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レイス・クロニクル  作者: たゆんたゆん
第三幕 砂の王国
135/220

第133話 浅からぬ縁

 

 「【火炎の突撃槍(フレイムランス)】」


 「そう来たか! え!?」「え!?」


 炎の壁が消えた瞬間、ミスラーロフは燃え盛る騎乗槍のような(ランス)を手にしていたんだ。だけど、それが彼の手から放たれることはなかった。僕も、ミスラーロフの眼も驚きのあまり大きく見開かれることになる。トンッ、ともドスッとも聞こえる音と共に黒い刀身となったあの長剣(カーズソード)が彼の左側、背中から腹部にかけて突き抜け漆黒の刀身を怪しく光らせていたのであったーー。


 現実を受け止められない驚嘆の声が自然と僕とミスラーロフの口から(もれ)れ出ていた。それぞれの声が示す空気感は違うが……。どちらも突然に現れた長剣(カーズソード)の所業に眼を奪われているのは確かだ。でも体勢はミスラーロフに向かったままだーー。


 「余所見してて良いのか? 【汝の力倆を我に賜えよ(スキルドレイン)】」


 「しまっ!? ぐはっ! 魔法障壁が打ち消された!? 力が抜ける!? がはっ」


 炎の壁を消してそのまま突っ込むつもりで動いていたこともあり、驚きはしたものの勢いを殺さずに半透明の左手を貫手にしてミスラーロフの左胸に突き刺す。間髪入れず【汝の力倆を我に賜えよ(スキルドレイン)】で面倒なスキルを根こそぎ吸い上げる。長剣(カーズソード)のお蔭で魔法障壁が消えているようだ。あればあったで厄介な問題だっただけに助かった。漆黒の刀身にゆらりと黒い炎が(まと)わり付いているのが見える。【黒炎】。確か【鑑定】した時に『怨嗟が強まるとユニークスキル【黒炎】が発動する』ってあったな。こいつを探してたってことか!?


 「なっ!?」「「「「「えっ!?」」」」」


 一瞬思考が【黒炎】の理由に移ったが、長剣(カーズソード)はお構いなしに刀身(おのれ)を斜め上に持ち上げ男の心臓を切り上げた。口から大量の血を()いて絶命したかと思ったミスラーロフの体が急にぼやけ始めたんだ。驚かない訳がないよな。長剣(カーズソード)に突き通され、僕からの吸収(ドレイン)を受け、切り上げられるまで30秒と掛かってない。誰だって完全に始末したと思うような内容だ。それなのに、僕たちの眼の前に居るのは長剣(カーズソード)に貫かれた白い木製の人型模型(マネキン)なんだよ?


 「逃げられたということか?」


 「ルイ様!」


 「ナハトア。ありがとう。助かった。さっきみたいな状態で皆に襲われてたら危なかったよ」


 「いえ、お役に立てて何よりです。でもこれは?」


 僕のお礼に目礼で応えながら、ナハトアは視線を白木のマネキンに移す。他の4人も恐る恐る近づいてきているようだ。見ることはないよな。全身鎧(フルプレート)の立像が城の回廊に飾ってあることがあったけど、あの中は空洞だからこういう存在はないんだろうね。きっと。


 「マネキンだね」


 「まねきん、ですか?」


 ああ、マネキンという言葉がこっちにはないのか。僕の説明に怪訝(けげん)な表情を浮かべたナハトアを見て説明が足らないことに気付いく。何て言うかな。


 「そう、マネキン。材質は木かな。こうやって人型に似せた模型の事をマネキンっていうのさ」


 「マネキンですか。初めてみました」


 「そうなんだろうね。反応が初々しかったから」


 「〜〜〜〜♪」


 ナハトアの顔を見ながらそう微笑むと、顔を赤らめてぷいっと逸らされるのだった。うん、久々にデレたね。でも気になる存在だよな。そんな事を思ってると長剣(カーズソード)がゆっくりと刀身を引き抜き宙に浮くのだった。何となくだけど雰囲気が苛々(イライラ)しているような感じがする。討ち漏らしたという意識があるんだろうね。その隙に【鑑定】しようとしたら、マネキンが僕たちの方に向かって倒れて来る。


 咄嗟(とっさ)に手を出して受け止めようとしたんだけど、生霊(レイス)は魔力を纏っていないものには触れないという法則を忘れていたよ。案の定、そのままするっと通り抜けてマネキンは地面に倒れ込み、そのまま砕けてしまった。


 「あ……」


 (もろ)い。木製というよりもガラス製なのでは? と疑いたくなるような脆さで砕け散ってしまったよ。ものの見事に原型を留めていない。こうなったらお手上げだ。【鑑定】もできないし、素材としても意味はない。本当にゴミだね。


 「あらら、砕けちゃったんだね」


 「カリナか。これ(・・)は何だと思う?」


 デレてるナハトアを尻目にカリナがしゃがんで砕けたマネキンの欠片を手に取っていた。


 「依代(よりしろ)だと思うわ」


 「依代?」


 聞いたことがある言葉だ。日本でも八百万(やおよろず)の神のように長く使い込まれた物などに神が宿ったものとか、精霊崇拝のような何かが乗り移ったものの様なものをそう呼んでいたという知識があるだけだ。見たことは勿論ない。


 「魔道具の一種でね、致命傷を負った際に身代わりになってくれるものだったはず」


 そんなチートな魔道具が存在するのか!? そりゃないだろ。依代があればあるだけ不死身とも思えるような復活劇が可能なんだから。でも、スキルは吸えた。他のものを吸うタイミングが無かったのが残念だけどーー。いや、吸えてるのか?


 「便利な魔道具だね。あればあるだけ持ち主が有利だよ、これ」


 「う〜ん、確かにそうなんですけど、そんなに簡単に作れるような魔道具じゃないですよ? それに万能でもないですしね」


 「というと?」


 「わたしの聞いた話で申し訳ないですが、確か絶命の瞬間までは本人らしいので、復活してもHpは1と聞きました。誰かに復活した場所で殴られればそれでお終いですよ?」


 「はは。確かにね」


 カリナの説明に思わず笑いが漏れる。だとすれば、自分しか入れない個室に保管してそこで復活するのが賢明な手段だな。近くの宿屋とかに置いておくはずもないか。絶命の瞬間までここにあの男が居たのだとすれば、スキルドレインは成功してるはず。成功判定のアナウンスがないから開いてみないと分からないんだよな。他の時にはあるのにまだまだ分からないことがあるってことか。


 「それにしても、このルイ様大好きっ娘はいつまでデレてるのかしら!?」


 「ひやぁぁぁっ!? ちょ、ちょっとカリナ! 放しなさい!!」


 カリナの話を聞いて製造方法は分からないものの使い方を考えている横で、ダークエルフの美女2人が痴態を繰り広げ始めた。はっ!? カリナの手がEはあろうかというマシュマロを後ろから揉みしだいているんだ。うまい具合に革の胸当ての隙間から手を差し込んでね。


 思わず目が点になる。いや、眼が離せなくなると言った方が正しいのか? 無防備だったナハトアはむんずと掴まれてしまっているんだけど、掴まれた瞬間に正気に帰ったらしく攻防が始まったようだ。時折この手の事は旅の間に起きてたよ。でも山越えからここまで影を潜めていたのも事実だ。で、最終的にはーー。


 ごん!


 「いったぁぁい!!」


 ナハトアに拳骨を落とされて幕を閉じる。ふと見るとドーラとフェナは何やら羨ましそうに見詰めているし、クリス姫に至っては指の隙間からわぁ〜と言った感じで社会勉強中だ。刺激が強すぎる気もするけどな。


 「いい加減にしないと殴るわよ!」


 毎度の事だけど、ナハトア、殴ってから言う台詞(セリフ)じゃないって。


 「ううっ……ルイさんのせ所為(せい)ですよ?」


 「はぁ!? 何でそこで僕が関係するのさ? 殴られることしたのはカリナでしょ」


 「元はといえばルイさんがさっさとナハトアを食べちゃわないからです! 後が詰まってるっていうのにこのままだと腐ってしまいますよ?」


 「後が詰まってるって何の話?」


 いきなり飛び火してきたので慌てて問い(ただ)すと、逆ギレ気味に諭された。僕が悪いのか? こっちの世界では道徳観が違うのは分かるけど、節操無く盛るというのはどうなんだろう? と思う自分も居る。今の言葉を僕なりに分析すると、据え(ぜん)()わぬは男の恥ってやつか? カリナは別として、ドーラやフェナは僕の中でなぜだか愛玩動物(ペット)的な位置にあるから美人で可愛い娘たちだとしても食指が動かないんだよな。良いお相手が居ると良いんだけどな〜という親の心境だ。


 「本当に分からないんですか?」


 「さて、宿に入るかな。アレンカさんを待たせちゃダメだろ?」


 「あ〜逃げた!」


 にやりと笑って質問に応えておいて宿屋の扉を抜ける。食指が動けば食べる気はあるし、その習慣も1年で確立してるわけだから可能性は本0ではないよ。でもね、やっぱり生霊(レイス)の体で居る時はそういう欲求が膨らみにくいみたい。早くエレクタニア(我が家)に帰りたいけど、なぜだか真逆の方向へ進んでいるというね。ま、なるようになるか。後ろからバタバタと足音が聞こえるが先程までの危機は去ったようだし気にする必要もない。宿屋に入るとアレンカがフードを(かぶ)ったまま僕たちの入亭を待っていた。


 「4人部屋を1つと2人部屋を2つお借りしております。どうぞごゆっくりお休みください。連絡が必要なときにはわたくしが参ります」


 僕と眼があったと思ったらすらすらと案内を始めるアレンカ。侍女としてもそれなりに訓練を受けてるみたいだね。うちも似た模様なものか。こんな時には変に(へりくだ)る必要もないってアーデルハイドが言ってたな。


 「分かった。案内助かったよ。アレンカさんも気を付けて」


 「ありがとうございます。では皆様失礼致します」


 「ああ、またな」「ありがとうね」「「失礼します」」「うむ、大儀である」


 ぺこりとフードを最後まで脱がずにお辞儀をしてアレンカが宿を後にするのだった。それぞれの見送りの言葉を背に受けて。


 それから鍵を受け取りそれぞれが部屋に入ることになる。クリス姫は本来であれば2人部屋なんだけど、ジルケが合流するまでは4人部屋で過ごすことになった。2人部屋は空いたままだ。6歳の女の子を1人にするのはちょっと考えられないよな。


 その日の夕方、陽が傾いた頃にジルケとゲルルフ、そしてラドバウト(おっさん)が戻ってきた。おっさんたちは別の宿を取っているらしく、決行日までは別行動だと言われたよ。ま、気が楽でいいんだけどそれまではクリス姫をこちらで保護するということで間違いない。まぁ、ジルケも居るから身の回りのことは気にしなくても良いんだけどね。さて、どんな結末が待ってるか。いずれにしても陰謀なり反乱(クーデター)なり謀反(むほん)なりの結末だろうから心地良いものでない事は確かだな。おっさんの言葉を借りるなら決行日は10日後の早朝らしい。事の顛末に思いを馳せながら、僕は屋根の上から沈む夕陽が王都の空を焼き赤く色付けていくのを眺めていたーー。




             ◇




 同刻。


 王都アレーナの小高い岩塊の上に立つ王宮の一室で、男が両袖机の真ん中に腰掛けて苛々と右手の指の腹で机の側面を叩いている。


 宮廷魔術師マテウス・フェン・オーケシュトレーム子爵その人だ。


 (おもむ)ろに右手を上げこめかみを押さえたかと思うと、その右手で頭を()(むし)るのだった。金髪が指の間から飛び出し手の動きに合わせて激しく踊る。彼がそうまで苛ついているのには理由(わけ)がある。昼から今の時間まで入れ代わり立ち代わりクリスティアーネ姫の帰還の情報がもたらされているのだが、どれも違うのだ。


 「どうなっているーー」


 こんこん


 思わず動揺が言葉に変わって()れ出たと同時に扉がノックされる。


 「入れ」


 「失礼致します」


 オーケシュトレームの許しを得て扉が開き、1人の品の良い初老の女が入って頭を垂れるのだった。身長は170㎝前後だろうか。痩せている所為(せい)で少し背も高く見える。金髪と白髪が混ざってはいるが白髪の割合が多そうだ。お辞儀したまま女はオーケシュトレームの言葉を待つのだった。きっと長いであろう髪は三つ編みされ後頭部に結い上げられている。


 「久しいな、ロミルダ(・・・・)砂漠の旅はどうだった?」


 「はい、砂除け(・・・・)の御蔭で襲われることもなく快適に過ごせました。ただ、久し振りの日中の移動は歳のせいもあり(こた)えたのも事実です」


 そう、オーケシュトレームの部屋に入ってきたのはサンドワームがクリス姫一行の野営(キャンプ)を襲った際、安否不明のまま分かれていたロミルダだったのだ。クリス姫たちが手にした笛は砂除(すなよ)けではなく、砂寄せ(・・・・)だったことを思い起こせば彼女の言葉に不審感を禁じ得ない。


 「そうか。では聞いているな?」


 「申し訳ございません。砂寄せだけで事足りると思っていたわたくしの落ち度でございます」


 その一言が決定的であった。つまりロミルダはオーケシュトレームの子飼いの者で、ルイたちと居る前から、それも(さら)われて奴隷に落とされる時点から見張り役として付き添っていたということだ。奴隷に落とされたとしても、オーケシュトレームの元に帰ってくればすぐに解放される手はずだったに違いない。


 「クリスティアーネ姫のご様子は? 部屋におられたであろう?」


 王都の踊る砂蜥蜴亭に宿を取ったクリス姫のことを言っているのではないようだ。


 「まだ何もお気付きでないご様子でござます」


 「お前の顔を見てもか?」


 「はい。変化はございませんでした。わたくしが不在であったのも根回しくださっていたのでございましょう?」


 「ふん。まだ耄碌(もうろく)していないようだな」


 優雅にお辞儀するロミルダの姿を見ながらオーケシュトレームは鼻で笑うのだった。気分が良い方には転ばない状況だけにロミルダの顔を見ても腹立たしいだけなのだ。それに気付いてか、自分に矛先が向かぬようにロミルダが話題を変える。


 「それにしましても考えたものです。こうまであからさまに情報を流してくるとは」


 「それだけ頭の切れる者が居るということだろう。王宮の手の者は信頼を置いていないという証拠だ。当然、お前のことも既に知られてると考えておいたほうが良いぞ?」


 「肝に銘じます」


 「何時来るか……。嫌らしい手を打ってくれるものだ。下がれ、引き続きクリスティアーネ姫を頼む」


 「(かしこ)まりました。アレンカは如何(いかが)いたしましょう?」


 「何もするな。まだ泳がせておけばいい」


 ルイたちを案内したアレンカ(侍女)はどうやら子飼いではないらしい。監視対象になっているということは信頼されていないということなのだから。


 「承知いたしました。ではこれで」


 オーケシュトレームの言葉を受けてロミルダは深々とお辞儀をして部屋を後にするのだった。ぱたんと扉の閉まる乾いた音が部屋の中に響く。自分の予定通りに事が進まないもどかしさと、邪魔をされたことへの憤りが心の中で渦巻いているのを感じながら視線を外に向ける。


 首だけを(ひね)る姿勢ではじっくり景色を楽しめない。両袖机から立ち上がるとちゃらっと懐からネックレスが現れる。その先端にはあのミスラーロフの耳に着いていたものと酷似した“眼”がぶら下がっていたのだ。男は懐から(こぼ)れでたネックレスに気付き、すぐに懐の奥に隠し視線を窓の外に向けるのであった。いつも眼にする光景だ。傾いた夕陽に照らされたオアシスの湖面が赤く波打ち日没が近いことを空に告げているのを眺めながら、煩い事をこの瞬間だけでも忘れようと大きく溜息を吐きだしていたーー。




             ◇




 同刻。


 それは薄暗い地下室のような部屋だった。窓はない。明かりは油灯(カンテラ)とは違う光が部屋の4方の壁に灯っている。炎の揺らぎがない処を見ると魔道具に寄る発光のようだ。それでも部屋全体を真昼のように明るく照らしているわけではない。辛うじて何が何処にあるかが見分けられれる程度だ。


 扉から一番離れた奥の壁に(ひつぎ)が斜めに立てかけてある。いや、こうゆう仕様のようだ。棺の上下の角は壁と床に()めこまれており、それ以外の空間も煉瓦(レンガ)らしいものが積み上げられ中折しないように支えられている。人為的に据え付けられたものに間違いない。その棺の(ふた)が突然真ん中から左右に開き、一人の男がよろよろと出て来た。


 「何なのだ、あの剣は!?」


 男はミスラーロフだった。暗がりのせいで顔色は(うかが)えないものの、かなり憔悴(しょうすい)していることは分かる。本人も自覚があるのだろう。眼の前のテーブルに無造作に置かれた中身の詰まった瓶の封を開けて中の液体を口の奥に流し込む。ごくっごくっと喉が鳴り喉仏がその都度上下する。


 「ぷはーーっ!」


 一気に瓶の中身を(あお)ると、空になった瓶を力強くテーブルの上に置くのだった。その衝撃でテーブルのものが互いにぶつかって騒がしく揺れる。それよりも気になることがあった。あの剣に挿された瞬間に力が抜ける感覚があったのだ。確認しなくては。何かに急き立てられるかのようにミスラーロフは自分のステータスを呼び出したのである。


 「ステータス」


 ◆ステータス◆

 【名前】ミスラーロフ

 【種族】グレーターデーモン / 魔族

 【性別】♂

 【職業】魔工技士

 【レベル】500

 【状態】呪詛-

 【Hp】7,218/73,529 (-1,000)

 【Mp】140,015/147,059 (-1,000)

 【Str】9,688 (-1,000)

 【Vit】5,294 (-1,000)

 【Agi】9,211 (-1,000)

 【Dex】14,063 (-1,000)

 【Mnd】15,625 (-1,000)

 【Chr】6,000 (-1,000)

 【Luk】6,842 (-1,000)

 【ユニークスキル】エナジードレインLv326、真贋(しんがん)の眼

 【アクティブスキル】ー

 【パッシブスキル】ー

 【装備】ラミアの眼、絹の下着、木綿のマント、絹のズボン、絹のシャツ、革のサンダル


 「何だこれは? そんな莫迦(ばか)な……。 ユニークスキル意外消えてるだと!?」


 ミスラーロフは己のステータスを見て愕然とした。【状態】が呪詛であるだけでなく、全てのステータスにマイナス補正が掛かっていたのだ。更には【アクティブスキル】【パッシブスキル】のスキルが全て消えており、魔法を付与しておいた服や装備もただの綿や絹の製品に変わってしまっていたのである。何をされた? その思いがミスラーロフの頭を駆け巡っていた。


 「剣のせいだけではないということか。やってくれたな、あの生霊(レイス)。手も足も出ない状態で消滅させてくれる」


 彼にとって今回の1件はその誇りをずたずたに引き裂くのに十分なものだった。辱めを受けて放り出されたような感覚に襲われたといえば良いだろう。最早彼の頭の中にあるのはルイとの再戦。復讐であった。自分の事を棚に上げて、である。そうと決まれば行動は早い。ミスラーロフはテーブルの上にある中身に詰まった瓶を1本手に取ると、足早に扉をあけて廊下に飛び出るかのように姿を表す。静かに扉を閉めるミスラーロフの顔には狂気じみた微笑みが張り付いていたーー。


 「生霊(レイス)、首を洗って持っているが良い!」







最後まで読んで下さりありがとうございました!


ブックマークやユニークをありがとうございます! 励みになります♪


誤字脱字をご指摘ください。


ご意見ご感想を頂けると嬉しいです!


これからもよろしくお願いします♪


次回は少しだけSSというものに手を出してみようと思います。

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