしているらしいしね。


まあ、それは、それ。俺は、自分で入れたコーヒーを飲む。まあまあだ。お昼を過ぎると、この猫カフェもお客がいなくなる。忙しくなるのは、みんながダンジョンから引き上げてくる時間だから、この時間は、もっとまったり過ごしたいのに、サーシャめぇ。


「そういえば、アンは?この時間いつもハァハァしに来ているけど?」

「今日は、私がここであんたに話したいから、店に残ってもらっているわ。」


道の向こうにあるうさぎカフェうさみーるを見る。あ、窓ガラスに張り付いてうらめし気に、こちらを睨んでいるアンがいた。怖い。見なかったことにしよう。


カラン、とドアが音を立てる。爺さん2人連れだ。珍しい。


「いらっしゃいませ」

椅子から立ち上がり、にこやかな営業スマイルを顔に貼り付ける。

「猫カフェたまにようこそ。何かおのみものをお持ちしましょうか。」


「いらぬ。今日は、幻獣様たちを愛でにきたのではない。」


若い方が(それでも爺さんだが)即座に返してくる。本当か、年上の爺さんは、猫ちゃんたちをガン見しているぞ。


おや、体からお馴染みの魔力を感じる。この人たち、召喚士か?


「わかったようじゃの。」


年上の爺さんが微笑む。この人、召喚獣だ。もしかして。


「そうじゃ、私が伝説の王立筆頭召喚士であったガウランじゃ。」


生ける伝説キター!って、自分で伝説って自分を紹介するか? 


「で、生ける伝説のガウラン様が、どうしてこんな場末の猫カフェに?」


王立召喚士研究所は、貴族街にあったような。


「ガウラン様、私目にお任せを。今日はお主に話があってきた。わしは、現王立筆頭召喚士のタールじゃ。」


何?その黒そうな名前。


「この国で高いレベルの召喚士が現れたと、女神様のお告げがあった。」



えー、まー今は、92ですけど。


「それ、間違っていますよ。私は、レベル34です。」


サーシャのレベルを借りてみた。『サーシャがこっちを睨んでいる!』サーシャの攻撃だ。『タクトは無視した。』


「嘘を言うでない。強い力を辿ってみたら、ここについたのじゃ。みろ。この計測器を。レベル92を指して…、きゅ、92だと!」


タール爺さんが、ひきつけを起こしたような驚愕の顔で固まった。もしもし〜。まあ、無理もないよね。多分、このレベル過去最高の値だろうし。


「ガウラン様、この計測器、壊れています」


ガウランさん、猫ちゃんをなでたそうにしている。しかし、意思の力で猫ちゃんから目を離した。おもしろい。


「壊れてなどいない!確かにこのこわっぱ、すごい力を感じる。こいつこそ、お前の後を継ぐ王立筆頭召喚士じゃ。なあ、そこのこわっぱ、お前、王様に会って…」

「お断りします!」

「なんだと!」「なんじゃと!」「なんでよ!」


うるさい。ハモったぞ!


「私は、ここのオーナーであることを誇りにおもっております。街の人々に幻獣様たちによる癒しを与えるのが私の使命です!」


なんて、まったりしたいだけなんだけどね。


「それに、私が召喚できるのは、ここにいる幻獣様たちだけです。」


「それは、問題ない」


タール、お前、顔が近い。爺さんとキスするような変な嗜好はないから離れろ。


「お主がやることは、このガウラン様を召喚し続けることだけじゃ!ガウラン様がお主の魔力を使って全ての召喚を行うことが可能じゃ。できれば、私が召喚を続けられればよかったのじゃが、しかし、最早私もじじい。もう魔力が枯渇する時間がはやくなってしまったのじゃ。」


ぷるぷる震えるタール爺さん。痛風か!


「も、申し訳ありません。ガウラン様、タールが、タールがもっと若ければ。」


崩れ落ちるタール。ガウランさんといえば、幻獣に手を伸ばしていたよ。全然、きいちゃいねえ。


「あ、う、うん。立ちなさい、タールよ。お主のせいではない。その苦しみ、痛いほどよく分かる。」

「ガ、ガウラン様!!!」


本当か?タール爺さんの話、半分も聞いていなかったよね。ね!タール爺さんも騙されるなよ、そいつ猫ちゃんが撫でたいだけだぞ。


「わし以外には、不甲斐ないことにガウラン様を召喚できるような魔力を持つ召喚士がいないのじゃ。このままでは、ガウラン様を現世に召喚できなくなってしまう。」


うーん、そこに何か不都合があるのかな?平和な世の中だし。ガウラン爺さん、本格的に猫を撫で始めた。なんか、幻獣様かわええのぉ、って声も聞こえるよ。


「どうだろう、タール殿。こうなったら、ここに毎日通うのじゃ!それで、タクト殿を説得するのじゃ。」

「はい、いいお考えだと存じます。ガウラン様!ここは、幻獣様達と、タクト殿の魔力で満たされているので、ガウラン様を召喚し続けるのが、かなり楽になりました!」


こうして、猫カフェたまに、二人の爺さん、げふんげふん、もとい、常連客が新たに増えたのであった。って、なんだこれ?


ねこちゃんのしっぽをいきなり掴むと猫パンチをくらいます。

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