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6.チーム高橋、旅行に行く 1

 新入社員が入る時期になりました。研修は、泊り込みで行われ、講師およびお世話係は、全国の支社から呼ばれます。今年は、お世話係りに、紫さんと蘇芳さんの同期が何人か選ばれていました。

 一時に地方の支社の同期が来ることは珍しいので、研究終わりの土日に近場に一泊旅行に行くことになりました。


 行き先は、海の見える温泉です。何台か車に乗りあって、現地集合となりました。

 紫さんは、もちろん蘇芳さんの車です。なんてったって、すぐ近くですから。


 途中で、二人同期を拾い、高速道路を順調に温泉地へと向かいます。


「今日泊まる旅館って、どんなとこなの?」


 経理の林さんが、助手席の紫さんに聞きます。


「海の見える露天風呂が自慢らしいわ。お料理も美味しいって」


「料理もいいけど、お酒だよね、蘇芳さん!」


 紫さんの答えに、営業の近藤君が茶々をいれます。蘇芳さんが、苦笑しました。


「くれぐれも飲みすぎないでくれよ、介抱が大変だ」


 近藤君は、大学時代ラグビーをやっていた大柄な人です。一度、酔いつぶれたときは、3人がかりでやっとお店から出したほどです。


「う…、気をつけます」


 近藤さんが大きな身体を縮めたので、車の中は笑いでいっぱいになりました。



「いい旅館だといいわねぇ」


 紫さんがガイドブックを見ながら言うと、運転席の蘇芳さんがちらっと紫さんを見て微笑みます。


「よかったら、今度お父さんとお母さんをつれてこようか」


「あ、それもいいわね~。あ、こっちの旅館もよさそう」



 のんびり両親を連れてくる話をする紫さんと蘇芳さんの後ろでは、非常にいたたまれない表情の林さんと近藤君がひそひそと話しておりました。


(甘い、甘すぎる!独り身にはつらすぎる!!)

(あ~、ここは携帯か本に逃げたほうがいいわよ~)


 近藤君は、前にも乗ったことのある林さんの助言に従うことにしました。林さんは、すでに用意してきた本を読んでいます。

 紫さんと蘇芳さんは、帰りはどこに寄ろうと盛り上がっているのでした。


 途中のサービスエリアで、いったん休憩です。すぐ先のインターで高速を降りれば、30分ほどで、旅館に着きます。まだ、チェックインには早いので、少しゆっくりすることにしました。


 近藤君は飲み物を飲みながら、なんとなく紫さんと蘇芳さんを見ていました。お菓子を分け合う2人はどうみても新婚夫婦。付き合っていないとは思えません。

 蘇芳さん、早く宣言しろよ!と、心の中で叫ぶのでした。



 旅館に着くと、もう何台か先についていました。皆ロビーで、待っています。

 蘇芳さんが幹事の元に行ったので、近藤君はほかの人々に駆け寄りました。近藤君の疲れた様子に、皆慰めてくれます。


「うんうん、あの二人と一緒の車は、独り身のお前にはつらかったな」

「あの無自覚ラブラブ空間は、きついよな~」

「今晩は、泊まりだ。思う存分飲め!許す」


 その晩、近藤君は思いっきり飲んで、やっぱり蘇芳さんをはじめとする3人がかりで部屋まで連れて行かれたのでした。

 

以外に長くなったので、分けます。

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