ミケ、神になる
あらすじ:「こんなものかたわいもない」
魔王が鼻で笑った。
もうひとかけらの力も残ってはいまい、エドガーは暗くなる視界の中でほくそ笑む魔王を見つめた。
「く、神よ、力を!」
生まれて初めて神に祈った。愛する仲間も殺された。愛する恋人も力尽きた。そして、長い間、魔王と打ち合ったエドガーの腕には既に、一絞りの力も残されていなかった。
「エドガーよ、もっと心より祈るのです」
その時、幼い時、自分を魔族からかばって死んだ母の声が聞こえた。
エドガーは心から神に祈った。するとどうであろう。その時、彼は、自分の命自体が燃え出したのを感じた。多分、これで彼も死んでしまうだろう。しかし、これで世界に平和が戻るのであれば!彼は、剣を構えなおした。
「プリンルよ」
「は?」
いきなり、猫ちゃんが変なことを言い出した。なんだ?
「ここにおいてもらうことになったし、名前わからないとこまるでしょ。」
「なんか、いいにくい名前だな。」
それ、名前かよ、どんな名前だよ。と思ったら後ろから声がした。
「整いました。」
「ふ、ふわ」
ひ、久しぶりのアテナ様でちょっと反応が遅れてしまった。
「神の名前とかけまして、ホームレスとときます」
「そ、そのこころは。」
「どちらもいえない(家がない・言えない)でしょう。」
「ふへ?」
意味がわからない。するとアルテミス様が解説してくださった。ありがたや、ありがたや。ついでに拝んでおいた。
「私たちの神の名前は、人間には発音できないから似たような名前をつけただけよ。人間の発声器官では発音できないから。」
「え、それって、アテナ様やアルテミス様の名前もですか。」
「もちろんよ。だいたいこの姿でさえ、本来のものではないし。」
よくわからない。まあ、いいか。
次の日、人化したプリンルを俺は午前中、猫カフェでこき使った。まあいいよね。働かざる者、食うべからず! There’s no free lunch!
しかし、プリンルは、なぜかびびっていた。なぜだ。顔が青いぞ。
「あ、あの、ここ。どんなとこ?」
「は?普通の猫カフェだけど。」
「バ、バカなこと言わないでよ。皆、ほとんど半神化してる幻獣、かもうすぐっていう状態の幻獣がゴロゴロして、普通じゃないわよ。」
「へー、あ、プリン、コーヒー飲む?」
「私はプリンルよ。いただくわ。それにしても、ここ、すごすぎでしょ!」
「ふーん」
あ、今日のコーヒーはいい味だ。
「ふーんじゃないわよ、特に、あのイケメン、コジロー様ほどじゃないけど、すごいオーラよ。」
プリンルは、まだ、ふーふ、コーヒーを冷ましている。熱いコーヒーは、飲めないらしい。こいつは猫舌か。猫だけに。こいつが見てるのは、コタローか。どうもこの女はクール、俺様系がすきなんだろうな。コタローは爽やか系だし。
「プリン、お前、猫舌だな。」
「なによそれ、当たり前じゃない」
「いや、コジローは熱いコーヒー好きだぞ」
いきなり、は、っと目を見開いて飲もうとしたが、熱すぎたのか、ゲホゲホしている。いくら、コジローが好きで同じようにしても限界があるよな。
その時、なぜか、プリンルは氷ついた。どうした?じっと、ある方向を凝視している。あ、ミケか。
「どうしたんゃー。その猫、何者にゃ!」
すると、ずざっと、プリンルは土下座した。は?
「まさか、ここにも猫神様がいらっしゃりゅとはおもいませんでした。」
咬んだ。というか神ってなんぞ?
「おい、ミケ、こいつ何言ってんの?」
「あ、そうにゃ、今朝起きたら、レベル30になってたにゃ!」
「なんですと??????普通、猫ちゃんのレベルって年齢でしょ、」
「失礼にゃ!タクトのレベルが急速にあがったから私のもあがったにゃ!」
「お、そう言われると、レベル190になってるな。」
プリンルがそれを聞いて俺の方にも土下座した。
「せ、聖人様だったんでしゅか。ご主人しゃま。ひ、ひーーーーー」
わけがわからん。俺、ただの猫カフェオーナーだし。
いつもありがとうございます。またお越しください。