第101話 心の在りよう
「ちぃっ!!」
「はい、チェックメイトぉ〜♪」
気持ちに焦りが在ったのは否めない。唯一の武器を投げてしまうだなんて愚の骨頂だ。後は首、喉、心臓だけやられないように――。
トン
それは静かな衝撃だった。何にも邪魔されずにするっと入ってきた。
「ああぁぁぁあああぁぁぁ〜この感触よぉ〜〜」
女頭領の艶声を耳にしつつも衝撃が入った部分に視線を落とす。クノペシュの柄が腹部から生えていた。熱いっ!
「ぐふっ」
焼けるような感覚と血の味が口の中に広がる。幸い、彼女はこの肉を貫く感触が大好きなようで軽く意識が飛んでいるようだ。その隙を付いて左腕を彼女の背中に回し、首根っこを捕まえることに成功した。
「うふふふ。素敵ねぇ〜。結構深い傷なのに叫ばないなんてぇ〜。これは刺し甲斐があるわぁ〜」
勘弁してくれ。こっちにはそんな趣味はない。
「うふふふ。今度はゆっくりと刺してあげるわよぉ〜。このぷつぷつ感がたまらないのぉ〜」
何処からともなく取り出したもう一本のクノペシュの刃がゆっくり腹に差し込まれてくる感覚が分かる。このサディスト女め。
「【聖柱】。一先ず、逃さないよ。ぐっ」
「あらあら、聖魔法も使えるって優秀なのねぇ〜。でも貴男が死んじゃったらこの檻も消えちゃうから関係ないわぁ〜」
激痛で思考が焼ききれそうになるが、辛うじて意識は保ててる。【実体化】でここまで生身と同じ反応が出るなんて生霊としての性質は何処へ消えたんだ?いや、そんな暇はない。刺すことと、味わうことに没頭してる内に3種の吸収を済ませておいた。Hpは一桁だが動じた様子はない。
「綺麗な、癒やし系って、顔してるのに、やることが、猟奇的、過ぎるっ」
「あら〜褒めてもらえて嬉しいぃわぁ〜」
痛みのせいで言葉を出すのも一苦労だ。それにしても可怪しい。体の違和感も感じてるはずなのに気にした感じがないぞ。どういう事だ? 僕の方が既に邪眼の影響を受けてるってことか? いや、違和感はない。あるのは痛みと気味悪さだけだ。それなら観える範囲でいい。【鑑定】。
◆ステータス◆
【名前】ナディア・ロカ(ホノカ・ダイジョウジ)
【種族】クサンテ人 / 人族
【性別】♀
【職業】ローグ
【称号】ヴァイキング・クイーン
【レベル】1
【状態】錯乱-
【Hp】8/400
【Mp】16/100
【Str】31
【Vit】23
【Agi】36
【Dex】39
【Mnd】13
【Chr】27
【Luk】45
【ユニークスキル】邪眼Lv275、蠱惑Lv160、幸運の女神の祝福
【アクティブスキル】鑑定Lv170
【パッシブスキル】
【装備】刺突のクノペシュ、切断のクノペシュ、ドレス、絹の下着、タイツ、ハイヒール、アイテムボーチ
ユニークスキルはドレイン出来ないって言ってたけど本当だ。でも、【状態】が錯乱-ってなってるな。ん? 鑑定が吸えてない。なんで? いや、その前に武器に“二つ名”が付いてるって事は刺さってる剣は魔法の武器!? 肉体だけじゃなくってアストラルボディーにダメージが入ってることじゃないか!?
「【静穏】。見たことのない剣が、魔法の武器、だったとはね。えっ?」
妖しく微笑む女頭領ことナディアの左眼から一条の涙が零れ落ちた。
………お願い、わたしを殺して………
は? 誰? 眼の前には血肉に酔ったナディア。いや、泣いてるのか?確かにもう少し力が入れば命を奪うことは容易い。実際、彼女はその事を抗おうとしてないのだから。
「解離性同一性障害……か?」
実際に患者で診る機会がなかった症例だが、知識としては文献資料で見た記憶がある。解離性障害を発症する人のほとんどが幼児期から児童期に強い精神的ストレスを受けているとあった。ナディアの話に重なる部分が多大にあるな。
そもそも、子どものように心の耐性が低いときに精神的苦痛を受けると、限界を超える苦痛や感情を体外離脱体験や記憶喪失という形で切り離そうとする。そうやって自分の心を守ろうとするのが正常な反応なんだ。それなのに、その状況から抜けだせず更にはその自己防衛状態が途切れることなく続いていると、何処かのタイミングで自己統制権を失い、別の形の苦痛を生じさせたり社会生活上の支障を起こしたりする。これが解離性障害だ。子どもの内か、思春期か、あるいは成人して発症するのか誰にもわからない。
解離性同一性障害はその中でもっとも重いものであり、切り離した自分の感情や記憶が裏で成長し、あたかもそれ自身がひとつの人格のようになって、一時的、あるいは長期間にわたって表に現れる状態なんだけど――。
「まさか、異世界で、その症例に出食わすとは……」
完全に診断出来るほど証拠もないし、検査も行っていないのだから断定は出来ないが、限りなく黒だと僕は感じていた。
………もう人を殺すのは嫌。静かに暮らしたいだけなのに――。なんで――………
「あら〜、連れないわねぇ〜。貴女が困ってるからわたしが変わってあげたのにぃ〜」
【静穏】が効果を表し、流れ出てくる血が止まったような感じがしてきた。まだお腹には2本のクノペシュが刺さったままだけどな。ナディアがもう1人の自分と会話を始めたのが分かる。僕の方に視線を向けてはいるものの、見られていないって感じるんだ。
………それには感謝してるわ。でももう十分。これ以上は耐えられない。わたしが死ねば邪眼の呪縛から皆自由になれる………
他にも支配下においていると考えるのは当たり前か。ここまで組織が大きくなってるんだから。どういう結論をこの2人が出すのか、待つことにした。この距離から外すことはないしね。
「してしまったことは元には戻らないわぁ〜。仮に次が在ったとしてもその傷からは逃げれないのよ〜。もうわたしに全部任せなさい〜」
………嫌よ。聖魔法のお蔭でわたしは表に出て来れた。ルイくんのお蔭で。同じ日本人に逢えると思ってなかった。ゴウくんには悪いことしちゃったけど、今なら言える………
ルイくん? 年上なのか!? 思わずそこに突っ込んでた。心の中で。
「「わたしを殺して」」
「!!」
声が二重に聞こえた。
「本当に良いの? 君が、主人格になれるように、付き合うことも、出来るよ?」
さっきまで僕の中に在った殺意が薄まっていくのが分かる。これ以上被害を出さないためにという理由を心に貼り付けていたのが剥がれ始めてるんだ。だから甘いって言われちゃうんだろうけど。お腹から剣の柄を付き出して言える僕の精神状態の方が危ない気もするんだけどな。
「「今わたしの力で押さえ込めるのは聖魔法の結界があるお蔭。だから今の内にお願い。同郷の人に看取ってもらえるなら、それだけで十分よ」」
遣る瀬無い気持ちに襲われた。ナディアの人生を変わってあげることも出来ないし、巻き戻すことも出来ない。下手な同情は彼女の尊厳を傷つけるだけだと頭で理解っていても、だ。今のナディアの瞳に宿る意志は澱んでおらず、強く光っていた。ルイ、腹を括れ。
「分かった。君の、意志を、無駄にはしない。遺体は誰かに、使われないように、焼くけどそれで良い?」
「「ありがとう。お願い」」
「ふぅ……。じゃあ、お別れだ。さよなら、だいじょうじ ほのかさん。さよなら、ナディア・ロカ。【聖なる揺らぎ】」
その一言に2人が驚いて僕を見返したのが分かったーー。
【聖なる揺らぎ】。別名【聖震】とも呼ばれる聖魔法の初歩の魔法を選んで、そのまま首筋に打ち出した。掌から打ち出される衝撃波のような魔法が、僕の使える魔法の中で一番穏やかで外傷を付ける可能性が低い魔法だったんだ。ごきんという鈍い音と振動が左手を伝わってきた。それに合わせてナディアの体が力を失って僕の方に倒れかかってくる。
慌てて受け止めた。だらりと垂れ下がった両手。固く閉ざされた瞼。そして、頬を伝う涙が尊い生命の灯火から小さな燻りさえも消え去ったことを雄弁に語っていた。完全に脱力したその体の重さが腕に伸し掛かってくる。委託殺人かよ。
1年前、血が登って砦で手を下した時と比べて今は恐ろしく頭が冷めていた。実際、人を殺すのはこれで2人目なんだ。どこか異世界の人間ならという甘えた気持ちも残ってたかも知れないけど、流石にこれは堪えたな。まだ左の掌に最後の感触が残ってる。
「人に転生していれば、僕も同じように、なっていた可能性、も、あるんだよな」
ゆっくりとナディアの亡骸を横たえながら、自然と気持ちが漏れていた。たまたま神様が僕を担当してたというだけで、別の神様だったらと考えると人事ではない。
「ぐっ【静穏】」
お腹に刺さったままだった2本のクノペシュを引き抜き回復魔法を掛けておく。クノペシュはアイテムボックス行きだ。少し迷ったが、ナディアの亡骸も船に居る間はアイテムボックスに安置しておくことにした。眼を離した隙にこの場に居ない誰かが亡骸持ち去って器にするなんて、考えただけでも嫌だ。
横たわっている8人隷属状態を【解呪】して起こし、現状を把握してもらう。皆自分の姿に恥じらいがあるようだが、そこは自分たちでどうにかしてもらうしかないと伝えておいた。ナディアの乗船してた船ということもあったのか、船員は皆船外活動に忙しいようだ。外の様子がどうなったかはしらないが、恐らくジリ貧だろう。そうのち海賊が戻ってくるかも知れないからと一度8人で船底に向かう。途中に武器や服もあるだろうと伝えて。
最初は怪しまれたが、別段束縛もすることなく、【隷属の首輪】も外れたという安堵からか獣人たちは随分懐っこい。うん、可愛い娘たちなんだけど、これ以上は下手に手を出さないほうが良いだろうと適当にあしらっておくことにした。領地に残した娘たちのジト目が脳裏を過ったから。それに彼女たちは僕が生霊だということを知らない。分かった途端に一目散だろう。はははは。
女性たちはなんとか自分に合う服を見繕って身に着け、武器を手に出来たようだった。ついでに路銀もいくらかは失敬したようだたけど、それは僕の与り知るところじゃないから放って置く。彼女たちが言うには、この船が一番対応が良かったのだとか。商品としての躾が終わってるからなのかは知らないが。兎に角、この船に乗せられた時点で売られていくことが決まっていたのだという。そのため奴隷とは言え待遇は良かったのだとか。
かと言って奴隷のままで居たいと思う者は誰もおらず、結局船底の奴隷たちは全員解放した。そりゃそうだよな。その後のことはは知らないよとは言ってから自由にしたので、これ以上の責任は持てない。ただ、エルフたちには街の冒険者ギルドで他の船で奴隷にされていたエルフたちと落ち合うことになってるから、合流する気があればそこへ向かうようにと託けておいた。エルフ美男美女説は本当だという確証を得るきっかけにもなったな。
「さて、ナハトアたちが気になるな。怪我人も多いだろうし。行くか」
上空から見た時、大型船はこの3隻だけだったのでこれで終わりだ。皆に別れを告げて、甲板に出ると歩み板を使って港に降り立つのだった。喧騒や悲鳴があまり聞こえなくなってる気がする。
「あの! ご一緒させて下さい!」「わ、わたしも!」
どっちに行こうかと周囲を見渡していたら、先程の犬系の獣人と猫系の獣人の娘たちが駆け寄ってきた。服装も装備もさっきとは違う。どちらかといえばよりマッチしてる感じだ。自分の装備でも見付かったか?
「事が落ち着くまでなら大丈夫だけど、それでも良いかな?えっと」
「ドーラです!」「フェナです!」
犬系の獣人の方がドーラで、猫系がフェナね。2人共肌が黄色だ。僕も黄色肌だし、少し親近感が湧いてくるな。
「ルイだ。改めてよろしく」
「「よろしくお願いします、ルイ様!!」」
獣人は獣耳や尻尾がある所為で感情が読みやすい。耳がピクピク動いていたり尻尾がブンブン振られていたりすると、嬉しいということなんだけど……。どうやら彼女たちも漏れずにそうらしい。まあ、こんな時だ。助けた借りはここで返してもらってたほうが後腐れなくていいだろう。
「早速だけど、冒険者ギルドに向かいたんだ。その途中で怪我がひどい街の人が居れば助けたい。道案内とその道沿いで怪我をしてる人がいたら教えて欲しい。海賊は無視するか無力化する」
「「分かりました! こっちです!」」
そこまでハモらなくても、と思うくらい元気に眼を輝かせて走りだす2人。カティナやサーシャをふと思い出す。まだ4日しか経ってないというのに。僕が彼女たちに依存してたのかも知れないな、と気付き思わず頬が緩む。ふと見ると先の方で2人が立ち止まってこっちを見てるのに気付き、慌てて駆け出すのだった。本当、元気だな。
「すまない。ちょっとぼーっとしてた」
僕が追いついたのを確認して2人が駆け出す。
「ルイ様は大祭祀様なのですか?」
ドーラが駆けながら突拍子もない質問を投げてきた。紺色っぽい長髪をポニーテールにしてるんだけど、お尻から伸びるふさふさの尾と同じように揺れて触りたくなる衝動に耐えてる時にそんなことを聞かれるもんだから、思わず聞き返してしまった?
「はぇ? 何で大祭祀!?」
「【解呪】も御出来になりますし、【治療】の魔法も使われます。使えるのは大祭祀だけだとわたしたちは聞きました」
ドーラの代わりにフェナが幼さの残る顔を笑顔で埋め尽くして答えてくれた。可愛いというか愛くるしいと表現したほうがピッタリ来る娘だ。胡桃色の癖のある髪を肩口まで無造作に伸ばしているのだが、その髪型がよく似合っていた。
「いやいや、聖魔法を使ったけど、闇魔法も使うから違う違う」
「「大賢者様ですか!?」」
「どうしてそうなる!?」
否定したら、違う名詞を被せてきたので思わず突っ込んでしまった。
「高位の魔法を使える肩を大魔導師と言いますが、複数の属性魔法、それも高位の魔法を使われるのでしたら」
「大賢者様しか当て嵌まるものが」
ドーラの言葉をフェナが繋ぐ。そう来たか。どっちにしても面倒を引き起こす称号だ。どうこう言ってもあと十数時間も経てば【実態化】も切れる。もっと面倒になるかも知れないな。ま、そうなればなった時に考えるか。
「どっちも違うから、滅多なことを言わないようにね。僕は特殊な事情でここに居るけど、本当だったら怖がられる存在なんだから」
とだけ言っておく。何のことだろう? という表情を2人はしたが、深く食い下がるわけでもなく「分かりました」と短く答えて案内を再開してくれた。
「ルイ様、この奥できつい血の臭がします!」
「行こう!」
ドーラが立ち止まって右の路地を指差す。僕にはまだ分からないが一先ず案内してもらうことにした。息が在れば良いんだけど。
案内された先に広がっていたのは凄惨な血の海だった。生きている者が居るのだろうか? というくらいに、人々が折り重なって居る。2,30人はいるかもしれない。海賊の襲撃に耐えるために一箇所に立て籠もって迎え撃ったのだが力及ばず、といった状況なのだろうか? 兎に角、一縷の望みを掛けて【治癒の雨】を唱えた。
「【治癒の雨】! 【治癒の雨】! 【治癒の雨】! 2人とも息がある人を探して!」
「「はいっ!!」」
「何でここまで酷いことが出来るんだ! くそっ」
ここに居た人たちは海賊の家業に横槍を一度も出したことのない人たちだろう。恐怖の中で命を落としたことを考えると言いようのない怒りが湧いてくる。と同時にこれが現実なんだ、というもう1人の自分も冷静に見ているのに気付く。けど、ふとした瞬間に疑念が湧いた。
「女、子どもの姿がない」
「そう言われれば――!?」「ルイ様、息を吹き返した方が!」
僕の一言にドーラも気付く。間髪入れずフェナの声に振り向いてそこへ集まるのだった。
「【治癒】! 何があった! 他の者はどうしたんだ?」
回復すれば幾らか答えてくるだろうと【治癒】の魔法を50代だろうか血に塗れた中年の男性を抱え起こす。
「うっ、す、すまない。助かった。海賊共が女子どもを攫って行きやがった! ちくしょう……」
「何処に向かったか分かりますか?」
「街の中央に大きな広場がある。あそこに集めて選別すると聞こえた。俺が」
起き上がろうとする男性の背中を支えて上半身だけ起こすの手伝うが、そこで止めておいた。
「ここに居た中で息が在ったのは貴男だけだ。後の方は残念だけど助けられなかった」
「ぐっ!!! なんてこった! あいつらになって言えばいいんだ!!」
声を荒げて激しく拳を石畳に打ち付ける男性。その眼からは涙がとめどなく溢れ、頬を伝っていた。その怒りと悲しみは尤もだ。だからこそ頼まなければいけないこともある。
「僕には、ここで亡くなった方たちが何処のどなたかなのか分からない。でも貴男は違う。連れ去られた人たちは僕たちに任せて、ここで失くなった方の身元をしっかり調べてもらえませんか?」
「――分かった。俺では役に立たんのは、よく分かった。よろしく頼む」
少しの沈黙の後、中年の男性が充血した眼で僕をしっかりと見詰め返してきた。
「任されました。もしまだ生きがある方がいらっしゃったら広場まで連れて来ていただくか、冒険者ギルドに運んで下さい。治癒魔法を使えるものが誰か居るはずです」
「分かった」
中年の男性とガシっと手を組みゆっくりと立ち上がらせる。周りを見渡すが生存の望みは薄いが、気休めでも良いからと、もう一度【治癒の雨】を倒れている人たちに振り掛けておいた。
「では、先を急ぎます」
「ありがとう! あんたの名前は!?」
「ただのお節介焼きです! 忘れて下さい!」
「「えっ!?」」
走り出した僕の背中に男性の問掛けが聞こえたが、そう答えておいた。男性にペコリと御辞儀をして僕の後を追ってきたドーラとフェナがそれで良いんですか!? という表情で僕を見てる。いいんだ。
「こんな時に恩を売るつもりは更々ない。皆困ってるんだったら出来る範囲で手助けするのが人の道だろ?」
「「ルイ様……」」
「というか、僕が先を走ってても広場が何処かもわからないんだけどね?」
「「知らないで走り出したんですか!?」」
後ろからさっきまでの尊敬の眼差しが消し飛ぶ勢いで突っ込まれた。知ってるわけ無いだろ。初めて街に入った時空から入ったんだから。
「何となく。でもドーラもフェナも違うって言わないんだったらあってるのか?」
「ルイ様ったら……」「こっちです! ルイ様!」
緊急事態であるのにくすくす笑われながら追い越された僕は、再び2人に案内を任せることにした。頼りになるな。
その後も路地を抜けつつ怪我人が居れば癒やして広場を目指したんだけど、一言、街が大きい。昨年訪れたサフィーロ国の王都程ではないとは思うけど大きな港街だけあって中心までが遠いんだ。これもステータスのお蔭で、かれこれ20分近くは走ってるけどスタミナ切れを起こしそうな気配はない。
ドーラとフェナからも「本当に人族ですか?」と聞かれたくらいだ。獣人並みにスタミナがあるらしい。距離にして5kmくらいは走ったんじゃないだろうか。その時だった。
『オオォォォォォォォォォッ!!!』
路地の先から獣のような咆哮が空に響き渡ったのだーーーー。
最後まで読んで下さりありがとうございました!
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