第144話 代償
※2017/11/4:本文段落調整しました。
「喰らい尽くせ! 魂喰らい《ソウルイーター》!!」
気圧されて何も出来ない僕に向けて、5mはあろうかという背丈の魔猿の右手に握られた鎌剣が、暗紅色の残光で弧を描く。次の瞬間、僕の体は右袈裟に切り断たれていたーー。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーっ!!」
ナハトアの絶叫が残響のように僕の中で谺している。
ああ、斬られたのかーー。
何処か遠くで自分自身を観ている感覚に襲われていた。そう、俯瞰しているとう言葉がぴったりだ。時間の流れが緩やかで全てがスローモーションに見える。
暗闇だというのに周辺がよく見えるもんだ。
魔猿に向かい合う僕。魔猿の後ろに棒立ちするカリナ。その右手で焚き火を挟んで泣き叫ぶナハトア。僕の左手側、焚き火から10mくらい離れた位置にドーラとフェナ。2人ともカリナと同じように棒立ちだ。ミスラーロフはーー僕の背後か。と言っても体の3分の1と左腕、頭部くらいしか残ってない僕に反撃の術はない。
ゆっくりとソウルイーターと叫んでいた鎌剣が僕の体を切り刻んでいく。
――ソウルイーター。魂喰らい……か。
固有スキル持ちの魔剣という分類かもな。【ドレインガード】のスキルが効いてても何かを吸われた感じがあるんだ。現に魂喰らいで切り断たれた僕の霊体が、あの魔剣に吸い込まれている。
刀身に纏っている暗紅色の光が強さを増してるということは、成長する武器なのだろう。僕の武器版と言った感じか?
――――ま。主様。
ん? アビス?
――――妾を喚んで下さいませ。このままでは主様が消滅えてしまいます。
そうは言ってもな。魔法や加護も封じられて召喚できるわけ無いだろ?
アビスと言葉を交わしながらも。何処か劇場の舞台を最上段の観覧席から眺めているような感覚に落ちいている僕に、迫り来る消滅の恐怖は湧いてこない。アビスの焦燥感は伝わってくる。
――――念じて下さるだけで構いませぬ。
そんなこと出来るの?
――――妾に負荷が掛かりますが、問題ありませぬ。
……その遣り方は邪道じゃないの? ダークが何も言って来ないってことはそういうことだろ?
――――時間がないのです。主様。
アビスと会話している間にも魂喰らいは力を増し、紙を切るかのように僕の体を細分化していく。ナハトアに至っては声もなく右手を伸ばし涙を滂沱させてる。
――胸が痛む。ごめんよ、ナハトア。
――――主様!
「これで終わりだ! むぅっ!」「陛下っ!?」「アビス」――――はい!
ギイィィィン!!! ピシィィッ!
全てがその刹那に起きた。僕の眼にはそう見えたと言った方が良いかも知れない。
返す刀で、僕の残った頭部を下から唐竹割りしようと迫った鎌剣に、何処からとも無く眼に捉えきれない速さで飛び込んで来た長剣が突き刺さり弾かれ、刀身の軌道が逸れる。
長剣が鎌剣に突き刺さった瞬間、虚空からアビスが上半身を出して身を挺して僕の頭を抱え込むと、とぷんっと虚空に沈み込むのだった。長剣と魂喰らい《ソウルイーター》の刀身に亀裂が走る。
「莫迦な!?」「いやああああぁぁぁぁ――――!! ルイさまぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
月のない夜空にナハトアの慟哭が響き渡っているのを、僕は何処か遠くで聞いているようだった――。
◇
「喰らい尽くせ! 魂喰らい《ソウルイーター》!!」
気圧されて何も出来ないわたしは、5mはあろうかという背丈の魔猿の右手に握られた鎌剣が、暗紅色の残光で弧を描きながらルイ様に向かっていくのをただ見ていることしか出来なかった。次の瞬間、ルイ様の体が右袈裟に切り断たれていたーー。
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
威圧であれば耐えれるはずなのに、普通の威圧じゃない。
嘘うそ嘘うそ嘘うそ! ルイ様が!? お願い動いて、魔法! 何か魔法で逃げれる機会を作らないと!
…… ナハトア、落ち着いて! 相手が悪すぎる。 そうよ〜。わたしたちには天敵と言ってもいいわ〜 ……
どういうことよ!? 早くしないとルイ様が!
――――落ち着け。魔王が手にしている魔剣が魂喰らい《ソウルイーター》ならば、我等や死霊使い《ネクロマンサー》のお前が手を出して良い相手ではない。
3人共どういうことよ!? こうしてる間にもルイ様が! ああ、ルイ様っ!?
――――魂喰らい《ソウルイーター》は文字通り魂を喰らい成長する魔剣だ。今までは聞いた話でしかなかったが、実際にルイ殿を斬った後に力を増した。ルイ殿の魂を喰らったあれに、万の1つも勝ち目はない。犬死だ。
召喚具を通してヴィルヘルムやホノカとナディアの声がわたしの中に響く。【骸骨】たちを召喚しても無駄っていうの?
…… 残念だけど。 この魔王なら瞬殺よ〜。勿論わたしたちもね〜 ……
「これで終わりだ! むぅっ!」「陛下っ!?」「アビス」
ギイィィィン!!! ピシィィッ!
全てがその刹那に起きた。わたしの眼には何が起きたか理解らなかったと言った方が良いかも知れない。
魔猿が返す刀で、ルイ様の頭部を下から唐竹割りしようと動いているのは何となく分かったんだけど、それからは一瞬で何がなんだか理解らなかった。
ルイ様が何かを呼んだ声は聞こえたけど、それっきり。鎌剣に、何処からとも無く現れたあの《・・》長剣がぶつかって金属音と火花が散ったと思ったらルイ様の姿が完全に消えてたの――。
嘘――。嘘よね?
ルイ様何処ですか?
いや――。
嫌です、ルイ様。独りにしなでください――。
「莫迦な!?」「いやああああぁぁぁぁ――――!! ルイさまぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
月のない夜空にわたしが慟哭を上げた次の瞬間、鈍い痛みが腹部へ衝撃と共に入りわたしは気を失った――。
◇
「莫迦な!?」「いやああああぁぁぁぁ――――!! ルイさまぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
背後でダークエルフの女が泣き叫んでいる。何故だ?
奴に拐かされていたのではないのか?
ならば何故それほど感情を乱す!? まさか――。
「ちっ、すまん」「陛下、御怪我は御座いませんか?」
ミスラーロフが俺に寄ってくる前にダークエルフの女に当身を加えておいた。他の女はこやつの暗示で従えられているようだな。しかし――。
「ない。あの《・・》長剣は何だ? 俺の魂喰らい《ソウルイーター》と互角だぞ? 見ろ、この亀裂を」
俺の前方に浮かぶ長剣に視線を向けたまま悪魔族の男に不満をぶつけた。
刀身に入った亀裂は俺とこやつの関係のような気がしてならない。先程からふつふつと不信感が湧いてくる。こやつの熱の籠もった訴えに絆されたのは、俺が未だに未熟ということだ。良いように操られている。だがこの場で仲違いをしている場合ではない。
「なっ!? 宝剣に傷が!?」
こやつ自身も俺の剣がここまでの状態になっていると思わなかったようだな。
俺もそうだ。それでも、と宙に浮いた長剣に眼を凝らす。剣ではあるが、獣めいた気配をあの長剣から感じる。残心を怠るわけにはいかん。だが――。
やつの力は恐るべきものだった。
魔王と言っても差し支えないほどに。俺が前王を弑した際に得た力の何倍もの力だ。それがこの鎌剣に入り込んだことになる。いや、それ故の飽和状態ということか。喰い切れずに溢れる寸前であるにも拘らず、長剣に宿る魂を喰らおうとして逆に噛みつかれた――。
ふっ、窮鼠猫を噛むとはこの事だな。
「陛下、あの長剣は呪いを掛ける事が出来ます。わたくしめも未だに解呪できておりませぬ。転移陣を再起動させますのでご準備を」
「分かった」
何とこやつに呪いを掛ける程に恨みを宿した剣だったか。ならば狙いは俺ではなくこやつ。だが、先程の行動は明らかにやつを庇う行動だった。ふむ。これは早まったかも知れぬな――。
背後で砂が光り始めるのが分かった。
準備出来たということか。それにしてもやつが【気配察知】や【魔力察知】を持っていたら返り討ちにあっていたかも知れぬな。止めはさせなかったが、鎌剣の傷は容易には防げぬ。長くは持つまい。
――この娘には酷なことをした……な。場を設けて頭を下げねばなるまい。
俺は空いた左腕に当身を加えたダークエルフの娘を抱え後退する。3人の娘らは暗示で動かされたのか既にこの場には居ないようだ。この娘だけは俺の眼の届く所に置いておく。後の娘らは順次連れて来させるか。
したり顔で大仰に俺へお辞儀をするミスラーロフの頭を睨みつけるが、微動だにしない。ふん、気に入らんな。探らせるか。
「陛下。殿はわたくしめにお任せください」
「良かろう。先に戻る」
しばらく鎌剣も使えぬな。自己修復するとは言え、得た力を安定させるためには時間が要る。無理はさせれぬか。
俺は後ろに大きく飛び退り、浮かんだ長剣から距離を取る。着地点は転移陣を飛び越えた辺りだ。
剣よ。やつはお前の主であったか?
俺の性格もあるが、有無を言わさずに斬った。許せ。
何とも後味の悪い茶番に付き合わされた思いが強く、胸が悪くなるような不快感だけが湧き上がっていた。釈然としないまま俺は転移陣の上にゆっくり上がる。何となくだがもうあの長剣は襲ってこない、そんな気がしたのだ。俺は長剣へ目礼し、己が居城へと転移した――。
◇
「莫迦な!?」「いやああああぁぁぁぁ――――! ルイさまぁぁぁぁぁぁ――――っ!!」
月のない夜空にナハトアの慟哭が響き渡っているのを、僕は何処か遠くで聞いているようだった――。
「――さま。主様! 御気を確かに!」
「ん? ああ、アビス。僕は消滅を免れたみたいだね」
「良うございました」
頬に当たる柔らかい感触にぼんやりと浸りながら、僕は漫然と答えていた。次第に現実に引き戻される。何故なら、一枚の見えない壁を通して今まで僕が居た場所で行われている様子が見えたんだ。
夢遊病のように意識のない歩き方で転移陣に乗り消えてゆくカリナとドーラとフェナ。そして当身を受けて意識を刈り取られたナハトアがあの魔猿に抱えられて行く様子だ。4つあるあいつの眼が目礼したようにも見えたけど、そんなことはどうでも良い。
あっという間に魔猿も転移陣でナハトアと共に消えた。ミスラーロフの姿もそれを追って消える。
まただ。また眼の前で連れ去られた。
3度目だぞ――。
五体満足であれば拳を大地に叩きつけていただろう。いい加減、自分の莫迦さ加減に腹が立ってくる。
自信過剰、油断、自己防衛力の低さ――時間は十分過ぎる程あったはずだ。
僕は何をしてた?
酒池肉林に溺れてただけか?
――――くそっ!
「……主様?」
アビスに顔があればきっと愁いに沈んだ表情をしているだろう。僕にはそう感じられた。
「僕は弱いな」
彼女の胸に抱かれる喜びよりも、今は自分への不甲斐なさと、直ぐにでも追い駆けたいという焦燥感に挟まれて無いはずの胸の奥がざわめいている。そんな感覚だ。
「申し訳ございません。妾たちがもっと早く気が付いていれば」
そんな僕の気持ちを知らずか、アビスは己を卑下する。
そうじゃない。悪いのは僕だ。傲るつもりはサラサラ無いけど、あのメンバーの中で僕が一番能力的に秀でてたはずなのに――。
「違う。僕が弱いんだ。スキルレベルを遊びで上げて有効に使えるほど熟知も熟練もできてない。基礎レベルだけ上げて耐久力に自信があるだけだ」
だからこんな厄介な首輪を着けられてしまうんだ――。そう叫びたいのをぐっとこらえる。
――ん?
アビスの体から霧のようなものが立ち上っているじゃないか。何だ?
「主様――」
僕のどうしようもない怒りを感じ取ったのか、アビスの声に怯えたような揺らぎが混ざる。それよりも気になったのはアビスが受けていた傷だ。
「あ、アビス。その傷――」
アビスの胸に抱かれている状態で見えたのは、彼女の右肩から胸にかけてが切り断たれだらんと垂れ下がっている姿だった。その切り口から黒い霧のようなものが立ち上っているんだ。血は出てないみたいだけど、右腕は動かせないのか?
そもそも血液は彼女たちの中に流れているのだろうか?
「不覚にも魂喰らい《ソウルイーター》に斬られてしまいました」
違う。不覚じゃない。僕を庇ったからだ。
「治らないの……か?」
無理なことは十分承知の上で、思わず在り来りな言葉が出てきた。
違う、それしか出せなかったんだ。【静穏】が使えればすぐに傷は塞げるのに――。
この忌々しい首輪の所為でそれすら出来ない。
くそっ! 自己過信の代償が大き過ぎるだろっ!?
何を言っても負け犬の遠吠えだって分かってるよ!
くそっ! くそっ! くそっ! くそっ!
「無理でございます。あの魔剣は古から今に伝わる無慈悲な剣の1つ。あれに斬られた傷口から魂が消えて行き、剣の一部になるのでございます」
僕の葛藤に気付いているだろうアビスはそんなことに少しも触れず、淡々と事実を説明してくれた。強いな。それに比べて僕は――。
誰もいなくなった野営地の真ん中で燃えている焚き火を見上がら、少しだけあの時の場面を思い出していた。
確か、魂喰らい《ソウルイーター》ってあの魔猿は叫んでたな。ラノベやRPGの中でこの種の武器が出てくると恐ろしく厄介な場合が多い。今回のケースもそういうことか。でも――。
「……僕も斬られた」
「――」
僕の言葉にアビスが押し黙る。そうなんだ。それも首から下は細切れにされて、体の方は魂喰らい《ソウルイーター》に吸収されてしまったんだ。いや、喰われたと言っていいだろう。
「時間は有限ということか」
アビスと同じように斬られたということは、僕にも命の期限が切られたということだ。
生霊だから、命というよりも魂と言うべきなのも知れないけどね。
その辺りの定義が僕にはよく解らない。異世界に来て不死族になり、その存在に出遭って来たんだけど、解らないものは解らないままだ。
でも僕の首の切り口からは霧状のものは見えない。アビスより緩やかな消滅ということか?
僕の一言にアビスは答えずにぎゅっと頭を抱き締めてきた。泣き言も弱音も今は吐いちゃダメだ。僕を守るためにアビスは命懸けで出てきてくれたんだから――。
「アビス」
確認しなきゃいけないことがある。
「はい、主様」
「僕は喚んで無いのに良く表に出れたよね。負荷って言ってたけど違うよね? 何が代償だったの?」
「……」
ナハトアと無理やり離されるというのは、やっぱり辛い。泣きたくなるくらいにね。でも、アビスも召喚できる存在とは言え僕の感覚では一緒に居る存在であり、家族なんだ。放っては置けない。
「アビス」
僕の呼び掛けに答えたくない雰囲気を醸し出すものの、再度の呼び掛けにびくっと体を震わせた。
女性であろうと言うことは彼女のシルエットで理解るんだけど、まるでショウウィンドウに並ぶマネキン人形のような姿をしたのがアビスだ。頭の先から足の先まで黒一色。髪らしきものもない。ただ、女性らしい柔らかな体つきだけが彼女を表現している。
「……主様と居られる時間です」
僕と居られる時間。……それって!
「寿命――。何を莫迦な事を」
代償で支払うには高過ぎるだろう!?
僕以上に質が悪い。それが僕を助けるためだったっていうんだから、怒れる訳ない!
でも、召喚魔法を行使してない状況で召喚される側の方が無理に顕現しようとするのはかなり危険みたいだ。どれだけの寿命を削ったって言うんだよ。
「主様と契った以上、主様が消滅してしまえば妾もあやつも共に消えてしまいます。妾亡き後も御仕えする者が傍に居らぬ訳には参りませぬ。ならば妾がと」
どうしてそう命を軽く扱おうとするんだ。生霊の僕が言っても説得力はないだろうけど――。
「勝手なことを――。アビスも今となっては僕の大事な家族だ。僕だけが勝手に思ってることかも知れないけど、何だよそれ――。僕だけ助かってアビスが消えちゃ意味ないだろ?」
「主様――」
「アビスよりも僕の方が消え方が緩やかなんだと思う。何が原因でこんな違いがあるのかわからないけど、僕がなんとかする」
ナハトアたちを追いたい。今直ぐ追いたい!
でもそれじゃダメなんだってことも頭では分かってるんだ。今追っても何も変わらない。間違いなく今さっきと同じように手も足も出ないで切り伏せられるに決まってる。それじゃ意味がないんだ!
違う! 今はそこじゃない!
それよりもアビスをどうにかすることが先決だ。アビスの消滅を食い止めるか送らせることが出来れば、僕も同じように対処できる。
どうする!?
どうすればいい?
首輪で能力は封じられたままだ。
スキルや魔法は使えない。
他に使えるものは?
――――。
――。
そうだ、アイテムだ!
アイテムボックスにあれがある!
霊体だけど、その僕の頭をアビスは抱き締めるが出来ているなら同じように触れるはず。
僕は思い出した。妖しい血液を満たした注射器をミカ王国の王宮で回収していたことを。何かを摂取して変化を期待できるモノ言えば、あれしか無い。確信に似た気付きからすぐさまアイテムボックスの表示を開いて凝視する。
あった! 【注射器】とだけ記されたモノがある。
「アビス、僕が今から注射器を取り出すから、その中身を僕に打ってくれ」
「承知しました。主様」
注射器が何か説明は要らないみたいだ。知ってるってことか? それとも取り出した物がそれだろうと思ってるのかな?
今はいいや。取り敢えず取り出そう。
アイテムボックスの表示を凝視して取り出す意識を向けると、【注射器】の項目が消えた。取り出せたってことだ! 何処に!?
その時だ、アビスの怒気と殺気を孕んだ声が僕ではない別の誰かに向けて放たれた――。
「妾の家に土足で入ってくるとは――。そなたらは何者ぞ?」
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