第58話 それぞれの選択、各々の決意
※2017/2/15:本文誤植修正しました。
2018/10/:ステータス表記修正しました。
その頃、天に戻ったと思っていたエレクトラは、同じ“森”の中を何かからに逃げるように藪を掻き分けて走るあの若い女性の前に現れていたのだった。
「はい、スト〜〜〜〜ップ!」
ふふふっ♪ ルイくんは気付いてなかったみたいだけど、あの時この娘もあそこに居たのよねぇ〜。知り合いなのか、そうじゃないのか確かめなきゃね♪
「!? 誰っ!?」
女の子!? こんな“森”に!? 有り得ない。
エレクトラの出現に若い女性は重心を後ろに落としながら急ブレーキを掛けて勢いを殺すのだった。呼吸が荒くなるのはそれだけの距離をここまで走ってきたということだろう。若い女性の双眸がすぅっと細められるのだったが、エレクトラがそれを制す。
「無駄よ。わたしに【鑑定】は効かないわ。わたしからはバレバレだけどね。ふ〜ん。ダークエルフかぁ。ルイくんも相変わらず変わり者に眼を付けられるわねぇ。ま、だから見てて飽きないんだけどね」
「なっ!? 見破られた!? 【看破】のスキル持ちなの!?」
わたしの偽装は完璧のはず。それなのに。
「だから何しても無駄だって。わたしは神様だよ? 一介のダークエルフちゃんが敵うわけ無いでしょ」
良いスキルが揃ってるわね。ま、ルイくんも眷属のステータス見れるようになってるからいずれはこの娘の事も気付くかな。
「な、神」
そんな。
エレクトラの言葉にダークエルフの若い娘はフードを外すと宙に浮んでいるエレクトラを凝視するのだった。この幼い女の子の言葉を否定出来るだけの証拠も自身も今の自分にはない。先程見た恐ろしい光景で心が折れてしまっていたのだ。
◆
時間はルイが【眷属化】のスキルを発動する前に遡る。
がさがさ……
「さっきのカップルが来たっていうのはこの先のようね。足跡もまだ新しい。嘘は吐いていなかったということか」
身体を地面すれすれまで屈めて進行方向を見る。薄暗がりの“森”の中に居るのにも関わらず見えているようだ。
里に帰るためには、手ぶらでは帰れない。せめて生霊の一体でも支配下に置かなければ。
この“森”に巣食う生霊の話を聞いたのも偶然だった。人間の都で占いを家業に不死族の噂話を集めていた時、辺境の地に200年程前に居たのでは?という眉唾な話を耳にしたのが切っ掛けだった。
そもそも生霊は発見され次第討伐対象になるほど危険指定度が高い。それが200年も森の奥に存在し続けているとは思えなかったのだが、人の都に来て10年が過ぎようとしていた生活にうんざりしてここに来たのだ。
やはり、人間には馴染めない。そんな思いが彼女の中で燻っていたのだろう。
暫く歩くと屋敷らしい輪郭が暗がりの中で浮かんできた。
出逢ったカップルはあの屋敷の主人に逢ってきたと話してくれた。その主人が生霊であれば彼らは生きては帰れなかったはず、と言うことはその主人は違う? そもそも生霊が居ないという結末もあるわよね。
そう最悪を想定しながら彼女は屋敷を目指す。屋敷まであと数百メートルという所で、微かに血の臭いが鼻腔を擽った。
新しい血の臭いだけど、新鮮じゃないわね。ここ数日以内ってところかしら。大量ではないみたいだし。
そう思いながら屋敷を迂回し茂みを掻き分けた瞬間、遠くに杖を片手に持って精霊を10体も纏わせている人間らしき後ろ姿が視界に飛び込んできた。
何なの!? 人間が精霊をあんなに使役できるの!? ううん、エルフだって無理よ。何者なの?
彼女はその時点で冷静さを失っていた。好奇心虎をも殺す。旅に出る前に村長や戦士長から厳しく言い聞かされていたのだが、あまりに現実離れした光景を見てしまったために調べなければという気持ちに勝てなかったのだ。
「【鑑定】」
そう彼女は【鑑定】スキルの持ち主だったのだ。しかしそれが裏目に出る。
◆ステータス◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】レイス / 不死族
【性別】男
【称号】レイス・ロード
【レベル】500
【Hp】327802/327802
【Mp】8548594/8548594
【Str】11901
【Vit】11234
【Agi】11345
【Dex】8834
【Mnd】8475
【Chr】4713
【Luk】3850
「ひっ!?」
ぱしっ
思わず悲鳴が出ていたのに気付き、己の掌で口を塞ぐ。
何なの! Lv500!? Mp850万!? レイス・ロード!? 無理むり無理むり無理むり!!! わたしの手に終える存在じゃないわ! こんな魔王みたいな生霊が居るなんて聞いてない!
【スキル】の部分が現れなかったのはルイの【偽装】スキルの御蔭なのだが、今の彼女にはそれを考える余裕すらなかったのだ。
あまりの情報に彼女の膝は彼女の意思に関係なく震え始めていた。その場から1秒でも早く立ち去りたいのに身体が言うことを聞いてくれない。それが恐怖の所為であることを彼女は気付いてなかった。
ぱきっ
「ーーーーっ!!!」
自ら踏み折った枯れ枝の音に総毛立ち、慌てて視線をレイス・ロードに向けるが気付かれた様子はない。ほっと胸を撫で下ろし、ゆっくりをその場から移動し始めた時にそれは起きた。来た道の方向に紅い光が発光しながら線をひき始めたではないか。
いけない! 何かの儀式だわ! あの線の向こうに早く出ないと!
震える膝を拳で殴って力を入れさせ、勢い良く駆け出す。あと2歩で紅い光の線の向こうに出れると思った瞬間、眼の前が紅く染まった。
しまった!!
ずざぁぁぁっ がさがさがさっ
紅い光を浴びはしたものの特に身体に異常はない。光を浴びてしまったという動揺からバランスを崩してそのまま茂みに突っ伏してしまったのだが、すぐさま立ち上がって走りだす。飛び出すように生え出た木の枝葉や刺に肌が傷つけられるが今は一歩でも遠くに逃げ去りたかったのだ。
そしてかなりの距離を走って来たと思った瞬間、眼の前に金髪の幼い女の子が宙に現れたのだった。
◆
「別に貴女を取って食べやしないわ。そんな趣味もないしね。ただ、ちょっとだけ説明に来たの」
「説明?」
何を説明する必要が? それともあの光?
「そう、あの光を貴女は浴びてしまった。幸か不幸かはわからないけどね。後で自分の【ステータス】を見てご覧なさい。貴女の状態がよく分かるわ」
エレクトラはそこまで話してダークエルフの反応を待つ。特に取り乱す様子もない。
大丈夫かな。ルイくんを慕ってる子たちは安心できるけど、この娘はある意味事故だものね。
「これから貴女は選択を迫られることになります」
「選択?」
「そう。ダークエルフ種として格を上げるか、それともエルフという種でありながら今とは違うエルフに進化するかをです。何に進化できるのかという選択肢は貴女の前に示されるでしょう」
「それを何故わたしに?」
「貴方があの光の満ちた中に居たからです。あれは呪いではありません」
「では」
何なのですか!?
「今それを話してもきっと理解できないでしょうね。そしてわたしから貴女にこれを与えます」
エレクトラはそう言うとルイ以外の者たちに振り掛けたのと同じ光をダークエルフに振り掛けるのだった。
「これは?」
「わたしの加護で【エレクトラの加護(強奪阻止)】と言います」
「本当に神様」
「ふふふ。やっと信じてもらえたようね。一つだけ警告です」
「ひっ」
すっと圧力が増したことに気圧されたのか、ダークエルフが短く声を引き攣らせる。
「貴女の見た男性はルイ・イチジクという名前です。彼はわたしの使徒。ですから彼を裏切ったり貶めた場合、この加護は呪いとなって貴女を蝕むでしょう。そうならない事を願っていますわ」
ルイくんとこの娘がこの先逢えるのかどうかも分からないけど。ファミリアを支えるというのはこんな仕事もあるのね。ふふふ。さ、あんまりサボってるとじじぃが五月蝿いから帰りますか♪
ぼ〜っと今の状況が飲み込めてないダークエルフを優しい眼差しで見詰めていたエレクトラは更に光を振り掛ける。
「え? あ」
「貴女が一度眠って目覚めるまでの保護の加護です。大変なことがありすぎて気持ちの整理がつかないでしょうから一度休みなさい。休む前に選択を忘れずに」
エレクトラはそうダークエルフに告げるとふっとその場から姿を消すのだった。
「【ステータス】」
あの神様が言ってた事が本当なのか、見てみないと。
◆ステータス◆
【名前】ナハトア
【種族】ダークエルフ / エルフ族❶ / ルイ・イチジクの眷属
【性別】♀
【職業】死霊魔術師
【レベル】150
【Hp】20200/20200
【Mp】33733/33733
【Str】2211
【Vit】1428
【Agi】2368
【Dex】2320
【Mnd】2333
【Chr】2280
【Luk】1800
【ユニークスキル】隠形Lv26、精霊語、【エレクトラの加護(強奪阻止)】
【アクティブスキル】鑑定Lv70、闇魔法Lv75、死霊魔法Lv100、体術Lv64、弓術Lv57、星読みLv50
【パッシブスキル】偽装Lv80、闇耐性LvMAX、死霊耐性Lv86、状態異常耐性LvMaX、精神支配耐性LvMaX
【装備】毛皮のブレスプレート、硬皮の籠手、硬皮のブーツ、厚手の外套、召喚の指輪、布の下着、マジックバッグ、ミスリルダガー、狩猟弓、硬木の矢☓30本
【所持金】金貨80枚、大銀貨28枚、小銀貨160枚、銅貨385枚
「ルイ・イチジクの眷属。あれは眷属化の魔法だったの? 範囲魔法なんて聞いたことがない。それに【エレクトラの加護】もある。闇耐性、状態異常耐性、精神支配耐性がどれも最高レベルだなんて。状態異常耐性、精神支配耐性なんか最初からなかったのに。ルイ・イチジク様?」
分からない。ちらっとしか見ただけの男を主にとは認めれないし様付けで呼べるわけもない。それにもう逢うこともないでしょうし。眷属であり続ければこのスキルが保てれるのなら、それくらいは何とも無いわ。
ナハトアは首を振りそれ以上考えるのやめた。そしてエルフ族の❶をタッチしてみる。
【ランクアップと進化が可能です。どちらを選びますか? ランクアップ/進化】
「本当にある。進化はちょっと考えたくもないから消去法でランクアップね」
【ランクアップを選択します。宜しいですか? はい/いいえ】
「昔、口伝師がランクアップについて語ってたけど。まさか我が身で経験することになるとは。これは「はい」、ね」
【選択を確認しました。これよりランクアップを開始します】
「うっ、何これ? クラクラする」
どさっ
選択の直後ナハトアは急激な睡魔に襲われる。身体を支えることも出来ず、彼女は草の絨毯の上に倒れこむのだった。俯せになった状態から規則正しい寝息が森の中に吸い込まれていくのであった。
◇
その頃屋敷に戻って来たデミグレイジャイアントとツインテールフォックスおよびブレイブフォックスは、それぞれが玄関のエントランスロビーに集まって今後の事を話し合っていた。
デミグレイジャイアントは12羽中7羽が獣人になることを選ぶ。エドガー、アニタ、カティナ、ジャックとヘルマ、クラムとヒューゴの7羽だ。動機はよりルイに仕えたいという願いに他ならない。だがエドガーが家長である以上残った群れを導くものも必要になる。それで叔父ゴーラが新たに群れの家長として立つ事になる。ゴーラもギゼラに飲み込まれて消化されるのを待つだけだった所をルイに助けられたのだ。恩義を感じていない訳ではないが、家族の誰かがよりルイに仕えれるのであればそれも恩を返す方法の一つだと割りき切ったのであった。
家長の勤めといえばツインテールフォックスたちも例外ではない。取分けシェイラ、レア、サーシャはエレクトラの話を聞いた時点で獣人になることを決めていたのだ。誰かに群れを任せる必要がある。加えてブレイブフォックスのベス、カルマン、セイル、ライル、ラフ、ロロの6頭も獣人となることを選んだ。元々助かる見込みがなかった命をルイに救われたのだ、それをなんとしてでも返していくために選んだと言っても良いだろう。残った者たちの中から三姉妹の従兄弟のタルバが選ばれ、群れを率いることになる。彼は獣としての矜持を尊んでいた。
ギゼラはステータス上ではまだフライングジャイアントバイパーのままだった事に気付く。種の格を上げたとしても人とは成り得ない事を理解したギゼラは進化を選ぶことにする。少しでもルイの傍に居続けるために。
ジルは初めから中途半端な存在であることを自覚していた。魔物との混血児。この状態で種の格を上げとしても魔物の血が勝ることは容易に想像できた。それで彼女も進化の道を選ぶことにする。人でありたいという願いを強く持って。
ディードは高位の存在であるアラクネーになっていたのであるが、これ以上格を上げたとしても人の姿になれる保証がない。他の女性がルイに寄り添っている姿を見てディード自身が嫉妬に狂いそうになっていたのも事実であった。それで進化を選び人の姿を思い描くことにする。愛する男の傍に共に横たわる己が姿を夢見ながら。
アピスは実の処現状で満足していた。杖としてルイの傍に在ることこそ存在意義であり、人の姿は仮初なのだ。ただルイと同じようにしてみたいという欲求が人への変化を促したのである。それでアピスは高みを目指すことに決めた。よりルイの力になるために。
リンは鳥人以外の人生を考え始めていた。それは鳥の頭を持たない者たちの中で長い時間生活してしまった副作用と言っても良い。自分が変わっているのでは? と思い始めたのだ。ルイはそんな事はないと言ってくれるが、リンは人であることを願った。それで進化を選び眠りにつく。
シンシアは悩んでいた。竜族である自分が進化を選んだ場合何が待ち受けているのか……と。ドラゴンではあるものの漆黒の鱗を纏えない可能性が在ることが怖かったのだ。彼女は自分の黒い鱗に誇りを持っていた。それで格を上げることを選ぶ。次こそはルイとの手合わせで勝利し、共に並び立って歩んでゆく姿を夢見て。
コレットとエトはエリザベスの決定に従うつもりで居た。ルイの眷属ではあるものの、エリザベスに長年仕えてきた家人なのだ。その誇りが彼らを動かしていたのだろう。そしてその願いを聞いてエリザベスが選んだのは格を上げることだった。真祖にたる力を再び取り戻すことが彼女達の願いでもあり、矜持であった。また堕ちた家と揶揄された血族の無念を晴らしたいという願望も背中を押したであろうことは否めない。願望というよりそれはもはや悲願であった。
一方、10体の精霊たちは人工池の上でゆらりゆらりと舞っていた。
[俺たちはどうする?]
[上位精霊になったら間違いなく潰されるわね]
[そうそう、莫迦にしてたくせにね]
[見返してやりたいけど、格を上げるんじゃなくて進化で見返してやるって事で皆いいかい?]
[[[[[[うん、それがいいね!]]]]]]
急遽眷属へと選出された彼らはルイを嫌っていたわけではない。むしろ好いていた。そこを体良く眷属を理由に追い出されたという事に不満を持っていたのだ。勿論ルイに付いて動けるのは嬉しいことだけども、それに加えてこちらに来なかった奴らに羨ましがられる存在になる、という強い願いを持って彼らも進化を選ぶのであった。
「ふぅ」
池の上で飛び回っていた精霊たちがふっと消えたのを窓越しに確認して水差しからコップに水を注ぎ一気に飲み干す。今まで【実体化】している最中には起きなかった現象だ。喉が渇くなんて。何かしら変化が起きてるってことかな?
寝室の大きなベッドの上にはギゼラ、ジル、シェイラ、レア、サーシャ、ディー、アピス、リン、シンシア、リーゼが寝息を立てている。深い眠りなのだろう。僕も選択して横になれば彼女たちと同じような深い眠りの虜になるのは間違いない。その前にやれることをしておこう。窓枠に腰を掛けたままステータスを呼び出す。
「【ステータス】」
◆ステータス◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】レイス / 不死族 / エレクトラの使徒(New)
【性別】男
【称号】レイス・ロード❶
【レベル】500
【状態】加護(New)
【Hp】327802/327802
【Mp】8548594/8548594
【Str】11901
【Vit】11234
【Agi】11345
【Dex】8834
【Mnd】8475
【Chr】4713
【Luk】3850
【ユニークスキル】エナジードレイン、エクスぺリエンスドレイン、スキルドレイン、※※※※※、実体化Lv167、眷属化LvMAX(範囲眷属化)、強奪阻止
【アクティブスキル】鑑定Lv230、闇魔法Lv612、聖魔法Lv180、武術Lv151、剣術Lv103、杖術Lv98、鍛冶Lv100
【パッシブスキル】隠蔽LvMax(New)、闇吸収、聖耐性Lv192、光無効、エナジードレインプールLv11、エクスぺリエンスドレインプールLvMAX、スキルドレインプールLvMAX、ドレインガードLvLvMAX、融合Lv125、状態異常耐性LvMAX、精神支配耐性LvMAX、乗馬Lv146、交渉Lv261、料理Lv80、採集Lv112、栽培Lv156、瞑想Lv383、読書Lv308、錬金術Lv270
さっき見た時と違う箇所が2つある。「エレクトラの使徒」と「【状態】加護」だ。【状態】という欄に至っては増設されている。元々欄としては存在していたのに今まで見れなかったのか、あるいは本当に増設されたのかのどちらかだろうね。
「エレクトラの使徒を【鑑定】」
◆エレクトラの使徒◆
【分類】種族。
種族なのか。思わず笑ってしまう。どれどれ?
女神エレクトラにより認められた種の枠を超えた存在。地上において女神エレクトラの代理として力を行使できる権限を有する。但し、他の使徒と接触した場合その使徒に変わって権限に干渉することは出来ない。使徒としての権限や能力は皆等しいが使徒として叙任された者がそれまでに培った能力により差が生じる場合、上記の項目において例外が発生する場合が在る。女神エレクトラのファミリアの取り纏めとしての働きを期待される。使徒在位中は女神エレクトラの加護が常時効力を発して使徒を護り、力を与える。エレクトラの使徒を辞める。はい/いいえ
「ははは。種の枠を超えた時点でアウトでしょ。最早チート街道まっしぐらじゃない?」
口元を左手で抑えながら乾いた笑い声を洩らす。取り纏めって、引率って事? 観光バスのバスガイドさん的なイメージしか湧かないんだけど。まぁ、特にこれしてねって言われてないからスルーでいいか♪ じゃあ次。
「【状態】加護を【鑑定】」
◆【状態】加護◆
【ステータス】女神エレクトラの加護が発動中であることを示す。加護により全属性の耐性が小上昇し、成長促進補正が小程度かかる。使徒からの神属性攻撃を中和する。
「中和。中和ってなんだ? 無効化じゃないの? また微妙な加護だな。でも中和というのは案外面白いかも。相手の驚く顔が見れそうだし。神様らしいといえば神様らしい加護だな」
加護と聞くと仰々しい感じを受けたのだが、女神様の性格を現すような加護に肩の力が抜けたもの事実だ。それに神属性攻撃って言われても分からないし、そもそもどれがそれに当て嵌まるかさえも分からないのだから棚上げすることにした。
「さて。隠蔽LvMaxを【鑑定】」
◆隠蔽LvMax◆
【分類】パッシブスキル。常時発動中。自分のステータスを他の人に偽って見せる事ができる。【偽装】スキルの最上位版。【看破】のスキルでも見破られる事はない。任意の項目を書き換えることが出来る。本来のものを書き換えるのではなく、偽りの札を貼り付けると理解してもらいたい。不要になった場合すぐに剥がし張り替えることが可能。変装スキルではないため。外見を変えることはできない。体型が気になってきたそこのあなた、残念でしたね。
思わず脇腹を摘んでみたが問題ない。って、最後の一文はいらんだろ! これならランクアップした後で手を加えることも出来るな可能だな。そんなことを考えながらもう1度水差しからコップに水を注ぎ、ぐいっと飲み干すのだった。
うまい。
それから僕はベッドの中央部にゆっくりと移動して身を投げ出すのだった。僕のためのスペースを空けてくれていた事に嬉しくもあったけど、今は緊張の方が強い。眼が醒めた時にどうなっているのか。よもや全滅はないだろうけど、神様が見ててくれることを願いながら僕はランクアップを選択して眼を閉じるのだった。
脳裏に感情のないアナウンスが流れていく。
【ランクアップを開始します】
そして僕は意識を手放した――。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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