第57話 ファミリア
※2017/8/15:本文スキル記載ミス修正しました。
2017/12/1:本文誤植修正しました。
2018/10/2:ステータス表記修正しました。
(Mpの不足分の補充を確認。術式が完了します)
アピスの声と同時に地面全体から紅い光が溢れ出て、円の内側に居る僕たちと屋敷と森を包み込む。アピスの落ち着いた声が脳裏に響くのを聞きながら急激にMpが消失したことを感じた。プールも空っぽだ。僕が意識を手放そうとした、その時。
ぴこん♪
あの天使の輪が顕れてしまったのだった。あ、ひょっとしてやっちゃった?
「こぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!!」
「「「「「!?」」」」」
意識の残ってる者が皆声のする上空に眼を向けている。ギゼラ、リン、シンシアには馴染みの顔だ。アピスはまだ杖のまま見たいだけど、人に戻れるほどMpが残ってないのかも知れない。小学1年生を思わせるほどの幼い女の子がすごい勢いで急降下して来た。いや落下?
背中まで伸びている金髪に琥珀色の瞳が収まったくるっと愛らしく大きな目。白い肌に白いワンピースを身に着け、金色の額飾りを着けている。頭から急降下しているせいで今回も裸足であることに気が付く。
背中に小さな一対の翼があるが大人の肩甲骨くらいの大きさで飾りっぽい。急降下してる様だと可愛さは伝わらないけど前に言ってた神力というやつで飛んでるんだろうね。多分。黙っていればすごく可愛い女の子なんだけど。
やっぱり来た。皆ごめん後よろしくね♪
面倒さそうだからそのまま意識を手放すことにした。
「させるかっ!!」
ぱぁぁぁぁん!!
「ぶっ!」
「「「「「「なっ!?」」」」」」
6歳くらいで背丈110㎝そこそこの女の子が天から舞い降りてきたかと思った矢先に、その娘が僕の頬を景気よくひっぱたいたのだ。一瞬にリーゼ、ジル、シェイラ、レア、ディー、コレットが色めき立つ。
「いったぁぁぁぁ〜〜! 神様、来て早々何するんですか?」
「「「「「「はっ!?」」」」」」
色めき立ったのまでは良かったのだが、一気に怒りが窄む。耳を疑ったのだ。今神様と言わなかった? と。その間に小学1年生くらいの可愛らしい女神様は腰に左手を当てて僕の顔の前に浮かんで、びしっと右の人差し指を僕に向けて突き出していた。
「いったぁぁぁぁ〜〜って、ルイくん! 今わたしが来て面倒だからってそのまま意識を手放そうとしたわね!」
「あれ? 心の声聞こえてました?」
「当たり前でしょ! わたしだって神なんですからね!」
ざわりと周りの気配が動く。気を失っている者たちも回復補助の御蔭で気が付き始めたようだ。エトさんが気付けしてくれているのもあるんだけどね。本当あの人動じないよね。
「それで今回は何の御用ですか? あれ? Mpが回復してる」
「そうよ、Mpが空っぽになってそのまま逃げ得されそうだったから回復してあげたのよ。感謝しなさい」
どうやらあの張り手がMp回復の行為だったようだけど。まだひりひりする頬を摩りながら。逃げ得とか言ってなかった?
「そのまま気絶していても」
「あ?」
と言ってみたら睨まれた。
「いえ、感謝してます。ありがとうございました。」
「そうそう、素直が一番♪ 何の話だったっけ? いったぁぁぁ〜〜い!」
「「「「「「!!!??」」」」」」
拳骨を落としてやった。お返しだ。前回同様、アホ毛は健在で拳骨を落とされてもぴこんと跳ね上がってる。癖毛決定だね。周囲からは神様にそんなことして大丈夫なのでしょうか!? 的なオロオロ感が横から伝わってくるので、皆にはにこりと笑っておいた。涙目になって頭を摩っている女神様がぶすっとこちらを睨んでいる。
「御用の趣を聞いてるのに「何の話だったっけ?」ってすっかり忘れてるからですよ。本当に神様なんですか?」
「ゔ〜、ルイくん容赦ないんだから。そうだった! ルイくん今度は何したの!? 流石にさっきの事は天界でも無視できない事だったわよ!? じじぃに直接お前が聞いてこいって蹴り落とされたんだからね!」
とんでもない神様も居るものだ。と言うかこの世界を管理してる神様というのはあれか? 向こうの世界で言うギリシャの神々的な暇な奴ばかりなのか?
「そ、そうですか。いえ、神様から頂いた【眷属化】のスキルを使っただけですよ? あれ、回数があるから無限に使えませんし――」
「あぁ、眷属化ね! じゃあ、ここに居る子たちは皆ルイくんの眷族になったんだ♪ 良かったね〜わたしも鼻が高ひゃぁにゃにしゅ○※◇○※△」
話が逸れて行き始めたので眼を瞑ってうんうんと悦に入っている女神様の頬を左右に引っ張る。何を言ってるのか分からないので仕方なく放すと頬を摩りながらまた睨まれた。だって。
「神様、眷属化がどうして天界で問題になるんですか? その説明をしていただかないと――」
「ルイくんて本当にわたしのこと神様だと思ってるのか時々心配になるわ」
「思ってますよ! で、どういうことなんですか?」
「ふぅ。眷属化の魔法は天界でも普通に知られているスキルだし、そこに居るヴァンパイアちゃんが持ってるように特定の種族であれば使いこなすことも出来るわ。回数限定でね。だからルイくんが言うように目くじら立てる程じゃないんだけど規模がね?」
「規模?」
「そ、眷属化はそもそも個人に対して行うスキルで、今回みたいに範囲で行うスキルじゃないと誰もが思ってたら、ルイくんがしちゃったのよ。範囲での眷属化を」
「ははははは。だって回数が決まってるなら1回で沢山出来たほうがお得でしょ?」
じぃ〜と半眼で睨まれて笑いが引き攣る。どういうこと? と周りのでは集まってこそこそ井戸端会議が始まってる。おい。
「そこなのよね。1回は1回だけど今まで範囲での眷族化の可能性を誰も見抜けなかった、というかそんな規格外な事をする者が居なかったのよ。眷属って自分が信頼する者を選ぶでしょ? 一度に沢山選ぶはずもないと思ってたのよね」
「えっと、褒められてるのかな?」
「神様の苦言は最大の賛辞よ」
褒められているらしい。
「で、天使の輪が出たということは情報が加えられたという事でいいんですよね?」
「今それで揉めてるの。ルイくん。そもそも今回の眷族化で消費したMp分かってる?」
質問に質問で返された。
「Mpの底上げして元々100万少々だったのを800万少しにして、皆からも少し分けてもらって、エナジープールから使ったから」
「1000万よ」
「え?」
耳を疑った。Mpの上限って何処にあるんだろ?
「800万の時点でどうかしてるけど、1000万よ! 分かる? 1000万! そんな阿呆みたいなMp持ってるの地上ではルイくんだけよ」
今度は僕の方が阿呆って言われてしまった。
「はい? 他にも転生者とかいるんでしょ? Mp特化の人とか」
「確かにこの世界に転生者は存在してるけど、生霊で存在してるのはルイくんだけ。皆寿命のある生命に転生してるわ。そしてルイくんにしか無い【プール】のスキル。何なの?」
「いや、何なの? と言われても生霊になった時点で伏せられてたから僕も初めは知りませんでしたからね。それを言うなら神様のほうが調べる手段がいくらでも在ったのでは?」
「うぐっ。流石ルイくん痛いとこを突くわね」
いや突くでしょ、普通。僕の所為にされるなんてまっぴらごめんです。そもそもこの身体にしたのは神様なんですから。
「わたしもこれ程のものとは思ってなかったから、報告はしても皆放おって置いたのよね」
ダメだ、神様皆さぼり癖があるぞ? 淫蕩と音楽とお酒があれば、というギリシャ神話を地で行ってるのか!? いや、ギリシャ神話は近親相姦、血族殺しのオンパレードだったな。流石にそんな訳はないか。
「皆さん忙しかったんですね」
「そうでもないんだけどね」
おおい! そこは否定してくれ!
「で、僕はこの先どうなるんでしょう?」
「うん、そこね。一先ず【範囲眷族化】という隠れスキルをルイくんにプレゼントすることになったわ。また後で調べてみてね」
「はぁ、分かりました」
説明苦手そうだもんね。にっこり微笑む女神様は可愛らしいのだが、僕以上にヘタレであることは出逢った時から織り込み済みだ。だから変に期待しない。
「それと、ルイくんのそのMpも問題でね。今制限を掛けたとしてもいずれはまた増えるだろうからルイくんだけ【隠蔽】スキルもプレゼントすることになったわ。【偽装】スキルの最上位版と思ってもらったら良いわ」
「それは助かります。ありがとうございます!」
うん、それは心底感謝できる。いい仕事するじゃないですか!
「へへ♪」
嬉しそうですね。
「2つもスキルを貰えてびっくりです。これで静かに過ごせそうです」
「そうも言ってられないのよね」
「え?」
いや、変なフラグ立てたら直ぐにへし折りますよ!?
「この2つのスキルをルイくんにプレゼントしたって事は、他の神様にも目を付けられたって事なの」
「え?」
それ面倒臭いんですけど。
「そんなに嫌そうな顔しない」
あ、出てましたか。
「ははは」
「というか、他の神様がルイくんのスキルを危険視してるって事ね」
「や、やめてくださいよ。僕はこれっぽちも目立ちたいと思ってないんですよ?静かな引き籠もりライフを夢見てるのに」
「ふふふ。それができると良いわね。応援してるわ。だけど、他の転生者の中にはルイくんのスキルのようにスキルを奪える者も居るの。いつ何処でそういう人物と出逢うかはわたしたちには操作できないから、そういう者たちにルイくんのスキルが奪われて悪用されると大変な事になると考えてるの」
「――今までで一番まともな意見が出てきたので驚いてるんですけど」
そう評するとえっへんと嬉しそうに誇らしそうに小さな胸を反らせる女神様。小さなというのはそういう意味ではないですよ? 小学生体型に何を求めてるんですか。それに僕はノーマルです。
「悪用されないため、バレないため、奪われないために今プレゼントした2つのスキルが用意されたんだけど、ね。それはこの【強奪阻止】というスキルの特徴を活かすための布石です。このスキルがルイくんのユニークスキルに追加されるわ」
「【強奪阻止】って随分な名前のスキルですね」
もう少し柔らかい言葉もあるでしょうに。
「裏を返せばそれだけ危険視されてるってことよ。それにわたしが創ったスキルじゃないしね。じじぃ作だから折紙付。間違っても奪われることないわ」
じじぃ作って、時々出てくる神様だけど誰なんだろうね? それより、僕専用って?
「これって完全に口止め料的な流れですよね?」
「……」
「これって完全に口止め料的な流れですよね?」
「ゔ。だから言ったのに、ルイくんはそんなことじゃ騙されないって」
おい。
もじもじしながら僕も目線より下に降りて上目遣いに僕を見てくる神様。可愛いんですけどね、サーシャの方が上目遣いは上手いです。それくらいじゃ動じません。ちらっとそのサーシャ達の方を見ると、エトさんとコレットさんがいつの間にか準備した軽食を広げて皆で食べ始めていた。ええっ!? 何それ!?
神様たちの悪意を感じるのは気の所為だろうか? 悪意というか、人の常識が通用しないという方が正しいのかも知れない。正邪の基準が何処で千引されているかによって考え方は変わるものだからね。
「それでどの部分の口止め料なんですか?」
「……生霊に転生させたことです」
「え? そこ? 2年以上も前の話ですよ?」
「あの時は碌なスキルを上げれてないし、チート禁止ってわたしが勝手に理由づけしたのがバレちゃって」
おい、今なんて。
「神様……」
「ごめんなさい! じじぃからもこっぴどく叱られたからもう怒らないで!」
はぁ……まぁあの時かなり言いたい放題に言わせてもらったからなぁ。その御蔭で今が在る訳だし、恩恵もあったって事で今回はいいか。ふぅ。
「分かりました。どの道僕が生霊だったからこそここに居る皆と逢えたわけなので今更蒸し返しませんよ」
「ルイくん大人だね〜♪」
「煽てても何も出ませんよ。それで他には何か?」
神様が居る内に聞けることは色々聞いておかなきゃ。
「うん、多分だけど、ルイくんが眷族を作ったのとレベルが500以上あるので条件が解放されてるはず。クラスアップ出来ると思うよ?」
「クラスアップ? レイス・ロードで打ち止めじゃないんですか?」
「え? そんなこと言った?」
いや、聞いてない。と言うことは有るのか?
「う、言ってませんでした。【ステータス】」
◆ステータス◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】レイス / 不死族
【性別】男
【称号】レイス・ロード❶
【レベル】500
【Hp】327802/327802
【Mp】8548594/8548594
【Str】11901
【Vit】11234
【Agi】11345
【Dex】8834
【Mnd】8475
【Chr】4713
【Luk】3850
【ユニークスキル】エナジードレイン、エクスぺリエンスドレイン、スキルドレイン、※※※※※、実体化Lv167、眷属化LvMAX(範囲眷属化)(New)、強奪阻止(New)
【アクティブスキル】鑑定Lv230、闇魔法Lv612、聖魔法Lv180、武術Lv151、剣術Lv103、杖術Lv98、鍛冶Lv100
【パッシブスキル】隠蔽LvMax、闇吸収、聖耐性Lv192、光無効、エナジードレインプールLv11、エクスぺリエンスドレインプールLvMAX❶、スキルドレインプールLvMAX❶、ドレインガードLvLvMAX、融合Lv125、状態異常耐性LvMAX、精神支配耐性LvMAX、乗馬Lv146、交渉Lv261、料理Lv80、採集Lv112、栽培Lv156、瞑想Lv383、読書Lv308、錬金術Lv270
さっき神様が言ってた3つのスキルがある。強奪阻止はレベル自体無いからそもそもチートスキルだよね。隠蔽はありがたいことにLvMaxだ。称号の所に❶ってある。久々に見たな。
❶をタッチしてみる。
【条件を満たしましたのでクラスアップ可能です。レイス・モナークにクラスアップしますか? はい/いいえ】
見なかったことにしよう。どちらかを選択しても何か起きそうな気がする。そのまま選択の画面が出ているステータスを閉じる事にした。
「どう? ルイくんランクアップできるでしょ?」
嬉しそうに聞いてくる神様に微笑んで返事をする。
「ええ、プレゼントのスキルも確認できました。ありがとうございます」
「それは良かったわ。わたしも頑張った甲斐があったってもんだわ♪」
両手を腰に当ててご満悦だ。今は感謝の気持の方が大きいから優しい目で見れてるね。
「それにしても僕のステータスだけ職業がないんですよね。他の皆には職業欄があるのに」
「あぁ、それは生霊にはそもそも肉体がないでしょ。だからなのよ。ルイくんは規格外だから仕方ないわ」
なる程一理ある。さて、これくらいかな。
「さぁて、皆注目〜〜!」
神様が皆の方に移動して話始めた。何話すんだろう? 変なこと言い出したらチョップだ。
「そろそろ眷属になった反動が出始める頃だから手短に説明するわね」
お? まともな話みたいだ。
「うん、宜しい。ルイくんとは大違いだわ」
「良いからさっさと話してください」
後ろから急かす。
「はいはい。それじゃあしっかり聞いてね? 精霊くんたちもおいで〜♪ さてと……まず、貴方達はこれから選択を迫られます」
神様の周りに10体の光球がふわふわと集まってくる。どういう事? え? って顔で神様を見るけど気が付いてないようだ。
「それは獣のままでいるか、獣人になるかです。精霊くんたちや人型に具現化してる子たちは、種の格を上げるか、進化するかを選ぶことになるでしょう。誰であれ選んでしまった場合、後戻りは出来ません。獣を選んだ子は変化で人の姿になれたとしても基本種としては獣のままです。獣人になる子は変化で獣の姿にはなれても基本獣人という枠になります。2つが互いに交わっても子は出来ません。ですから、しっかり選びましょう」
凄いまともな話だ。というか、勢いで選択しなくてよかったな。こんな話が出来るなら2年前もそうしてくれれば良かったのに。
「次に種の格を上げるか、進化するかですが、格を上げる場合は大きく変わることはないでしょう。進化の場合進化できる選択肢が示されます。この場合、種としての樹形図から飛び出すことはありませんが以前の姿に戻ることはできなくなります。原型は変化したとしても種はそのままですから、子は作ることが出来ます。これもしっかり選びましょう」
「神様って凄いんですね。見直しました」
「そうでしょ〜♪ 褒めて褒めて!」
感心してると僕のすぐ傍に寄って見上げてきた。なので頭をなでなでしてみる。うん、親戚のおじさんになった気分だ。神様は撫でられることが気持ち良いのか眼を閉じてデレっとにやけてる。
「でも、その説明は本当に助かります。僕では分からないので。お礼に抱っこしてあげますね」
「ふぇ? ほぁっ!?」
急に両脇に手を差し入れられて、持ち上げられる神様。背中を僕の胸にあたるようにして右腕をお尻の下に、左腕をお腹に回して抱っこしてあげる。
「どうですか?」
「う……うん、良い、良いよ……ルイくん♪」
うわ照れてますね神様。これは癖になるかも。
「さてと、反動が出るならここに居ない方が良いね。眠って動けなくなる前に今日は皆屋敷に戻ろう」
「あ、わたしもそろそろ帰るからその前にすることだけしておくわね」
抱っこされたままの状態で神様が皆に向けて両手を広げると暖かい光が皆に振りかかる。何だろ?
「あの神様これは?」
皆も何が起きたのかよく分からずにどういう事?って話しているようだ。僕もよく分かってないから確認のために聞いておく事にした。
「これはわたしからのプレゼントです。というかマーキング?」
犬かっ!? いや、落ち着こう今日の神様は一味違うから真面目に。
「どういうことですか?」
「う〜ん、平たく言えばわたしの加護。後でステータス見てもらえば分かると思うけど【エレクトラの加護(強奪阻止)】というものが付与されているはずです」
ふむふむ。それで?
「これはわたしエレクトラのファミリアであることの証です」
「神様の名前エレクトラと言うのですね。初めて聞きました」
「あれ? そうだった? もぉ〜ルイくんたらもっと早く言ってくれればいいのに」
いや、ツッコミどころ満載でそんな暇さえなかった気が。でもこの小さな神様にぴったりな名前だな〜と不思議と思えた。それともうひとつ聞き慣れない言葉が出たよ? それとマーキングってどういう関係があるの?
「はぁ、すみません。それよりファミリアとは? 家族ってことですか?」
「う〜ん、説明が下手だからごめんね」
自覚はしてるのか。そのまま黙って次の言葉を待つ。エレクトラ様はちらっと僕の方を見てまた説明してくれた。
「ファミリアとは神様を地上で補佐したり助けたりする家族のような集まり、といえば良いのかしら? 神はそういう集まりを持ってるのよ。わたしは今まで持っていなかったんだけど、ルイくんの御蔭で持つことが出来ました♪ えへへ♪」
「い、良いことなんでしょうね? きっと?」
「そうよ! わたしがツバつけたから、他の神はもうちょっかい出せないしね。それとこれは警告」
唾って。警告とエレクト様が言葉を発した瞬間に当たりの気温がいきなりぐっと下がった。え? 何? こんなに力があるの? あまりの変化に皆の身体がビックと震えていたのが見える。
「ルイくんはわたしの使徒です」
使徒なのか。しかしいつの間にそんなことに? これって逃しませんよ? って言われてる気がする。と引き攣った笑顔を浮かべていると、エレクトラ様が振り向いてにっこり笑った。そうなのですね。肯定の笑顔だ。
「ですから、ルイくんの下を去る時、つまり眷属をやめる時は加護は消えます。そういう条件で元々加護を発動してますから。そひて……おほん!そして」
あ、噛んだ。涙目で訴えないでください。吹き出してしまいそうです。
「そして、もしルイくんを裏切りルイくんを貶めた場合、加護は呪いとなって現れ、貴方達のスキル全てを奪い去るでしょう。そうならない事を願っています」
「加護は消えた様に見えるだけでくすぶっていると?」
「ま、そういうことね。神様なんだからこれくらいは朝飯前よ!」
何気に思った事が口に出るが、間違っていないらしい。そんなに脅さなくても。それなら2年前にちゃんとやってくれていれば。
「ゔ、それは言いっこ無し。じゃ、ルイくんもまたね!」
また逢う気で居るんですね。そんな事を思っていたら、急に上半身を捻って来たエレクトラ様がおでこに可愛らしいキスをして僕から離れたのだ。一瞬の事で何も出来ずされるままになったけど悪い気はしない。女性陣の口が「あ!」ってなってる。まぁ神様だから諦めてね。気が付くとエレクトラ様の姿は消えていた。
僕たちは大きな心配事が片付いた事に安堵し、ぞろぞろと屋敷に戻るのだった。部屋割りはそのままで、兎たちと狐たちは玄関のエントランスホールで一晩を明かしてもらうことにしたのだ。それぞれで話し合いたい事もあるみたいだしね。僕も色々考えたいことがあるし。あ〜何だか喉が渇いたな――。そう思って僕は食堂に足を向けるのだった。
その頃、天に戻ったと思っていたエレクトラは、同じ“森”の中を何かからに逃げるように藪を掻き分けて走るあの若い女性の前に現れていたのだった。
「はい、スト〜〜〜〜ップ!」
最後まで読んで下さりありがとうございました。
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