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4.紫さんと「ふ」のつくお友達

いわゆる腐女子とオタクに関する記述がありますが、作者は偏見を持っておりません。趣味の人だと思います。お好きでない方は、ブラウザバックを。

 ある金曜日の夜、紫さんは一人で銀座に向かっておりました。今日はお友達との食事会なので、蘇芳さんは一人で紫さんのおうちです。

 時間のちょっと前に待ち合わせ場所に着くと、もう今日の主役が待っていました。


「かおるちゃん!」


「ひさしぶり~!」


 おっとりした和風なお嬢様のかおるさんは、紫さんに手をふります。中・高・大と10年間一緒だったお友達で、中学入学して紫さんが最初に仲良くなった人でした。今日の食事会は、かおるさんの結婚が決まったお祝いなのです。

 近況報告をしてるうちに、他の友達も集まってきます。集合時間ちょうどに5人がそろいました。いつもながら、時間に正確なグループです。


「じゃぁ、行こうか」


 紫さんの声で、お店へと移動しました。



 今日のお店は、フレンチです。お祝いなので、白ワインを一本とりました。皆にいきわたったところで、乾杯です。


「じゃぁ、かおるちゃんの結婚を祝して、かんぱ~い!」


 絵里香さんの音頭で乾杯すると、おしゃべりに突入します。女3人寄ればかしましいと言いますが、5人だとうるさいです。もちろん、かおるさんが集中砲火を浴びています。


「知りあったきっかけは?」


「どんな人?」


「結婚式はいつ?」


「どこに住むの?」


「わ~、待ってよ、いっぺんには答えられないから、順番ね」


 かおるさんが、ワインを一口飲んでから、答え始めます。



「え~と、まず、出会いは見合いね。お互いの父親が仕事で知り合いだったの」


「いつ見合いなんかしたの?聞いてた?」


「「「聞いてな~い」」」


「う、いや、話が進むかわからなかったから…」


 かおるさん、4人ににらまれてあせっています。


「で、でね、相手の人は、T大出でM商事にお勤めでねっ。おんなじ趣味なの」


 かおるさんの発言に4人は顔を見合わせました。


「なるほど」


「両方の父がね、どうせ普通の人じゃだめだろうから、同じような趣味ならどうかって…」


 4人は、大きくうなずきました。かおるさんは立派な「腐」のつく女子だったのです。どれくらい立派かというと、書いて、描いて、薄い本を制作販売してるくらいです。固定ファンもいるようで、会社勤めしなくていいんじゃないの?くらいのレベルです。

 かおるさんに影響されて、紫さんたちもちょっとオタクよりな青春時代でした。


「相手はね、ゲームとアニメ系なの。でも、私の趣味も理解してくれて…」


 紫さんは、うっすら頬を染めたかおるさんの肩をたたきました。


「いい人みつけたね」


 思わず「割れ鍋にとじ蓋」が頭に浮かんだ4人でした。



 さて、食事とおしゃべりも進み、今はデザートを待っているところ。ワインが効いてちょっと赤い顔のかおるさんが、紫さんにふりむきました。


「ねぇねぇ、今日は金曜日じゃない。蘇芳さんは、どうしたの?」


 この4人は、蘇芳さんが金曜日に夕食を共にしていることを知っています。


「ん?うちで両親と食事してるけど」


「きゃ~、本人抜きで実家で食事だなんて、もう決まりでしょ!?」


「次は、紫ね!」


「紫ちゃん、書いていい~?」


 かおるさんは、からみはじめ、他の3人はきゃぁきゃぁ喜んでいます。


「ち、ちがっ。私と蘇芳さんはそんなんじゃなくて…!」


「またまた~、照れちゃって~」


 ほろ酔いの3人は人の言うことなんか聞きません。結婚式がどうの、お祝いがどうのという話になってます。


「紫ちゃんのこと、かあいい男の子に書くから~」


 かおるさんは、紫さんにしがみつきます。ほどこうにも、ほどけません。息が苦しいくらいです。


「わかった、わかったから!書いていいから!」



 かおるさんの抱きつきから逃れるための一言が、数ヵ月後、紫さんを打ちのめしたのは、言うまでもありませんでした。



 


かおるさんは有言実行の人です。紫を紫苑とかにして書いてそう(笑)結婚記念本かな?

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