第1話 生霊
2016/3/29:本文加筆修正しました。
2016/4/1:本文修正しました。
2016/11/2:本文加筆修正しました。
本当は転生する肉体があったのですが、私がヘマをしたために転生を失敗してしまいました。
…………おい。
なので、魂だけ異世界に連れてきてしまう形になりました。
…………もしもし?
つまり、生霊という存在が今の九瑠一さんです。
…………もしもぉ〜し!
このレイスという存在はとても危ないので、こちらで少しいじってます。
…………待てまて。
本来だと命があるものに触ると、勝手に命を吸い取ってしまうので、スキル化してしまいました。つまり、吸いたくないときは吸わないでオーケーという訳です。
…………待てと言うに。
10秒位だろうか、文字が現れるのが止まる。それも虚しく次の文字が現れた。思考の処理能力が追いつかない。救急救命で研修した時みたいに一度に沢山の情報が飛び込んでく感じだな。優先順位の高そうな情報から整理していかないとーー。
宜しいですか? じゃあ、続けますね。
…………いやいやいや、ちょっと止まって考えよう。
はい?
…………読み終わると次の文字が出るということは見てるってことだよね?
バレました?
…………バレないと思う方が可笑しいでしょ?
えへへ♪
…………大人の神様連れて来てください。
いやいや、わたし十分大人ですから、問題ありません!
…………ヘマしておいて問題ありませんって、どこの口が言ってるんですか?
ごめんなさい。ぐすっ
…………いやいやいや、この状況が変わるなら責めますけど、どうせ変わらないんでしょうから続けてください。現状確認が先です。
瑠一くん、紳士だね~♪
…………勝手にフレンドリーにならないでください。続きを!
おほん。まず、チートはできません。最低限の援助はさせていただきます。わたしのヘマの部分の埋め合わせはちゃっかりさせてください。
…………そこはしっかりでしょ。なにこっそり完結させようとするんですか。
瑠一くん怖い。
…………続きをお願いします。
えっと、あれこれとスキルはつけれないの。向こうの世界で持っていた技能をこちらでスキル化した感じのものを付けます。「ステータス」と言ってみてください。
…………ステータス。おお! なんか出た。
◆ステータス◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】レイス / 不死族
【性別】男
【職業】レイス・ロード
【レベル】1
【Hp】1000/1000
【Mp】3000/3000
【Str】31
【Vit】38
【Agi】43
【Dex】30
【Mnd】27
【Chr】18
【Luk】10
【ユニークスキル】エナジードレイン、※※※※※、※※※※※、※※※※※、実体化Lv1、眷属化Lv1
【アクティブスキル】鑑定Lv1、闇魔法Lv1、聖魔法Lv1、体術Lv10、剣術Lv10、杖術Lv10、鍛冶Lv1
【パッシブスキル】闇耐性LvMAX、聖耐性Lv1、光耐性Lv1、※※※※※、※※※※※、※※※※※、※※※※※、融合Lv1、状態異常耐性LvMAX、精神支配耐性LvMAX
【装備】
【所持金】0
…………突っ込みどころ満載なんですけど?
これはあれだ。完全にラノベで言うところの異世界転生というやつだな? いや、生まれ変わってないから……転移か? 日本で真顔でメニューとか言ってた日には心療内科に引っ張っていかれちゃうレベルだぞ!? このメッセージの主が言うように異世界に居るのは間違いなさそうだ。
うふふ。まずレイスという存在について説明しますね。レイスは幽霊とは違います。
…………でしょうね。
生霊は自分が殺した者を生霊化させます。
…………それは凶悪だ。
でしょ? なので、生霊化させない代わりに自分の魂に列なる仲間、家族なような存在を作れるスキルをプレゼントしました。それが眷属化♪ だから、ルイくんが誰かを殺しても、その人は生霊にはなりません。
…………きっと、いいことなんでしょうね。
そうですよ! この世界は生霊って言ったら、皆から怖がられ、避けられ、討伐対象になる存在なんですから。
…………今さらっと危険なこと言いましたよ? は? 討伐対象!?
つまり、モンスターと言われる種類の生物を狩る職種が存在するってことか。それにしてもーー。
だって、生霊に殺されたら生霊になって、ねずみ算式に増えるのよ? あっという間に都市が消えちゃうわ。そう思わない?
…………それはそうなんですが、その危険な生き物? が今の僕ですよね? なんで僕を生霊何かに?
ゔ、ごめんなさい。そのままの状態だと消滅まで時間がなかったので、消えない内に咄嗟に眼に入った名前を選んだのです。ぐすっ
…………まぁ、本来なら死んでた命ですし、どういう形であれ今があるのはありがたいですけど。
そう言って頂けると、少し気持ちが楽になります。
…………※※※※※が並んでいるのはなんですか?
それは、これから修得できるスキルね。でも、わたしにも解らないの。ごめんなさい。
…………神様にもわからないスキルって。
この世界で異世界の魂を生霊に転生させるのは初めてなの。普通は生命が宿っている器に入れるから。だから手探りな部分もあるのです。
…………神様――ですよね?
はぃ! えっへん♪
…………褒めたつもりはないんですが。
精神的に幼い感じが否めないんだけど。大丈夫なんだろうか?
他に実体化はレベルを上げていけば肉体を時間限定で使って行動できるようになります。これはお詫びです。
…………ありがとうございます。正直こんなスケスケの体をどうすれば? と思っていたので。
いえいえ。お気に召してもらえてなによりです。
…………魔法は向こうの世界には無かったので、仕組みが良くわからないんですが?
それは後で使ってみてください。頭の中で思い浮かべると魔法を発動させる呪文みたいなものが出るはずなので。それより、不思議なのは聖魔法が使えるということです。アンデッド族にはまずありえない現象なんです。
…………? プレゼントじゃないんですか?
違います。先程言いましたように、向こうの世界で持っていた技能をこちらでスキル化したら、付いてたと言ったほうが正しいです。
…………あぁ、いちおう医者の卵でしたらね。
魔法の概念がある。【聖魔法】と言ってる処を見ると、魔法に属性が有るってことだろう。ステータスにもそれらしい表示があるし。
なるほど、それで。納得です。でも、アンデッドは基本闇に属する種族なので聖魔法は使えません。使うと自分も傷ついてしまうのです。それで聖耐性をプレゼントしました。
…………そうなんですね。チートはないと言ってましたが、LvMAXなのがあるんですけど?
はい、それは最低限の償いです。今もお伝えしたように、アンデッドは闇属性なので闇耐性は初めからLvMAXなのです。といいますか、闇属性に闇属性の攻撃ではダメージを与えれないのです。
…………ほぉほぉ。
同系の属性持ちには魔法が効かないという理解でいいのか? ダメージを与えれないって言ってるし……。
後ろの二つがプレゼントです。実体化が成功すれば、状態異常にかからないとも限りませんから。
…………状態異常というのは?
魔法や薬物、植物や魔物によって毒、猛毒、劇毒、中毒、下痢、麻痺、気絶、混乱、狂乱、幻惑、幻覚、暴走、爆笑、盲目、沈黙、失聴、睡眠、不眠、昏睡、眩暈、催眠、催淫、泥酔、忘却、魅了、腐蝕、捕食、粘着、苗床、寄生、石化、水晶化、黄金化、拘束、束縛、鈍足、鈍重、恐怖、恐慌、悲哀、憤怒、嘔吐、空腹、飢餓、感染、悪疫、激痛、裂傷、出血、吸血、凍結、燃焼、感電、不具、不幸、疲労、虚脱、衰弱、洗脳、支配、呪詛、封印、瀕死、即死、こんなものかしら? が引き起こされて正常ではいられない状態のことです。
…………只でさえ頭がパニックになってるのに、一度に多過ぎて覚えきれません。
最後の辺りは危険な響きがあったぞ? 何? 洗脳、支配、呪詛、封印、瀕死、即死が有るってことだろ? 現実問題として捉えたいけど……。今の状況だと無理だ。まだ混乱してる。
もう一度言いましょうか?
…………要するに、普段の状態から急激に変化して日常生活が送れなくなる状態という理解で良いのでしょうか?
その理解で間違いありません。
…………ありがとうございます。すごく助かります。
見直してもらえたようで、嬉しいです。
…………じゃあ、精神支配というのは? 状態異常ではないんですか?
それはですね、この世界には死霊使いという職を生業にしている方がいるのです。他にも奴隷制度もあります。死霊使いや奴隷商人は特殊なスキルを用いて、対象と魔法契約を強制的に結べるのです。
…………魔法契約。抵抗できないんでしょうか?
勿論抵抗できますが、力のないものは抗えません。死霊使いの対象はアンデッド族、奴隷商人の対象は生きている者という違いはありますが、危険度は同じです。
…………怖い人たちがいるんですね。
遭わなければ大丈夫です。
…………遭わないんですか?
引き籠もりになれば?
…………いや、聞かないでください。
ふふふ、ルイくんは次ぐ突っ込んでくれるから面白いですね♪
…………やっぱり大人の神様連れて来てください。
いえいえ、わたし十分大人ですから、問題ありません!
…………はぁ。で、鍛冶は解るんですが、融合ってなんですか?
鍛冶関連だと思ってください。それも向こうの世界で持っていた技能をこちらでスキル化したものですから。鍛冶の金属を作るのにも異なる金属を合わせるのでしょう?
…………よくご存知ですね。そういうことなら色々試してみます。どうせ死んでるんだから時間はあるでしょうしね。
はぃ、何かわかったら教えてくださいね。
…………はぁ。と言うか、ご自分で見たい時に世界を覗けないのですか?
うっ、そうなの。覗けないようになってるのです。厳しい決まりがありましてね。あのじじぃが。
…………ん? じじぃ? 大人の神様おられるんですね! でしたらその方を是非!
ダメです! わたしのヘマがバレちゃうじゃないですか! あっ。
…………あ。今とんでもない地雷踏みましたね? 地雷踏みましたよね?
そ、そういえば! ルイくん体術、剣術、杖術とかLv10ってなってますけど、向こうの世界でなにかされてたのですか?
…………話をすり替えましたね。はい、合氣道という護身術を少し。
それで、Lv10というのは達人のレベルなんです。お強いんですね!
…………話を戻したいのに、好奇心に勝てない自分が情けない。という事はレベルというのはまだまだ上があるということですか?
レベルという概念がある。一般人はレベル10前後だって言う理解でいいみたいだな。ただRPGゲームを経験して来た僕としてはレベルがその程度で終わるとは思えない。上限があるかどうかは別として、まだまだレベルは上に伸びる余地があるはず。じゃなきゃモンスターとか狩れないよな?
そういうことです。鑑定というスキルもプレゼントしていますので、色々見かけたら使って見てください。相手のステータスが見れますから便利ですよ。あ、チートといえばこのスキルがチートかもしれませんね。
…………なるほど、退屈はしないで済みそうです。
あ、それと、アイテムボックスも入れ放題です。ただし、この世界にはアイテムボックスはなくて、アイテムバッグというアイテムがあります。
…………あ、ステータスの下にあるやつですね。
はぃ。アイテムボックスは念じれば空中から色んなものを出し入れできますが、怪しまれるので人前では使わないようにしてください。メニューからアイテムボックスを選ぶと中に入れてる物も確認できますからね♪
…………それもチートじゃないですか。助かりますが。
てへ♪
…………てへ♪ って、姿が見えてないだけにイライラ感が溜まってるのは気のせいでしょうか?
あ、忘れてた、一番大切なこと。
…………ええっ!? それ真っ先に言わなきゃいけないやつじゃないですか!?
ごめんなさい。
…………それで!? 何が大事なことなんですか?
ステータス画面やアイテム画面は念じれば現れるけど、消すのは上から押さえれば消えますからね。
…………えっ? それが一番大事なこと?
ううん、そうじゃなくって、種族のことなのです。
…………不死族ってなってますね。
そうなのです。不滅ではないのです。
…………つまり、今まで散々ステータスの事を聞きましたけど、役に立たなくなる問題があるってことですか?
流石ルイくん、鋭い!
…………それで?
不老不死は存在していても、殺せるし死ぬって事だな。問題は僕がその不死という状態をどれだけ理解できるかーーに掛かってる。
あわわ、怒らないでください! えっと、口で説明するより証拠をお見せした方が解り易いでしょうから体験してみましょう。あそこに光が一条差し込んでるところがありますね?
…………ええ。あれを見て昼間だって気が付けました。
素晴らしいです。ではあそこに行って、掌に光を当てて頂けますか? 掌だけですよ!
何を言ってるんだか。
そんなことを思いながら僕は薄暗い森の中に射し込んでいる一条の光の筋を目指して体を動かす。
動かすといっても、「あっちに行きたい」と思えばすーっと半透明の体が浮かんだまま動くので楽なもんなんだけどね。
うん、眩しい。
で、なんだっけ?掌に光を当てる?
何も考えずに光の筋の中に右手を差し込むと………。
じゅっ
手首から先が消えちゃったーーーーー。
…………おい!!!!
最後まで読んで下さりありがとうございました。
誤字脱字をご指摘ください。
引き続きご意見やご感想を頂けると嬉しいです。
宜しくお願い致します♪
2016/2/3:鑑定スキルをパッシブからアクティブに訂正しました。