女神様降臨の日
再び波乱の予感です。
もうすぐ秋だ。風が心地よい。ずっと最近忙しかったので、今日はお休みをもらって街の外の丘に来ている。冒険者ならけしてこんな場所でハンモックで寝ようなんて思わないだろう。しかし、俺には最終兵器、コタロー、コジローがいるので平気だ。むしろ、動物や魔物が貢ぎ物を置きにくるのがちょっと面倒なだけだ。でもそれも二人が対応してくれているからまあ、問題ない。
「コタローさま、どうぞ。近くでもらったハチミツです」
「ありがと!」
コタローは大人気だ。
「コタローさま、この子の頭を撫でてやってください。強い子に育つように!」
「はいはい」
「お兄ちゃん。ありやとー」
「コジローさま、これ、近所でとれた果物です」
「ん。」
コジローは相も変わらず威厳がある。しかも変な層からも大人気だ。
「コジローさま、握手してくだせ!今度の対抗戦で勝てるように!」
「ん。」
コタローの方が老人や子供が多いのに比べて、コジローは、ガタイのいい、ちょっと荒くれ者のような魔物に人気だ。
そんなこんなで寝ている。ぐぅー。すると強烈な神気を感じた。これはアテナ様でもアルテミス様でもない。いそいでペロペロの準備だ。コタローもコジローも背中をぴんとして敬意を示している。
「やーねーん、こんなとこでさぼっちゃって!」
「あ、女神様申し訳ありません。ペロペロ」
この世界の女神様だった。メーちゃん様だ。
「め、女神様」
「いやん。メーたんでいいわよん」
なんだか汗がだらだら流れてきた。
「メ、メータン様、今日はどのような用事で」
「そろそろ、うちの方で感謝祭があるから、あんたも神殿にいって他の神官に指示を出しなさい。まず、今年は、もっと大掛かりにやってほしいわん。それからねえ……」
ながながと続く要望を頭の中に刻み込んで行く。これは、今日の休み完全に潰れたな。
「というわけ。わかったん。」
「はい、メータン様。ペロペロ」
メータン様のサンダル、他の女神様と味が違うんだな。よし覚えた!
といわけで、俺はハンモックをたたみ、貢ぎ物をリュックにつめてメータンの神殿に向かうことになった。
「おおお、どうされました。神官長」「おかえりなさいませ。」「おひさしぶりです。」
「すみません。ちょっと上の位の神官の皆さんを呼んで集まっていただけないでしょうか。」
しばらくして神官長室にみながやってきた。
「先ほど、女神様とお会いしました。」
「女神様と!!」「おおおお、ありがたや。」「聖人様じゃ!」「私にもその神気をわけてくだされ」「女神様ラブ!」
なんだか謎の言葉も聞こえたが、まあ、いいか。
そして、バタバタとした混乱の中感謝祭の段取りを決めていくのであった。感謝祭っていっても何か売るわけじゃないからね!
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