【第四章総集編】鴉の手記④
アウレリアとユリウスはさらに北を目指していた。天然の要害であるアルティス山脈の向こうには、ユリウスがかつて見習いとして配属されていた北方警備隊がいる。蛮族対応のため王都陥落時には動けなかったが、この北方警備隊は国内最強とも呼ばれる軍事力を持っていた。
その道中で、二人は地図にない村でなぜか火炙りにされかけていた少女を救う。彼女の名はミリア。つい先日、焼き討ちに遭って滅ぼされたエピオナの生き残りの医師であった。
エピオナを突如焼き討ちしたのは、皇后ベルダとその配下の聖騎士団。突然街が襲われた理由も、はぐれた父の消息も不明なミリアに、アウレリアは自分たちも一緒についていくと宣言する。
ミリアは出会った直後に食中毒で倒れたユリウスの命の恩人でもあった。
本来目指していた北方とは真逆ではあったが、ユリウスは押し切られる形で了承した。
初めての船旅で難儀しつつも彼らはエピオナに到着した。
そこは一面焼け野原。黒い煤と瓦礫と焼死体だけが転がる凄惨な現場で、ミリアは父の焼けた遺体と対面する。だが、悲しみに暮れている暇もなく、彼らは巡回していた東軍兵に発見されてしまう。
ユリウスが囮となって兵たちに捕まり、アウレリアとミリアは何とかいったんは逃亡に成功した。だが、アウレリアは今度こそ自分がユリウスを助けようと決意する。染め粉を落とし、まばゆい黄金の髪をさらして彼女はユリウスが囚われている砦に向かい、聖女アウレリアの名を堂々と名乗った。
しかし、聖女を見つけた者に褒賞を与えるという東軍の告知のせいで偽聖女があふれており、疑われたアウレリアは、ついでにミリアも一緒にユリウスのいる地下牢に放り込まれる。
結局三人仲良く東軍に捕らえられ、彼らは東の王都ヴァルディスへと送られた。
そこでアウレリアはついに敵の総司令であるレックスと対面する。国を奪い、ミリアの故郷を焼いた残虐な敵だと思い込んで対峙したアウレリアだったが、敵の実像は想像とは大きく異なっていた。
あまり手荒にも扱われず、ユリウスとミリアに会わせてほしいという願いも聞き入れられ、敵とは何かを彼女は考え始めたのだった。




