17.そしてお姫さまは
本編最終話です。お付き合いありがとうございました。
蘇芳さんと紫さんの結婚式の朝、ちょっとだけ雨が降りましたが、午後から晴れました。司会の人は「雨ふって地固まると申します」なんて言うのでしょう。
蘇芳さんのお姉さん家族が北海道から来るので、夕方のお式、夜の披露宴となりました。夕食時間にお食事できるので、出席者からは好評です。
紫さんは、蘇芳さんのお姉さん家族と、結婚の話が出る前から仲がいいです。北海道出張のときにお邪魔したし、夏休みにお姉さん家族が東京に出てきたときにも一緒に遊んでいます。
紫さんは蘇芳さんの甥っ子姪っ子に、ゆかりおねえちゃんと慕われていました。紫さんは一人っ子なので、幼い子どもに懐かれてとてもうれしそうです。
お姉さんのみどりさんは、弟じゃ無くて妹がほしかったのよ〜と紫さんをかわいがってくれます。紫さんが私もお姉さんがほしかったですと言えば、抱きしめる勢いです。
白無垢と羽織袴で神前式をあげ、親族紹介も済みました。緊張した紫さんのお父さんが自分のお姉さんの名前を忘れちゃったりしましたが、かえって場が和み、両家の親族も打ち解けます。
蘇芳さんが指輪交換のときに指まで真っ白でびっくりしたと言えば、紫さんは指輪が入らないかとあせったといい、二人で笑いあいます。その様子を皆がにこにこと見守るのでした。
白無垢を色打掛に替えて、いよいよ披露宴に入場です。媒酌人が先導して蘇芳さん紫さんと続いていきます。媒酌人は社長夫妻にお願いしました。というか、立候補されました。
夫人は、中学の時から知ってる二人の結婚式だもの!と大変張り切っておいでのようです。うちの息子のときの参考になるわ〜と専務にびしばしプレッシャーをかけていました。
さて、本日の主役の蘇芳さんと紫さんですが、今日はもう係の人の指示に従うだけです。紫さんは、なるようになるわ〜と大きく構えています。やっぱり男前です。
乾杯に祝辞、余興と滞りなく進行していきます。職場結婚なので、会社の人が一番多くなります。
もちろん、チーム高橋は全員参加です。二次会の幹事はふじこちゃんと青木君がやってくれます。紫さんはこの二人つきあってるんじゃないかと最近思ってたりします。蘇芳さんはどうかな〜と首をひねっていますが、紫さんは女のカンよ!と自信満々です。
お色直しに一時退場して、ウエディングドレスに着替えます。お化粧をドレス用に変え鏡を見つめると、そこには、きらきらしたお姫さまがいました。
会場の扉の前で、蘇芳さんと腕を組みます。グレーのタキシードを着た蘇芳さんは2割り増しカッコいいと紫さんは心の中でつぶやきました。蘇芳さんもティアラをつけドレスを纏った紫さんに見とれています。
よろしいですかと係の人から声がかかります。二人は、にこっと笑い合うとうなずきました。
扉が開かれます。割れんばかりの拍手に迎えられました。
蘇芳さんと紫さんは、一礼すると夫婦として一歩を踏み出したのでした。
*
騎士に守られていたお姫さまは、こうして騎士改め王子さまと無事結ばれたのでした。
Fin.
ふじこちゃんの番外編を書きたいので、連載中のままにします。




