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黄金のアウレリア ―セルディア王国記―  作者: 北峰
第一部 黄金の聖女

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【第三章総集編】鴉の手記③

 王宮を脱出したアウレリアとユリウスの二人は、追手から逃れながら国土を北上していた。

 北の山脈近くにはまだ東軍の手が及ばない砦があるだろうと予測し、そこへ身を寄せるつもりだったのである。

 一目で聖女とわかる身なりを偽装するため、アウレリアは長い髪を切り、染め粉で目立たない色に染め、「レーナ」という偽名を使ってユリウスとは兄妹のふりをして逃亡の日々を過ごした。


 長年離宮に閉じ込められて暮らしてきたアウレリアにとって、王国の滅亡は同時に鳥籠からの解放でもあった。見るもの全てが珍しく、馬に乗って野を駆け、焚火を囲んで食事をし、市場で貨幣を使ってパンを買うなどの当たり前のことを少しずつ学んでいった。


 一方、アウレリアを守りながら旅を続けるユリウスは精神的に削られていった。特にアウレリアが自ら選んだ「レーナ」という偽名。これは彼女が五歳までそう呼ばれていた本名だが、本人はその記憶を失っていた。

 その事実を知るユリウスは、彼女の無垢なふるまいを間近で見続けることによって自身の罪悪感を呼び起こされていたのである。


 そしてユリウスが助けを求めるつもりで向かっていた砦は、すでに東に恭順していた。

 父マクシムの用意していた逃亡経路はここまでであった。この先は彼らの選択と判断に任される。

 道を断たれたユリウスは、主を抱え、ただあてもなく漂うしかなかった。

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