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one ⑥
「星矢さん・・・。」
私は、今入ってきた人が星山さんだと確認した時、つい名前の方を呼んでいた。
ちょっと驚いた顔をしていたけど、直ぐに表情を変え、心配そうな表情になっていた。
「大丈夫か?・・・。」
医者から何を聞いたのか知らないけど、皆顔を顰めた。
星山さんがそんな顔をしている猛の胸ぐらを掴み、無理矢理立たせて、こう言った。
「どうしたんだよ。梨那子に何があった。」
始めてみたその剣幕に、私はびっくりした。
そんなに私の事を思っていてくれてたなんて・・・。
覚悟を決めたのか、猛は口を開いた。
「癌だよ・・・。悪性リンパ腫。」
もう、手遅れらしい・・・、とつけたした後、星矢さんは胸ぐらを掴んでいた手を離した。




