ミケ行方不明になる
これまでのあらすじ:世界一のケーキ職人を目指していたピエール。その前に立ちはだかったのは、親友のアントンだった。二人は世界ケーキコンテストで激突することになった。その時、ピエールの心を揺さぶる真実があかされる。アントンはピエールの実の兄だった。しかも、ピエールのガールフレンド、モーリーを奪い去った相手でもあった。さて、時を同じくして、モーリーは自分の体の異変に気がつく。もしかして、子供が。しかし、どちらの?波乱の展開の中、ついにケーキコンテストが始まったのだ!!
「タクトよ、ついにこの日がやってきたようですね。」
アルテミス様が静かに俺に語りかけた。アテナ様も隣に並んでいる。
「ミケがついに神になる時がきたのです」
「タクトよ、あなたは、神のゆりかごとして立派に責任をはたしました。」
「しかし、ミケは神として旅立つ時がきたようです。」
「そ、そんなのいやにゃ!」タクトといつまでもいるにゃ〜〜〜!」
その瞬間、ミケの姿が掻き消えた。
「時間跳躍」
「どうやら始まったようね。」
「ええ。」
絶対、この女神達、アニメ見てるよ!しかし、時間跳躍か。信じられないことに、どうもこの日がやってきてしまったようだ。ミケのレベルがついに30に達した。レベル30で、ついにミケも時間旅行をできるようになるのだ。ただ、その引き換えとして、1cm身長が縮んでしまうというデメリットも存在するのだが。それにしてもびっくりだ。
その瞬間、アルテミス様がちょっと眉をしかめた。
「あ、やっちゃった。」
「ど、どうしたんですか。」
「ミケったら、過去に戻ったようなんだけど、自分だという認識のないまま、過去のトラックに轢かれそうになった自分を助けてしまったのよ。」
「えーと」
「つまり、ミケはもうこの時間軸、というかこの次元に存在しないの。」
「あー」
俺にはさっぱりわからなかったが、ミケが消えてしまったということだけは理解できた。
「助けにいくことはできるんですかね。」
「そうね。ミケと違って我々は古い神だから既にどの次元にも、どの時間軸にも存在しているから助けようと思えばね。彼女一人じゃ帰ってこれなくても私達なら連れて帰ってこられるし」
アルテミス様がそういうと、今度はアテナ様がじっとこちらを見る。
「まあ。問題は、本当にミケが助けてもらいたがっているかということなんだけど。タクトはどうしたいの。」
「お、俺は助けたい。ミケがいない現実に我慢できそうもないし。」
これだけに関しては即答できる。
「そう。ミケは自分を助けてしまったため、元のミケが助かったであろう並行世界に迷い込んだのね。それで本当の世界を探しているうちに移動をかさねて、今はここらへんのはず。」
アテネ様とアルテミス様が俺に触れた。すると次の瞬間、6人の俺にかしずかれたミケがいた。一人は椅子にして、一人は足台に。一人は、風を送って一人はテーブルになっていた。そのミケのそばには給仕の俺と、肩もみをしている俺がいた。
「はー、極楽極楽。これは元の世界に帰らなくてもいいにゃ!」
そんなミケの言葉を聞いてアテナ様が言った。
「ね。助けてもらいたそうにはみえないでしょ?」
しかし、ミケはこちらに気がついた。
「にゃ!こ、これは誤解にゃ!」
「お前、俺にいつもこんなことさせたかったんだな!」
「しかたにゃいにゃ!だって、いつも他の女性にちやほやされていて、あたしには、何もしてくれにゃいにゃんて、ひどいにゃ!」
「まあ、帰ろうよ。」
「どうしてにゃ。このまま6人のタクトに囲まれるのも悪くにゃいにゃ!」
「でもそれは本当の俺じゃない。わかるだろう。それに俺がいやなんだ、お前がいなきゃ!」
「うううう、タクトーーーーー」
ミケが抱きついてきた。アテナ様とアルテミス様が顔を合わせて頷いている。そして、俺たちに触れると、元の場所だった。
「あたしはタクトと離れないにゃ!」
「いいわよ、それで。」
「でも旅立ちって・・・・・・」
「ああ、それは女神免許を交付してもらうためよ。」
「はああああああ?」
二人はどこからか免許を取り出した。アテナ様が、おっしゃった。
「持っててよかった女神免許!これがあれば神界デパートで5%のポイントがつくのよ。だから、免許をもらいに行こうと思ったの」
「それに紹介者にも、5000ポイントつくし」
はあああああああ?????どうやら、この謎の自体の発端は、ただのポイントカードにつくポイントが原因だったようです。なんだったんだ。
いつもありがとうございます。これからもよろしくお願い致します。