③
「すみません・・・。」
私は、編集長に頭を下げた。
あろう事か、星山さんがあんな提案をするなんて、今の私は思いもしなかった。
「お詫びと言ってはなんですが、今度ウチの書店で、フェスをするんです。
その担当を彼女に任せたいと思うんですが、編集長の意見を聞いて置きたいと思いまして。」
「勿論、お受け致します。美山、頼んだぞ。」
肩にポンっと手を置くと、編集長は自分の席へと戻っていった。
「かなり、信頼が厚いんだな。」
「えぇ。って、まだ居たんですか?」
信頼が厚いって言っても、まだ働き初めて5年〜6年くらい。
ほかの人から見れば、もうベテランって所だけど。
自分では、まだまだ未熟だと思う。
「先輩、これお願いします。
後、先方の溱さんとも連絡を。」
後輩のユリちゃんが、資料を持って来た。
「と言うことで、今は仕事中です。
お帰りください。」
冷たく言い放ち、自分の席に付くと、持ってきてくれた資料に目を通した。
ちょっと誤字が合ったため、手直しを始めた。
「美山、HALの写真チェック頼む。」
カメラマンの、猛がHALの写真を机の上に置いた。
猛とは幼馴染みで、仕事場では苗字で呼んでいる。
密かに人気があって、学校でも告白されているのを見た事がある。
「ありがとう。じゃぁ、チェックしておくね。」