第104話 領主の居ぬ間に
「それが、ナハトアという冒険者と共に居た男2人を直ちに連れてくるように、との事とです」
「「へ?」」
予想外の言葉に思わず間の抜けた声をナハトアと揃って出してしまった。じろりとおっさんの鋭い視線が刺さってくる。当然怪しまれるよな。
「お前ら何をしでかした?」
「え? いや、何を? と言われても思い当たる節が無いので。ねえ、ナハトア」
「はい。領主様繋がりの方に粗相したとはとても」
おっさんの尋問じみた問い掛けにナハトアと顔を見合わせながら答えるが、おっさんは明らかに不機嫌になった。どうやら領主と仲が悪いのか? まぁ、ラノベの知識で言えば冒険者ギルドは国に所属しない組織だったな。日本で言うところの企業と労働組合みたいなもんか?
「ちっ。面倒なことを呼びこみやがって。おい、馬車を用意しろ」
よく聞こえる舌打ちをして、報告に来た冒険者なのか秘書なのか分からない男に指示を出そうとするおっさん。ん? と言うことは一緒に行くってことか? あ〜それは面倒だな。
「あ、いえ、それがギルマス」
ところが、その指示に男が口を挟む。
「なんだ?」
「迎えに来た馬車に乗ってもらいたいんだそうです」
「何?」「「!?」」
その言葉におっさんが改めて僕たちを睨む。知りませんって! 疑われてるようなので、2人して素早く首を左右に振っておいた。
「じゃあ、お断りも出来ないんですね」
「お前断るつもりだったのか?」
「ええ。面倒なのは極力避けたいので」
「そのくせ困ってるやつを見たら面倒だって言えないってか? はっ難儀な性格だな」
おっさんに鼻で笑われてしまった。ゔ、確かに言われてみればそうだ。言葉に詰まってると隣りでナハトアが口元に握り拳を当ててくすくす笑ってる。つまりナハトアもそう思ってるってことだな。まぁいいか。笑顔が可愛いし。
「っ!」
僕の視線に気が付いてナハトアは直ぐに僕から顔を逸らすのだった。う〜ん、どうリアクションを拾えばいいんだ?
「おいお前ら、いつまで惚気てるんだ。行くぞ」
「「なっ!?」」
おっさんに良いように弄られてしまった。慌てておっさんの背中を追って部屋を後にしたんだけど、その間ナハトアが顔を伏せてたんだよな。機嫌が悪くなったのか、なんか聞くのも怖かったのでそのままにしておいた。そしたらヴィルのやつがにやにやと頬を緩めて僕の方を見てくるんだよ。なんか腹立ったから【黒珠】を1発額に打ち込んでやった。そしたら気色ばむじゃないか。まぁお互いに大人気ないんだけどね。僕の方もそれで気が済んだから、にやりと笑い返しておっさんの横に並ぶのだった。
「領主ってどんな人ですか?」
「様を付けろ、様を。ああ、頭の切れる良いやつだな。変な性癖があるが、まぁ気にするな」
いや、そこ気にするなっていう方が気になるでしょ!? 何も聞いてないんだったらいざ知らず、聞いた後でそんな事言わないでよ。日頃のストレスから逃げるための解消法の一つなのか? ふむ。これ以上は喋るつもりはないようだから話題を変えるか。
「領主様の邸宅は何処に?」
「街の北だ。そうだな。馬車で向かえば四半刻もあれば着くな」
四半刻か。時速10kmでざっとの計算で5km前後の距離か。歩くよりかは乗ってるだけなんだし、我慢我慢。退屈な馬車の旅はなかなか慣れないもんだ。
「これはランバート様。この度は御足労を願いまして恐縮でございます」
おっさんとギルド会館の表に出ると、2頭立ての馬車に立つ初老の男がおっさんの姿に気付きお辞儀をするのだった。流石に年の功だな。動きに無駄がない。使者というのはこの人物のようで御者は馬の前に出て落ち着かせているのが見える。こんな時だ暴走させないのも御者の技量だろうからな。馬はエトが召喚する吸血輓曳馬に比べれば細身に見える馬だ。サラブレッド種と比べればもう少し肉付きが良い気がする。
「出迎えご苦労だったな、ヤンネ」
「は。それでこちらの美しいダークエルフの御婦人が」
「ナハトアよ。どうぞ宜しく」
「然様でございますか。お付の殿方が御二人おられると伺っておりますが」
「それなら僕と彼のことだろう。宜しく」
ヤンネと呼ばれた使者の眼が品定めするように僕の体を上から下まで見た事に気付いたが、そこには触れないでおいた。気付かないフリをしていた方が後々良いかも知れないと思って。
ヴィルはまだ街中が落ち着いてないと理由を付けて御者席に座らせてもらうことにした。と尤もらしく理由をつけたけど、馬車自体が4人乗りなんだ。ヤンネと呼ばれた使者のおっちゃんと、ギルマスのおっさん、それに僕とナハトアで定員オーバーだ。ヤンネさんが御者席に行こうとしたんだけど、この形で落ち着いたって訳。
聞いてみると、安全を考慮して街壁沿いを回って行くと言うことだった。ま、それが常識だよな。ただ、僕らが呼び出された理由までは教えてもらえなかったので、他愛のない雑談をしながら時間を潰すことにした。最終手段は居眠りだけどな。
◇
30分後。
ギルマスのおっさん、ランベルトとか言ったか、の予測通り四半刻で領主邸に到着した。屋敷というよりうちの小城と同じ感じだ。ま、街を治めるというんなら来賓から見下げられるような造りだとまずいよな。
「そこそこ大きいな」
「驚かないんだな」
「サフィーロの王城に入ったことがあるんでね、そこまで驚かなかったな」
「「「え!?」」」
「ん?」
「サフィーロの王城だと? 幾重にも防御魔法が施されている所にお前が入ったのか?」
は? 防御魔法? 何その今更な設定。3人の驚き方が尋常じゃないんだけど。どういう事?
「いや、そんな話初耳ですけど? 普通に同伴者に連れて行ってもらったよ? そのお蔭かな?」
「まじかよ。“同伴者”って関係者って事じゃねぇか。本当にお前何者だ?」
「だからさっき言ったこと以上に説明できませんて」
どうやら侵入者対策が万全に施された場所だったらしい。それはそうか。国の中枢だもんな。そこが落ちれば国が落ちたに等しい。であれば、そうならないための対策は取ってあると考えるのが普通だな。漸く夢の引き籠もり生活が出来るって完全にお上りさんになってたし、気が付かなかったの仕方ないか。夢と現実は随分離れてたけどね。
「こちらでございます」
そんな話をしつつ案内されるままに付いて行くと、大きな食堂のような長テーブルがある部屋に案内されるのだった。うん、うちの食堂より広いな。そんな事を思いつつ観察すると、8人程のグループが前方に居る事に気付く。見覚えのある顔ばかりだ。そう、一番最初の船底で【治療】を掛けた少女と老婆?いや老婦人か、それに偶然助けることになった若い女騎士だ。後ろに男たちが5人立っている。護衛だろう。
僕たちの顔を見た若い女性が幼い少女に耳打ちすると、びっくりした様に眼を大きくしてこちらを見詰めるのだった。悪い噂話とかを吹き込んでるんじゃなければいいんだけど。何歳くらいだろ? 見た感じ小学生の低学年ってところかな?お付のおばあちゃんって言うと怒られるかな? 60代後半くらいの女性が甲斐甲斐しく世話をしてる。
「あ、姫様!」
がたんと椅子を蹴って少女が席を立ち、たたたっと僕の前に走ってくる。姫?今姫様って言わなかった? 白茶色の肌に肩口まで伸びた金髪を揺らしながら少女は僕の前で立ち止まり、瑠璃色の瞳で見上げて口を開くのだった。
「あ、あたちはクリスティアーネ・ラピスラスリ・フェン・ヴァルタースハウゼン」
ながっ!
「この度はそちの御蔭で助かった、れ、礼を申す!」
思わず名前の処で声が出そうになったのを抑えながら、緊張した面持ちで精一杯礼を言う姫様の言葉に頬が緩むのを感じていた。大人の権力者相手だとあまりしないが、思わず膝を付いて目線を姫様と合わせることにした。ナハトアの表情がチラッと見えたが幼子にはいつもツンとしている表情も緩むらしい。
「丁寧な感謝の御言葉をありがとうございます、姫様。熱はもう大丈夫ですか?」
そう、数時間前まで熱で臥せっていたはずなのだ。
「うむ、この通り、元気になったのだ! あわわわ」
「「姫様!?」」「おっと」
僕の前で質問に答えながら姫様がくるりと回って見せてくれたのだが、バランスを崩して倒れそうになる。おばあちゃんと女騎士が慌てて席を立つが、その前に僕の左手で小さな体を受け止めていた。
「御怪我はありませんか、姫様? わっ」
「〜〜♪」
姫様の驚いた顔を見ながら尋ねると、そのままぼふっと胸に飛び込んでくるのだった。完全に無防備だったので声が漏れてしまう。そう言えば、妹も幼い時こんな感じだったな。事故で他界した妹、季の事がふと脳裏を過る。お兄ちゃん子でいつも僕の後をついて回っていたのを思い出した。そんな妹とこの姫様が重なって見えたんだ。そんな訳ないのに――。
「申し訳ありません。さ、姫様、領主様が参られます。席にお戻りを」
「やだ」
「えっと……これはどうすれば?」
「姫様。お困りです、その」
ああ、あの時は名乗ってなかったな。
「ルイと申します」
「ルイ様がお困りです。姫様、お席に戻りましょう」
若い女騎士が僕の方を向いて何か言い難そうな雰囲気を醸しだしていたので、名乗ることした。どうやら名前が知りたかったようで、その一言に安堵した表情で姫に様に再度話しかけたのだったが――。
「やぁだ!」
何故か頑として譲らなかった。
「申し訳ありません、ルイ様。姫様は普段はこのように聞き分けがない方ではないのですが……」
「そうですか。だったら熱を下げたお礼を受け取ることにするかな。よっと♪」
「「えっ!?」」「「「姫様!?」」」「おまっ、何を!」「ルイ様!?」
そう告げるが早いか、僕は姫様をそのまま抱き上げることにしたのだった。普通に考えれば無礼千万、不敬な振る舞いだと怒られる処だろうが、お救いした謝礼だと割り切ることにてみたんだ。だって姫様を抱っこするってなかなか出来るもんじゃないぞ?
「まあ、嫌がっておられるのを無理に引き剥がすと後のフォローが大変でしょうから、僕がここに居る間、もしくは失礼するまでお世話をさせていただいて宜しでしょうか、姫様?」
「うむ!」
いや、おっさんもナハトアも何で「あちゃ〜」って顔するかな? おばちゃんも女騎士様も顔が引き攣っておられますよ? 護衛の5人衆に至っては視線が怖いんですけど。でも、小さな娘の笑顔は癒やされるよな。
「女となれば大人だろうが子どもだろうが見境なしかよ」
「ちょっと、ギルマス、何てこと言うんですか! 変な誤解を生むでしょう!? ほら、あそこの怖いお兄さんたちが剣に手をやったの見えてます!? 僕はノーマルですから。幼い子は自然の情愛の範疇ですって」
全力でおっさんの爆弾発言の火消しに勤しむ。姫様は「何のこと?」って表情なのでまずはほっとした。そんな大人の事情なんて知る必要はない。ん〜? この構図はまずいな。僕が領主様が来た時に抱えてると、姫様より上位に見られる可能性がある。かと言って、抱き上げたまま下座に付けば姫様の格を下げることになるよな。
むむむ、羽柴秀吉が三法師を膝に乗せて挨拶させたあのパターンはここではまずいぞ。
「えっと、姫様?」
「何?」
「この状況で領主様が入ってこられると、わたしの身分が釣り合わないので姫様に迷惑が掛かると思いますので、一度席に戻ってはいかがですか?」
その言葉に例の5人衆がうんうんと頷いてる。
「そうでございます。ルイ様にご迷惑がかかることは姫様も本意では御座いませんよね?」
「む〜」
老婦人がそう言いながら僕の眼の前に来たので渡そうとしたら、がっしりと服を握られてたという。あ、これ無理だわ。直感でそう感じてしまった。
「仕方ないな。立場を利用したとは思われたくないし、身分証明証確認してもらえますか? ちょっと取り出すから、ナハトア渡してもらえる?」
流石に直渡しはないだろうと思って、ナハトアにアイテムボックスから取り出した身分証明証を手渡すのだった。アイテムバッグから取り出すように見せるのは続けてるよ。アイテムボックスは無いというか、転生者の特典みたいになってるからね。身元がバレちゃう可能性が非常に高いんだ。だから、これは内緒にしてるのさ。
あ? 身分証明証? そうだよね。1年前にはなかったものさ。あの時アイーダが頻りに身分証明証を作るのを待てといって聞かなかったんだけど、彼女の言葉を聞いてて結果良かったんだ。というのも、身分証明証という魔法加工品を開発したメンバーの中にうちの家庭教師が混ざっていたらしく、しばらくして家の者全員分の身分証明証を加工してくれていた。朝お風呂から上がって食堂に戻ったら自分の席に置いてあったんだよな。
どれだけ複雑なものかと思えば、こんな感じだった。
◆ID◆
【名前】ルイ・イチジク
【種族】テイルへルナ人 / 人族
【性別】♂
【職業】モナーク
【領地】“黒き森”エレクタニア
【備考】加護+
非常にシンプルだ。他の娘たちのを見せてもらったけど、【領地】の所が【所属】になってた。一般というか、領民という立場の存在が居ないから他にどうなってるのかは分からないんだよね。これに自分の魔力を通せば指紋と同じで唯一無二の身分証明証が完成する。冒険者はこの身分証明証の情報欄が増え、この1枚で済ませれるのだとか。それはこれからン見ることもあるだろうな。
「えっ!? ルイ様、これ本当ですか?」
ん? 僕の身分証明証を手にしたナハトアがその情報を凝視してる。心なしか手が震えてる気もするな。
「どの事を言ってるのか分からないけど、虚偽記載はないはずだよ。この姿でサフィーロの王様とも話してるしね」
「「「「「えっ!?」」」」」
え? 何かまずいこと言った? 腕に抱いてる姫様もびっくり顔だ。驚いた顔も可愛らしい。
「クリスティアーネ様、御口が開いたままですよ?」
「あ」
思わぬ事を指摘された姫様が顔を真っ赤にして俯かれた。僕の腕の中なので見放題ではあるが。それよりも明らかに姫様のお連れの面々の挙動が可怪しい。ナハトアもそうだけど、おっさんも「マジかよ」と宣ってる始末。チラッと身分証明証を覗いてたからね。ナハトアから身分証明証を両手で畏まりながら受け取る老婦人。
「こ、これは……」
「し、失礼致します!」
老婦人が震えながら僕の身分証明証を見詰めている事が只事ではないと思ったのか、女騎士さんが覗き込んで来た。そりゃそんな反応されたら気になるよな。タイミングを計ったのかと言いたくなるような動きで、2人の視線がゆっくり持ち上げられ僕の顔を驚愕の眼差しで射抜く。何が言いたいのか分かる表情だよ、それ。
「このまま姫様を抱いてても宜しいですか?」
ぶんぶんと上下に2人の頭が動く。良いということか。一応確認を。
「それとも一度下ろした方が良いですか?」
ぶんぶんと左右に2人の頭が動く。ダメらしい。というか、何故急に無口に?
「姫様。このまま姫様を抱いてても良いそうですよ。良かったですね」
「うん♪」
姫様と話をしようと顔を姫様の方に向けた瞬間に2人がお辞儀をして退散し、例の5人衆の所に駆け寄って何やら話し始めたのが視界の片隅に入って来る。見る間に顔が青ざめていく5人衆。その眼に怯えの色が浮かんでるのは気のせいだろうか。
「それにしても姫様はどうして海賊に囚われてしまったのですか?」
奴隷として捕らえられるというのはこの世界では日常的に起きうることだ。知識として家庭教師からそう教わってきた。それでも、貴族、しかも王族が捕らえられて奴隷にされるというのはあまりに異質だ。国が滅んだとここ1年で聞いた記憶がないのだから、聞いてみたくもなる。
「ルイ様、身分証をありがとうございます。御身分を存じなかったとは言え失礼の段、平にご容赦下さい」
姫様にそう尋ねた処で老婦人が僕の身分証明証を持ってきた。恐る恐る差し出された身分証明証を受け取って、ナハトアに再度渡す。
「え?」
「ギルマスが見たそうだったから、見せてあげて」
「はい」
ナハトアは短く返事すると、おっさんの所に歩み寄る。その間に聞いておくことにした。
「姫様が何処まで覚えておられるか分かりませんが、えっと」
「ロミルダでございます、ルイ様。あちらの女騎士がジルケと申します」
老婦人の名前を聞いていなかったので言葉に詰まってしまったけど、それを察してか自分と女騎士さんの名前を教えてくれた。5人衆はその他多数という部類に入るのかな?
「ロミルダさんに、ジルケさんね」
「わたしどもに敬称は不要でございます、ルイ様」
さん付けしたのを透かさず訂正されてしまう。あ、そうか。まぁそこは郷に入れば郷に従え、だな。
「分かった。では、ロミルダ、何故みんなで海賊に囚われてしまったのですか?」
ばたん!
老婦人にそう問い質していると、背後で扉が閉まる音がした。ギルマスのおっさんの姿が見えない処を見ると慌てて出て行ったのはおっさんのようだ。えっと、身分証明証は?
「あの、ルイ様。ランバートが身分証明証を持ったまま駆け出て行ってしまいました」
「ま、僕以外には使えないもんだから戻ってくるさ。あたたた」
呆れた顔のナハトアも可愛かったので、にこりと笑い掛けておく。そうしたら姫様が僕の頬を引っ張るじゃないか。
「あたちを見るの!」
えっとこれは? ロミルダとジルケが「あわわわわ」という表情であたふたし始めた。ナハトアも突然の行動にぽか〜んとしてる。ひょっとしてこれはヤキモチというやつ?
「クリス様、ルイ様に何てことを!」
「ひ、姫様! も、申し訳ありません、ルイ様!」
ロミルダとジルケが僕の前でモグラ叩きのモグラのように交互に頭を下げ、上げを繰り返すのでつい口元が緩んでしまった。まだ頬は抓られた痛みで少しひりひりしてるけど、どうってこと無い。
「あ、これくらい大丈夫ですよ。姫様もすみません」
「うむ。分かればいいの! それと、あたちのことはクリスと呼んで良いぞ」
「「ひ、姫様!?」」
僕の身分については姫様が気付いてないようなので、青ざめる2人を手で制しておいた。この癒やしの時間を壊されるのも嫌だったので、そのまま抱いたままで居させてもらおう。ま、僕と別れた後でこの2人からこっぴどく絞られてしまいそうだけど。それはそれ、これはこれだ。それで改めてさっき聞きかけた事を訪ねようと持った時にドタドタと廊下を掛ける足音が近づいて来た。
ばん!
勢い良く扉が開かれて、ギルマスのおっさんともう1人の中年の男が駆け込んで来たのだ。礼儀作法も何処へやらという勢いで入ってきたかと思えば、2人が僕の前で並んで立ち止まった。話に聞いていた領主様だろうか? ギルマスのおっさんと比べて厚みも体重も半分くらいしか無いような細身の男性だ。赤茶色の髪を耳たぶが出るくらいのおかっぱボブカットがよく似合う。
ギルマスのおっさんの視線と領主様の視線が、僕の顔から足元に移る。ん?
次の瞬間2人は見事な土下座を僕の前に披露していた。
「「申し訳ございませんでした――っ!!」」
最後まで読んで下さりありがとうございました!
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