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いつもの日常のはずが……

猫ちゃんかわいいなぁ。

「お、俺が好きなのは犬なんだ、犬!犬派なんだぞぉ。うう、かわええのぉお、かわええのおぉおお、ペロペロ!」


この気持ち悪い声はケイトだ。これで、王国の懐刀、王国騎士団の第2分隊の隊長だ。ファンも多いらしい。クールビューティーと呼ばれているらしいが、この変態的な姿を見せてあげたい。

「タクト殿!」

そら来た。目が血走っているし、鼻息も荒い。


「すまんが、自立式猫じゃらし3号、ほのかなまたたびの匂いつきを所望する!」

「くくくく、ふははははは!遅れているなあ!ケイト殿!」


この筋肉ダルマは、セオドアだ。こいつは王国の騎士団長にして、第1分隊隊長らしい。風貌は、めちゃくちゃこわい。そのくせ、ちょっとダンディで、この城下町の奥様方に大人気らしい。ちょっとこの間、盗賊を捕まえているのを見たが、こいつの方がよっぽど盗賊の頭っぽい。

それでいて、にやにや猫ちゃんを膝の上にのせて愛でている顔は、怪しい薬をキメているようだ。


「な、なんだと、セオドア殿!何か、知っているのか!」

「ふふふふ、タクト殿、自立式猫じゃらし4号、ガッつりまたたびの匂いつきを持ってきてくれい!」


ホーナスタイムだ。やった!!この2人がいつも来てくれるお陰で猫カフェも安泰だ。気持ち悪いのには目をつぶろう。そうしよう。うん、それがいい。ねこじゃらしをセオドアに渡す。


「ほれほれ。よくみるのだ!ふははは、圧倒的じゃないか我が軍は!」


こいつ、日本から来たんじゃないか。まあそれはそれとして、猫ちゃんたちも、これは、好きなので、振り回しただけで喜んでいる。


「ふおおおぉ、す、素晴らしい。タクト殿!どうして俺にこんな素晴らしいものがあると教えてくれなかったのダァーっ!!!!」


ダァーってあなた。実は、ケイトが帰ってから入れ違いのように入ってきたセオドアに新型おもちゃのことを話しただけだ。


「くっ、お、俺にもこの自立式猫じゃらし4号、ガッつりまたたびの匂いつきをお願いする!」

「あ、すみません。まだ、これ1つしか作ってないんです。」

「なんだとぉおおおおお!」


ケイトが叫んだ。怖い。


「わ、わかりました。明日までに作りますから明日お試しください。セオドア様に続いてこれを使う2番目のお客様になっていただきますので。」


パアァァァっと顔が輝く、ケイト。


「ふふふふ、どうやら、剣の腕前と同じように、貴公は、所詮2番目のようだな。」


おい、筋肉ダルマ、お前、余計なことをいうなよ!


「くっ、今度の大会ではおれ、わ、わたくしが優勝する。見ておれ!」

「ふはははは、去年も、その前も、そしてその前も同じこと言っていたような気がするぞ」

「くっ、タクト殿、コーヒーのお代わりを、それからこの男にも持ってきてくれ!私のおごりだ!」

毎日、よく飽きないよな、こんなことやっていて。しかも、これ、朝なんだよな。朝ごはん目当ての常連の冒険者たちは、それぞれ自分のお気に入りの猫ちゃんを見ながら朝ごはんに忙しい。完全に、こいつらのことは無視だ。様式美だ。


「貴公、そんなに猫が好きなのか。」

「ち、違う、わたくしは、犬派だ!」


ちょっと黙り込んで猫ちゃんを愛でていたと思ったらまた、喧嘩が始まるのだろうか。


「貴公もそろそろ、家庭を持って、きちんと腰を落ち着けたらどうだ」

「く、よ、余計な御世話だ。セオドア殿!貴公こそ、この間公爵夫人に、娘さんを紹介されたらしいじゃないか。」


この筋肉ダルマが公爵夫人の娘か。世も末だ。ダルマも痛いところを突かれたのかしばし無言になる。それゃそうだ。奥さんと娘さんに知られたら殺されるだろ。


「いいことを教えてやろうか。貴公が、それほど幻獣様が好きなら、毎日、ただで撫でる手があるのだが、教えて欲しいか。」


ケイトの手が止まる。そういえば、こいつら、毎日来て、いろいろ頼んでくれているから、ものすごいお金使っているんだよな。特にケイトは、稼いでるお金のほとんどをここに落としてくれているのではないだろうか。


ギギギギギ、とケイトがセオドアの方を向く。

「セ、セオドア殿、そんないい手があるのであったら、ぜひ、御教授願いたい」

「ふふふ、では、もう二度と公爵夫人の娘のことは公言するではないぞ。特に、拙者の奥さんと、娘、そして部下どもにはな。」

「も、もちろんだ!や、約束しよう!さ、はやく教えてくだされ!」


なんだこの三文芝居?それにしても筋肉ダルマ、こう見えてももてるんだよね。第2婦人第3婦人と増やしていくがいい、そして、呪われるがいいわ!


「それはな。貴公がタクト殿と結婚すればいいのだ。簡単なことだ。貴公がオーナーと結婚すれば、私のも安く年間パスを分けてもらえるし、な…」


なんだか、最後の方が黒かった。このダルマ、なんてこといってやがりますか!


「その手があったか!」「その手があったんですね」


あれ?なんだか、声が二つ聞こえたような。


「タクト殿、綺麗なお姉さんは、好きかい。さあ、式はいつがいい?」

「タクト様、ずっと好きでした。結婚してください!」


お前ら、ずっと、話を俺も聞いていましたから。あんたらの黒い企みはわかっていますから。それより、アン、お前、うさぎカフェの仕事はどうした!それにお前ら単に猫ちゃんたちにハアハアしたいだけだろ!


カラン、とドアから誰かが入ってくる。


「アン、あんたがいないとうさぎカフェ開けられないじゃないの!」



サーシャ、お前、いつになったら一人で店が開けらるようになるんだよ。メイドカフェミケを見習えよ。あいつ、全部一人でやってくれるぞ!


カラン、また、誰かが入ってくる!


「結婚なんて私が許さないにゃ!あんたの子は私が生むんだから!」


ミケ、お前、メイドカフェは???


いつなったら静かな日常が戻ってくるんだろう。その時、気がついた。目をキラキラさせたランちゃんが上目づかいでこちらを見ているのを。


「店長、私が奥さんになってあげてもいいよぉ!」


ランちゃん、あんたまだ9歳でしょ!


猫ちゃんていつも寝てますよね。

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