第11話 分捕り物
2016/3/29:本文修正しました。
2016/7/25:本文修正しました。
2016/11/8:本文加筆修正しました。
2018/5/13:スキルレベルに絡む計算間違いを修正しました。
古城から帰ってきた僕は皆からこっぴどく叱られた。もしもの事があったらどうするのかと。皆が心配してくれてるのが分かって、なんだか安心したのも正直ある。あぁ、家族になれたんだなぁって感覚といえばいいのか、くすぐったい気持ちだった。久しく忘れていた気持ちだ。皆には感謝しないといけないなって改めて思った瞬間でもあったんだけど、取り敢えず誤魔化すように謝っておいた。
だって恥ずかしいじゃん。
エリザベスさんたちが気にならないといえば嘘になるけど、こちらはこちらでやっておきことがある。あの生霊のおっさんから奪ったものの検証だ。これからのこともあるしね。
ステータスに❶って出たのは神様からメッセージが届いたっきりだったから、ちょっと新鮮な気分でもある。それに【鑑定】スキルがステータスにも使える事が解ったのは収穫だったね。
実体化したままギゼラの背中に横になってのんびりすることにする。心配掛けたしね。カティナも近くで草を喰んでる。気にしてくれてるんだろう。
それにしても、と思ってしまう。ヴァンパイアは僕の中では単なる不死族という魔物だ。RPGゲームでもそんな位置付けだったからな。だから、意志を通わせることが出来るとも思ってなかったよ。でも生ヴァンパイアを見て特に生物的な嫌悪感は湧かなかった。ついでに言えば、人型のモンスター意志を交わし、好意を示される事が嬉しいと感じてしまっていたのは紛れもない事実だ。けど、彼女たちにとっては変な道徳観を振り回して帰って来た。僕はヘタレなのかな?
とは言うものの、僕の傍に居るギゼラもカティナも性別上雌だ。エリザベスさんも雌。この言い方はなんか嫌だなーー。女性だ。この状況を受け入れているのに、どうして彼女を受け入れ切れなかったんだろう? 夫婦でない女性と肉体関係を持つという考えを心が拒絶しているのか、複数の女性とそういう関係になることを心が撥無しているのか……よく分からない。
獣型であろうが人型であろうが魔物は魔物なんだけど、人型という部分に何か引っ掛ってるような気がする。ライクかラブかの違いぐらいであれば良いんだけど……。
向こうの世界の道徳観とこちらの道徳観を自分の中で上手く処理できれば良いんだろうか? 誰かに背中を押してもらう必要もあるのかもしれないな……。女性にモテるという経験がない僕には正直ハードルが高い問題だ。妹の季はよく懐いていてくれたけど……僕はシスコンじゃない。ま、エリザベスさんにもう一度遭うことがあれば、その時はちゃんと向き合えるようにしとかないと。
「格好悪すぎるーー」
『『?』』
『何でもないよ。独り言さ』
ギゼラとカティナが僕の独り言に気付いて顔を上げたけど、サラッと胡麻化す。真面目に説明なんて出来るはずがない。それこそ恥ずかしすぎる!
そんなことを考えて身悶えている横で他の皆は、一先ずヘルマとクラムの出産に備えて穴掘りの手伝いだ。この近辺で穴を掘ることにしたらしい。土魔法が使えれば楽なんだろうけど、残念なことに誰も使えないから仕方ない。
ヘルマはカティナの鬼嫁、もといい兄嫁。クラムはカティナの姉だ。家族が増えるのはいいことだね。
さぁて、僕は分捕り物の検証だ。
「ステータス」
◆ステータス◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】レイス / 不死族
【性別】男
【職業】レイス・ロード
【レベル】153
【Hp】96353/96353
【Mp】344000/344000
【Str】3642
【Vit】3461
【Agi】3503
【Dex】2727
【Mnd】2611
【Chr】1451
【Luk】1178
【ユニークスキル】エナジードレイン、エクスぺリエンスドレイン、スキルドレイン、※※※※※、実体化Lv167、眷属化Lv1
【アクティブスキル】鑑定Lv230、闇魔法Lv182、聖魔法Lv180、体術Lv120、剣術Lv103、杖術Lv98、鍛冶Lv1
【パッシブスキル】闇耐性LvMAX、聖耐性Lv192、光耐性Lv201、エナジードレインプールLv11、エクスぺリエンスドレインプールLvMAX❶、スキルドレインプールLvMAX❶、※※※※※、融合Lv1、状態異常耐性LvMAX、精神支配耐性LvMAX
【装備】
【所持金】0
相変わらず、装備なしに、所持金0なんだよな。これもし街に行くことになったら大変じゃない? 何もできないよ。
まずは、エクスぺリエンスドレインプールLvMAX❶に、
【鑑定】
◆エクスぺリエンスドレインプールLvMAX❶◆
【分類】パッシブスキル。常時発動中。エクスぺリエンスドレインで吸った経験値を幾らか貯めておくことができる。得た経験値は任意の項目に振り分けることができる。スキルレベルのないもの、既にレベルが上限に達しているものには効果がない。現在525レベル分の経験値の貯蓄があります。利用されますか? はい/いいえ。
いやいや、そんなインフレみたいに経験値もらってどうする!? というか、あのおっさんそんなに高レベルだったの!? はぁ人は見掛けによらないもんだ。
ん? つまり、一度ここにプールされてたからあの時レベルが上がらなかったってことか。なるほど。僕個人としてはこの方が嬉しいな。
まだ使わないから「いいえ」でお願いします、っと。次見てみよ~!
【鑑定】
◆スキルドレインプールLvMAX❶◆
【分類】パッシブスキル。常時発動中。スキルドレインで吸ったスキルを幾らか貯めておくことができる。得たスキルは任意で身に着けることができる。先天的な固有保持スキル以外であればドレインできる。貯まったスキルは消去することも、眷属に譲渡することも可能。現在20のスキルを保有しています。身に着ける/眷属に譲渡する/消去する
oh……何気にチートだねこれ。譲渡まで出来るってどれだけ優秀なの!? 取り敢えず中身のチェックだ!
身に着けますか? はい/いいえ
ここは「はい」で!ずらっと並んだ様相を確認してみなければ……。
◆スキルドレインプール一覧◆
【スキル名称】威圧Lv130
【スキル名称】調教Lv116
【スキル名称】偽装Lv243
【スキル名称】乗馬Lv146
【スキル名称】交渉Lv261
【スキル名称】料理Lv80
【スキル名称】採集Lv112
【スキル名称】栽培Lv156
【スキル名称】瞑想Lv383
【スキル名称】読書Lv308
【スキル名称】調合Lv257
【スキル名称】錬金術Lv270
【スキル名称】闇魔法Lv430
【スキル名称】闇耐性LvMAX
【スキル名称】土魔法Lv286
【スキル名称】土耐性Lv195
【スキル名称】火魔法Lv316
【スキル名称】火耐性Lv184
【スキル名称】風魔法Lv187
【スキル名称】風耐性Lv106
…………。
…………。
…………おいっ!! 出鱈目過ぎるでしょうが!!
そもそも問題、僕は異世界のどの部分に出てきたんだ? ゲームの世界じゃないのは解る。ゲームであれば冒険が始まる街付近に現れて、雑魚キャラを狩ってレベルを上げてとなるんだろうけど。明らかにこれは異質だ。
ギゼラもあのおっさんも高レベルだった。恐らくだけどエリザベスさんたちも高レベル帯に居るはず。ん? そもそもこの世界でのレベル上限は一体幾つなんだ? 何も知らないな。
何かで調べなきゃ。やっぱり大きな街かな? リスクもあるけど。
『ねぇ、ギゼラ?』
『なんだ? 主殿?』
『この辺りに人間が住む大きな街はあるのかな?』
『ないな。辺境の地にあるのは小さな街だけだぞ。主殿は街に行きたいのか?』
『ん? う~ん、今すぐじゃないけど調べものがしたいなぁ~って思ってね。まぁ、でも皆が付いて来ちゃ街どころじゃないけどね』
『ふふ。違いない』
そうなったら人間側が過剰反応を示すだろうから、とてもじゃないけど連れていけないよね。しかもギゼラ今さらっと聞き捨てならないこと言ったよね。「辺境の地」って。端っこじゃん! そりゃ変わった魔物も沢山いるはずさ!
う~ん、まずはこのスキルだ。神様はスキル増やせないようにしたとは言ってたけど、全部ダメなのか、その枠に当てはまらないものもあるのか。試してみるか♪
《【スキル名称】土魔法Lv286 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】風魔法Lv187 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】火魔法Lv316 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】土耐性Lv195 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】風耐性Lv106 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】火耐性Lv184 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
分かっていた事だけど、現実を突きつけられると凹むね、これーー。アクティブスキル系は無理と思ったほうがいいのかな? 威圧とか調教とか……アクティブっぽいしなぁ~。
《【スキル名称】威圧Lv130 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは身に着けることができません》
…………。
《【スキル名称】調教Lv116 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは 眷属化Lv1 に統合されます。宜しいですか? はい/いいえ》
…………。
『はぁっ!?』
ギゼラの背中で飛び起きる!? 大声を出していたらしく、二人の体がビクッと弾んだ。
『どうした主殿!?』『どうかしたの? ルイ様? 急に大きな声出すからびっくりしたじゃない』
『あぁ、ごめんごめん。ちょっとステータスをいじって遊んでたら思わぬ選択肢が出てびっくりしたんだ』
『まったく主殿も飽きぬものだな』
大蛇の頭がフルフルと左右に振れる。
『ははは。彼を知り己を知らば百戦殆うからず、だよ』
『ルイ様は時々難しいことを言われるよね。わたしには分からないけど』
カティナ、口の中に草を入れたまま話すのはやめようか。
『カティナだけではない。我も分からぬ』
『相手と自分のことをよく知っていれば、例え100回戦っても負けることはないという古い言葉さ』
『含蓄がある言葉だな。主殿』
いや、君もだよギゼラ。よく含蓄って言葉知ってるね? 蛇だよね?
『という訳で急に騒ぐかもしれないけど、無視してくれていいからね』
お~い? 返事は? そこから無視!? 最近妙に二人共息が合ってるよね? まあ、いっか。じゃあ統合してみますか! 「はい」っと♪
《【スキル名称】調教Lv116 が 眷属化Lv1 に統合され、眷属化のレベルが11になりました》
おお~。調教は眷属化の下位スキルだったってことか。しかもLv116でたった11しか上がらないってどんだけ経験値必要なんだ?
という事は、今持っているスキルに関連性があれば習得可能かもしれないってことだね! 俄然やる気が出た! どんどん行ってみよぉ~♪
《【スキル名称】闇魔法Lv430 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは 闇魔法Lv182 に統合されます。宜しいですか? はい/いいえ》
…………これは、「はい」だよねーー。
《【スキル名称】闇魔法Lv430 が 闇魔法Lv182 に統合され、闇魔法のレベルが612になりました》
…………おい。上限どこだ? くっ! 気にしたら負けなのか? つ、次だ!
《【スキル名称】闇耐性LvMAX 身に着けますか? はい/いいえ》
はい!
《そのスキルは 闇耐性LvMAX 統合されます。宜しいですか? はい/いいえ》
…………これも、「はい」だよな。
《【スキル名称】闇耐性LvMAX が 闇耐性LvMAX に統合され、闇吸収になりました》
…………。
…………。
ゴシゴシ
…………。
…………。
『はああぁっっ!!??』
最後まで読んで下さりありがとうございました。
ブックマークやユニークをありがとうございます! 励みになります♪
誤字脱字をご指摘ください。
ご意見やご感想を頂けると嬉しいです。
宜しくお願い致します♪
2016/2/3:鑑定スキルをパッシブからアクティブに訂正しました。