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レイス・クロニクル  作者: たゆんたゆん
第五幕 王都 
79/220

第78話 女神の名を冠す

※2016/4/30:第76話にするはずの番号を1番飛ばして第77話となっておりましたので訂正しました。順次訂正致します。

 2018/10/2:ステータス表記修正しました。

 

 「あの“森”はこの国の領地内にありながら、領地ではないという話を耳にしました。であるならば、このまま僕があの“森”に住み、モナークを名乗ることをお認め頂けますか?」


 「「「「「「「「!!!?」」」」」」」」


 ウチの4人意外は皆耳を疑い、驚きの色を隠せない表情だった。ただ一番気になったのが王様の隣りに立つお爺さん、だと思う。僕の一言でこの中で一番きつい眼光だったんだよね。ご意見番にしては迫力ありすぎるよ。


 王様も僕の一言にどう対応すべきか迷っている感じだね。視線を泳がせて、ん? 王様は臣下の反応を見渡すように顔を動かしていたのだけど横のお爺さんと眼があった瞬間、お爺さんが眼を閉じたのを見て頷いたのだ。これって。


 「確かにあの“森”はこの国にありながらこの国の外にある。余としてもそれを是とするに問題はないが……皆はどう思う?」


 「宜しいと存じます。いまあの“森”に割くための兵はありませんし、“森”を自治領として管理してもらえるのであれば一石二鳥でしょう」


 王様の問い掛けにデューオ様の隣で笑っていた男性が声を上げた。向かいのいかにも将軍です! という人たちとは違った感じを受ける人だ。その男性の言葉に歯向かう気も将軍? たちには無いらしく、肯定の意を沈黙で返していた。身分が彼らより高いってことか?


 「では王様の直筆(・・・・)でその旨を書面にして頂けますか?正副2枚を作成して頂き、正を王様が、副を僕が持ちます。署名(サイン)は王様と僕の名前が書かれるようにして頂きたいのですが」


 と王座の横に居る老人に声を掛けてみた。するとニヤリと老人が笑う。


 「よもや見抜かれるとはのぅ」


 当たりだったみたい。僕は王様の顔も声も分からないから、王様サイドからすれば僕を見極めるために小芝居を打つ事くらいはするよね。暗殺される可能性もあるんだから、危険は排除したいと考えるのが普通だよ。


 「いつ気が付いた?」


 「今です。国政に関係する案件を出せば影武者は本人に確認を取らざるを得ない。ご本人が左右の(そで)のどちらかに居られたのであれば気が付かなかったかもしれませんが、動きがあからさまに変でした。あとは最初からお一人だけ眼光が鋭かったので、気になってたのもあります」


 「デューオ」


 「は」


 「よく知らせてくれた」


 「は」


 明らかに玉座に座す人とデューオ様の対応が違う。間違いないようだ。玉座にいたおっさんはそこを退き、本物が居た場所の左右対称の位置に直立していた。それを確認した王様は僕から一瞬眼を離し玉座に座り直す。


 「枠に(はま)らぬとはこういう事かと見せてもらった。ルイと申したな」


 「はい」


 凄いな、圧力がさっきまでのおっさんの比じゃないぞ。


 「貴公の申し出お受けしようではないか。領地の名と領旗(りょうき)は持って()るのか?」


 「りょうき?」


 「(領地の旗でございます)」


 思わず聞き返してしまったのだが、ヘクセさんが小声で教えてくれる。ああ…ないな。どっちも。エトの方に視線を向けるが、首を振られた。つまり無いということだ。あってもブラッドベリ家のものだから使えないね。だったら正直に言うしか無い。


 あとは領地の件が落ち着くまでは生霊(レイス)の件も戒厳令だ。僕たちは気にしなくても人間社会は生霊(レイス)という存在に寛容になってくれるとは考えにくい。それに権謀術数の中で生きてきた人たちが、ほいほいと両手を上げて歓迎するとしたら僕を殺す算段が出来たということの裏返しだろうからね。今それは避けたい。でもまずは。


 「まだ成りたてのもので、どちらもまだありません。この謁見も非公式のものとでしょうから、公式に止め置けるくらいの内容で抑えて頂けると助かります」


 「貴様、陛下に向かって何たる無礼な口の聞き方を!」


 「お間違えなく。最大限敬意は払っております。慇懃無礼(いんぎんぶれい)にならない程度にね」


 「よい、エーレンフリート」


 「は」


 ふむ。ギュンターさんとエーレンフリートさんね。気が短いっと。


 「領地名や領旗に関してまで書面に起こすとなると、このような非公式の場ではなく正式な場で行ったほうが後々問題にはならないかもしれませんが、陛下が非公式で済ませても構わないとお認め下さるのでしたら、後日領地名と領旗をお持ちします。如何でしょうか?」


 「デューオ」


 「は」


 「エルマーの具合はどうじゃ?」


 「ルイ殿に診て頂いて今は落ち着いております。数日後に本格的に診てもらう約束でございます」


 「ルイ殿」


 「はい」


 「余は個人的にそのように扱っても良いと考えておる。貴公の提案を呑もう。その代わり“森”に関しては公にしたくない。貴公もそのつもりで居て欲しい。悪くない条件だと思うが如何かな?」


 つまり、“森”に関しては一任するが大っぴらにしたら分かってるよね? ということだよね。分かってます、分かってます。国を相手取るなんてとんでも無い!


 「感謝致します、陛下。これで安心して眠れます」


 「では、アッカーソン辺境伯夫人の治療の後、登城を願おう。その際に未だ決まってないものを持参して貰おう」


 「はい」


 「うむ。これで謁見は終わる。皆大儀であった」


 「「「「は」」」」


 「お待ちください陛下!」


 そう言って王様が立ち上がった瞬間僕の後ろから女声が響く。アイーダさんだ。


 「アイーダか。久しいな。息災であったか?」


 「は」


 「何用だ?」


 「暇乞いに参りました」


 「聞こう」


 アイーダさんの言葉に王様が座り直す。それを見てアイーダさんが僕の前に歩み出て片膝を付くスタイルで(ひざまず)くのであった。一連の動きが優雅で洗練されているというのが一目で分かる。


 「この度、こちらに居られるルイ殿の下でお世話になることになりました。()きましてはお許しを頂きたく(まか)り越した次第でございます」


 「わたくしもで御座います、陛下」


 「リューディアか久しいな。()ということはそなたもルイの下に行くのか?」


 「御明察、恐れいります」


 「ふぅ、ルイ殿」


 「は、はい」


 溜息と共に僕の名前が吐き出されるが、嫌な予感が。それにしてもヘクセってヘクセが名前じゃないの!? そりゃあ変わってる名前だとは思ったけど、エルフだからね! なんて納得してた僕はどうなる!? いや、待てまて待て、今はそこじゃなくて王様の次の一言だよ!?


 「他に誰を雇ったのだ?」


 「えっと、ゼンメルさん、ファビアンさん、アーデルハイドさん、マンフレートさんの4人」


 一人ひとり名前を上げていく度に右手側に居る気の短いおっさん達の表情が驚愕に彩られて行き、言い終わるとバッと2人揃って王様の方に顔を向けたのだった。あれ? もしかして、またなのですか? またやっちゃったのでしょうか? 笑顔が引き()るよ。


 助けを求めてデューオ様に視線を向けると肩を(すく)められて受け流された。おい、辺境伯。その隣りの人はプルプル震えてる。笑いを(こら)えてるのか?


 「貴公は人誑(ひとたら)しなのだな」


 嫌ぁぁぁぁ〜〜! また変な言いがかりを付けられたよ!! 女誑(おんなったら)しだけに飽きたらず今度は人誑し!? 本当、勘弁して下さい。


 「あ、い、いえ、そのような自覚はありません。デューオ様にご紹介していただいた方々に頭を下げた結果だと思っております」


 「本当にそう思うのか?」


 「は?」


 間髪入れずに聞き返してきた王様に思わず聞き返してしまった。笑いを堪えてる人はご自身の後ろの柱をバシバシと忙しく叩いてらっしゃる。その様子を白い目で腕組みしたデューオ様が見詰めてるのもシュールな絵だよね。おっと、そうじゃなく。


 「今貴公が名を上げた者たちはここで(・・・)働いていた者たちだ。しかも余の父上に平然と物申し、貴族だろうが将軍だろうがお構いなしに口を挟み異を唱える者ばかりだったのだぞ?そちの眼の前に()る2人もそうじゃ。この臍曲(へそま)がり共をどうやって誑し込んだのだ?」


 「えっと、その、人徳?」


 「ぶわっはっはっはっはっはっはっは!!! やめてくれ! 腹が(よじ)れる!!」


 そう言った途端、ついにあの方が爆発してしまわれました。笑いすぎて泣いていらっしゃいます。何が面白いのか、笑いの壺が何処にあるのかもわからない僕はただただ引き攣った笑いを張り付かせたままデューオ様の隣りの男性を見ることしか出来なかった。


 「いや〜デューオに聞いた時にはそんな莫迦(ばか)げた話があるのかと耳を疑ったが、その通りに進むもんだから面白くてね。いや、父上失礼いたしました」


 「えっ、あの」


 どちら様で?


 「この者は余の息子でな」


 「ヴァレンティーノ大公テオドールだ」


 あう。王様の次に偉い人だった。


 デューオ様から習った爵位の順位の1番目に来てたやつだ。確か、大公(グランドデューク)公爵(デューク)侯爵(マーキス)伯爵(アール)と続いて、辺境伯(マルグレイブ)は侯爵と伯爵の間だったか。


 「父上、下手な小細工をせずにそのまま取り込んだほうが良いですぞ!こういう男は小細工をすると決して心を開いてはくれません。好きか嫌いかはっきり言った方が良いのです」


 ゔ、確かにそうかも。痛い処を突かれた。というかよくこれだけの時間で人を観れるものだな。流石上に立つ人は器が違うということか。あ、僕も一応そうだね。


 「(あの人すごいね。ルイ様の事言い当てたね)」


 「(うむ。大公ともなれば時期国王候補だ、人を観る眼も確かだということだろう)」


 「(人を観る眼はルイ様も負けて居られませんわ)」


 と3人娘のひそひそ話が聞こえてくる。あのね君たち、静かにしておこうね?


 「一理あるな、だが、それはまたの機会にしよう。アイーダとリューディアの暇乞いを許す。息災でな」


 「「は、ありがたき幸せ」」


 老いた女性が頭を垂れるのを見て王様が席を立ち、奥の通路に進んでいく。その後ろに大公と恐らく将軍たちであろう面々が付き従うのだった。王様が開けられた扉を潜ろうとする直前爆弾発言をして去って行きおった。


 「ルイ殿。アッカーソン辺境伯夫人は我が娘。良しなに頼む」


 のぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜っ!! それでこのコネクションか! 謎が解けた! 何と言うことだ。がくっとその場に崩折れていた僕の前につかつかと寄ってきた者がいる。


 ぽんぽん


 「ま、そういうことだ宜しく頼む。うまい具合に火消できただろ?」


 火が消える前に別のとこで大火事だよ!! キッとデューオ様を涙目で睨み返すが、にこっとしてスタスタと僕たちが入ってきた扉の方に歩き始めた。


 「おい、ぼさっとするな。帰り道に迷ったらウチのようには済まんぞ? 地下牢に()ち込まれたくなかったらさっさと付いて来い」


 くぅっ! こんな酷い騙し討をしておきながらなんて横暴なんだ! それでも付いて行くしか無いじゃないか! 来た道憶えてないんだから。


 慌ただしくデューオ様の後ろに着いて来た道とは全く違う通路を通り、ものの10分で馬車の所まで帰れた時には城が如何(いか)に敵を呼び込んで叩くために造られたのかということが理解できた気がした。大仰な住まいだけじゃなかったのね。


 それから馬車に揺られること2時間。アッカーソン辺境伯邸に辿り着いた時には午前3時間近だった。それなのにアガタさんを始め、アーデルハイドやマンフレート、ゼンメルとファビアンまでも起きて待っててくれたのは驚きだった。僕としては良い人材を手に入れることができたんだな、そう思えた瞬間だった。


 もっともアイーダさんの姿を見た面々の顔に「やっぱりか……」的な諦めのような達観したような表情が浮かんでたのは笑えた。敢えて突っ込まなかったけどな。お腹は減ってるけどその前に休みたいから部屋にお湯を持って来てもらって、皆の背中を拭いてあげてベッドにダイブ。時刻は午前4時。




 次に気が付いた時には陽は中天近くまで登っていた。午前11:27――。お昼だ。


 ぐぅぅぅぅぅ〜


 と僕のお腹が鳴った。可怪しいな。ランクアップしてから体がというか【実体化】が以前の感覚と違うのだ。皆が起きるまでにベッドに横になったまま【ステータス】を確認することにした。いや、本当は身動きが取れない嬉しい状態なので、その状態を維持したかっただけなんだけどね。【ステータス】と念じてみる。


 ◆ステータス◆

 【名前】ルイ・イチジク

 【種族】レイス / 不死族 / エレクトラの使徒

 【性別】♂

 【称号】レイス・モナーク

 【レベル】1

 【状態】加護

 【Hp】3000/3000

 【Mp】8000/8000

 【Str】119

 【Vit】112

 【Agi】113

 【Dex】88

 【Mnd】85

 【Chr】47

 【Luk】39

 【ユニークスキル】エナジードレイン、エクスぺリエンスドレイン、スキルドレイン、※※※※※、実体化(New)、眷属化LvMAX(範囲眷属化)、強奪阻止

 【アクティブスキル】鑑定Lv230、闇魔法Lv612、聖魔法Lv180、武術Lv151、剣術Lv103、杖術Lv98、鍛冶Lv100

 【パッシブスキル】隠蔽LvMax、闇吸収、聖耐性Lv192、光無効、エナジードレインプールLv11、エクスぺリエンスドレインプールLvMAX、スキルドレインプールLvMAX、ドレインガードLvMAX、融合Lv125、状態異常耐性LvMAX、精神支配耐性LvMAX、乗馬Lv146、交渉Lv261、料理Lv80、採集Lv112、栽培Lv156、瞑想Lv383、読書Lv308、錬金術Lv270

【装備】カシミヤセーター、綿の下着、ウルティオ黒羅紗のコート、ブーツ、アイテムバッグ 

【所持金】0


 あ、手持ちのお金全部ベルントさんの所に置いてきたからまた所持金0だね。まぁ、今の時点で困ること無いから良いんだけど。それより、【実体化】レベル表示が消えてるぞ? 【実体化】を【鑑定(アプリーズ)】。


 ◆【実体化】◆

 【分類】ユニークスキル。本来物質の体(マテリアル・ボディー)を持たない者が一時的に物質の体(マテリアル・ボディー)身に着ける事が出来るスキル。持続時間は72時間。【解除(リリース)】は任意で行える。【解除】し再度身に着けた時点で利用可能時間はリセットされる。(ちな)みに72時間を限界まで持続利用した場合、再詠唱時間(リキャストタイム)に24時間が必要になるので注意しましょう。


 「なっ!?【解除(リリース)】!」


 一先ず慌てて【解除】した。ぼふっとお腹の上に乗ってきていたカティナがベッドにそのまま落ちるが僕の体と重なってるからとても変な感じだ。それにしても前回はエトの御蔭で限界時間(リミットタイム)ギリギリで解除できたってことなのか。怪我の功名というか。良かった。使いやすいのか、使いにくくなったのか微妙な変化だけど。神様(エレクトラ)のお節介かもね。


 生霊(レイス)であることには変わりないけど、こうして人肌の暖かさを感じることが出来るのは本当に感謝だね。先の【眷属化】でエナジープールがすっからかんになってるので、夜寝てる間に3人から少しずつ許可を貰ってプールを満たしているんだけど、なかなか貯まらない。その反動もあって彼女達も朝すぐには起きて来れないのだ。


 でも、昨日摘み食いが少し出来たから大分(まかな)えた感じだけどね。


 そんな事を思いながらベッドの空いたスペースに座りなおして【実体化(サブスタンティション)】を発動させておく。これで72時間は大丈夫だ。


 「ふぅ、それにしても昨夜は散々だったな。でも“森”に関しては上手く話が(まと)まりそうだから一安心だ。後は領地名と領旗のデザインか」


 デザインは、許可をもらってからだけど。名前ねぇ。エレクトラって向こうの世界ではギリシャの女神様の名前なんだよね。ギリシャ繋がりでよく似た響きでもあるからギリシャの世界遺産の神殿名から貰って“エレクテイオン”にするか。いや〜捻りが足りないね。


 ギリシャ神話のエレクトラって琥珀(こはく)って言う言葉から来てたって読んだ気がする。あ〜そう言われてみれば瞳の色、琥珀色だったな。確か英語だとアンバーか。ちょっと違うな。と言うことは昔のギリシャ語?知るか!じゃあ、エレクトラの(つづ)りにiaとかniaを付けるって感じでいくか。


 うろ覚えだけどラテン語の国って意味だったかな。だから適当にElektra+ia(エレクトレイア?)、Elektra+nia(エレクトラニア?)。ま、ぶっちゃけ向こうの世界の法則は気にしなくて良いんだけど言葉遊びでrを抜いてElektaniaエレクタニアでいいんじゃない?近所が確かフロタニアだったっけ?良く似てるしね。よし決まり!


 デザインだけどその神様(エレクトラ)の横顔とか良いよな。さて、どう連絡とるかだけど。あれ(・・)受信専用ってわけじゃないよね? 【メニュー】。


  ◆メニュー◆

 【ステータス】

 【眷属ステータス】

 【アイテムボックス】

 【メッセージボックス】


 【メッセージボックス】をタッチする。あった。【チュートリアル?】って何て題を付けてるんだ。と言うか、あの時後で読み返してみようと言っておきながら今まで2年も開かなかったのか。うん、時が経つのは早いんだ。神様から届いたメッセージを開いて見ながら僕はそう苦笑いを浮かべるのだった。


 内容の再チェックではなく、今回は別の目的である項目を探す。【返信】ボタンだ! 何処にある? 不特定多数と連絡が取れるからボックスが在る訳で、そうであれば返信が可能なはずなんだよね。


 「あった!」


 普通のPC画面で見てた右上に小さく【返信】の文字がある。そこをタッチすると返信画面が現れた。使い慣れたキーボードのようなタッチパネルが現れて普通に文字を打ち込むことが出来る。便利な道具があるね。無駄に便利な気がするね。この世界だと使える人限られるでしょうに。


 内容はこうだ。


 〜こんにちはエレクトラ様。実は領地の旗をデザインすることになりまして、エレクトラ様の横顔を模したデザインにしたいんですけど、一度顔を見せてもらえませんか?できればこ今日明日中に〜


 元々メールも億劫(おっくう)な人間だったのであまり長文は得意じゃないんだ。ま、要件が伝わればそれで良いかなという性格なんです。ポチッと【返信】ボタンをタッチする。普通のメールの送信画面のように折り畳まれたメッセージが画面の奥に投函されて【送信されました】とメッセージが出た。こういう所まで凝なくてもいいのに。


 ぴんぽん♪


 2年前に聞いたメッセージが届いたことを知らせる音が部屋に響く。その音に気付いたカティナがのそのそと起きだして寝ぼけたまま僕の背中におぶさって来た。すりすりと頬を寄せてくるのは兎だった頃の名残だろうね。仕草が可愛かったので顔を向けてちょっとだけおはようのキスをしてメッセージ画面に向き直る。


 「さて、何て返事が来たかな?」


 【送信先が見当たりませんでした】


 「え――?」








最後まで読んで下さりありがとうございました!

ブックマークやユニークをありがとうございます! 励みになります♪


誤字脱字をご指摘ください。


ご意見ご感想を頂けると嬉しいです!


相変わらず稚拙な文ですが、これからもよろしくお願いします♪

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