るーたんアナウンサーになる
いつも読んでいただきありがとうございます。
『おほん、あータクトよ、聞こえるか。』
俺がコーヒーを淹れていると猫神様の声がした。おお、久しぶりだ。
「おひさしぶりです。猫神様。」
『頼みがあるんだが、また、猫道中のロケをしたいんじゃが』
どうも聞くと、結局、どこからか、猫神様と、ミーちゃん様のスキャンダルがスクープされてしまったらしく、なんとか視聴率をドカンととらないとキャスターの地位が危ないそうだ。
「でもなあ、視聴率とれるって言ったってなあ。どうすればいいのか。」
どうやら、特別に何もしなくてもいいらしい。それにしても、また猫道中か。気まずい。ものスゴく気まずい。ミーちゃん様とどうやって顔を合わせたらいいものやら。
俺は、視聴率が取れそうな、まともなメンバーを厳選することにした。
まず、セオドアやケイト、そして、前回騒ぎを起こしたアーサーなどは除外だ。
そこで、俺が考えたのは、ミケ、コタロー、コジロー、るーたん、ポチをスタッフに置き、いつも静かな常連、先生などに出演してもらうことだった。ちょっとサギっぽいが、シェールや
王女にも客席に座ってもらう。どうせ、時間を巻き戻すのだから、色々バレてもいいし。
ミーちゃん様が到着する。気まずい。俺はペロペロしに行った。気持ちがられたがなんとか許してもらえたようだ。
そして、ロケが始まった。
「さて、またここ、猫カフェたまからお送りしております。さ、こちらの方にお聞きしてみましょう。さて」
「わー猫ちゃんかわいい!!!!」
王女が猫スキーなことをすっかり忘れていた。よだれを垂らしながら襲いかかったが、さすが本気のミーちゃん様、マイクで返り討ちだ。ゴーーーーーン、とすごい音がしたと同時に王女がキューーーーーっと倒れた。
その時るーたんが、ささっと、ミーちゃん様のところに移動した。
「いいなあ。るーたんもやるのん。」
そして、パッとマイクを奪い去った。
ミーちゃん様は、すぐさま取り返そうとするが、カラン、と扉が音を立てた。誰だ!今日は貸切のはずなのに!
「おじーちゃんいる〜?」
あ、これダメなやつだ。リリーがやってきた。
「ちょっと、誰、この子入れたの!ここ貸切でし」
「ね、猫がしゃべったっーーーーーーーーーー」
そのまま、リリーはむんずと両手でミーちゃん様を掴むと目の上に差し上げた。高い高いをしているようだ。そしてガニ股で歩いて歌い出した。相変わらずMPが吸い取られるような踊りだ。
ねこがじゃべった。しゃべったねこが。ダバダバー、シュビドゥバー。ねこがしゃべるよ、ゃべるよねこが、スンドコー、ドコドコー
ミーちゃん様は、マイクを振り下ろそうとするが、マイクがないことに気がついて絶望の表情をうかべる。そのまま、変な歌を歌いながらリリーはカメラから遠ざかる。死んだ目をしたミーちゃんを抱えながら。遠くからシュビドゥバーとズンドコーだけが聞こえて来る。
「ではるーたんが続きをすんのん!」
るーたんは、倒れている王女の上を踏み越えていく。ぐえ。とカエルを踏んだような音がする。気のせいか?
「この店で一番おいしいものをおしえやがれ!」
るーたんそれは敬語ではないぞ。しかし、先生はにこにこ答えようとする。さすが人格者。ところが、るーたんおかまいなしに話し出す。
「やはりサンドイッチだそうです。」
先生、全然話してねえよ!
「はい、次のシェール。誰かわからないけど、シェール。ここでおいしい飲み物は」
シェールも口を開こうとするが、すぐ、るーたんが自分で答えてしまう。
「そうですねん。コーヒーです!いつも店長が入れるけど、シェールのもおいしい、あ、シェールは、ここが初めてのお客さんです。間違えたん!」
自分でサクラだってバラしてますやん。俺は、ディレクターの方をみた。まだ続けてほしいらしい。その瞬間、ディレクターがるーたんを指差した。とたんにるーたんが、元のねこちゃんの姿に戻る。
シェールがいきなり叫ぶ。
「あ、るーたんがねこにされた!逃げてーーーーーここは危険よ!!!!!!」
「わーーー、助けてーーーーーー」「押すなーーーーー。」「痛い痛い!押さないで!」
みんな逃げ出そうと阿鼻叫喚だ。
それを背景に、ねこになったるーたんはにっこりわらった。
「以上、担当はるーたんでしたん!」
どうも高視聴率はとったらしいが、ミーちゃん様は1ヶ月引きこもったそうだ。放送のあと、あの可愛いねこちゃんは誰だ、ということになりい、連日のように、るーたんに、仕事のオファーが来るのであった。
これからもよろしくお願い致します。