【第一章総集編】鴉の手記①
【注意】これは第一章の内容をまとめた総集編となります。
ネタバレで問題ない方のみ、以下をお読みください。
ここに一つの書簡がある。
鴉の羽が一枚添えられたその文書には、東西セルディア王国間で起こった呆気ない戦争について記されていた。仮に「鴉の手記」と称し、以下に全文を記載する。
三月某日
西セルディア王国は、隣国であり長年の友好国でもあったヴァルクレウス王国(旧称:東セルディア王国)から突如として攻め込まれ、宣戦布告から一月もしない内に滅亡した。
その発端となったのは、東の王子アレクシスから西の聖女アウレリアへの求婚であった。
アウレリアはこの三月に十六の成人を迎えたばかり。伝説の聖女と同じ黄金の髪と瞳を持っていたことにより王家に召し上げられ、養女として聖女離宮で育てられていた。だが、その実態は王室に黄金の血を受け継がせるための監禁と変わりなかった。
王家に発見されてより十一年間、離宮から一歩も出たことのない彼女は、国の滅亡により、突如外の世界へと飛び立つこととなる。
聖女の供は護衛騎士のユリウスただ一人。黄金色しか持たない少女はこうして苦難の道を歩き始めた。
一方、アウレリアを長年粗略に扱ってきた国王は、廷臣たちの反逆により惨殺され、首を切り落とされた。王弟の遺児ヘリオス王子を次期国王にしようとする一派が、あらかじめ東側と密約を結んでいたのである。
だが、その貴族たちは東の侵攻軍を王宮に招き入れた直後、反逆者として全員処刑される。東の王子アレクシスは初めから西の反国王貴族たちを利用するだけして使い捨てるつもりであった。
こうして西セルディア王国は滅び、王宮の塔には東の紅旗が掲げられた。
統治者が変わったことをその黄金の目に焼きつけながら、アウレリアとユリウスの二人は長い旅路へと向かっていった。




