メニューを頼む前に、テーブルにないか確認しよう!
定食屋で手書きで貼られているメニューが黄ばんだりしていると切ない。
「猫カフェたまのメニューの全面見直し?」
シェールが驚きの声をあげる。今や、サーシャいわく、シェールはハーレムの新人王らしい。よくわからないが。
シェールが神殿と猫カフェで働くと知り、アンは絶望したらしい。でも最近は立ち直って、せっせと休み時間や休日に猫ちゃんも撫でに来てくれる。
「でもさ、休んじゃったら常連さんに悪いよね。」
「そうだ。だから内装も少しづつ営業しながら変えていくよ。少しづつ変えるから気がつかないけど、終わってみたら前とは全然違うという感じを目指すよ。」
実は、神官の仕事も軌道に乗ってきたので、本職の(本職であるはずの)猫カフェのメニューをすこし見直そうと思ったのだ。
「でもさ、結構定番になっているものは残して欲しいわよ。常連さんはそれが楽しみできてくださる人も多いから」
サーシャがいう。確かにそうだ。
「そうか、クラシック冒険飯のやきそば、たこ焼きははずせないよな。」
「アホー、何がクラシックだ。あれこそいらんわ!」
サーシャが激昂する。怒ると美容に悪いぞ!
ということで、サンドイッチ、ねこまんま、冒険者飯、コーヒー、緑茶、ほうじ茶などの定番は残すことにした。クラシック冒険者飯は、オーナーの気まぐれメニューで時々提供していいそうだ。何が時々だ。あいつらぜったい俺に出させない気だ!
俺は前から入れてみたかった料理がある。それが、ナンと使ったカレーだ。それを普通のライスカレーと合わせて提供したい。さらに、パスタも入れてみたいと思っていた。パスタは限定であれば、自分で作る分で足りるし、かつ、『限定』とついたら、結構人間食べたくなるものだから。
そこで、試食会を開いてみんなの意見を聞くことにした。
「これが、ナンカレー、そして、これがカレーライス、そして、カルボナーラとナポリタンだ。朝ごはんにはエッグベネディクトなんてどうだろう。」
テーブルに並べていく。すこしづつ食べてもらい意見を聞くため取り皿を用意した。
ところが結論が出る前に試食会は突然の中止を迎えた。
「パパ、ぽんぽん痛いのん」
そこには全部食べ尽くして、涙をながす少女がいた。
おいぽちよ、これがお前が結婚しようとしている俺の娘だ。お前に養うだけの器量があるかな。俺は一人ごちた。なんだか秋の気配もすぐそこに来ている。
お越し下さりありがとうございました。