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ジッパーズ  作者: SNEO
1/8

01 就職活動は慎重に!

「灰次、忘れ物はないかい?」

「ああ、大丈夫だよ、母さん」

 灰次は靴紐を結んで、答えた。

「喧嘩ばっかりやってたあんたが就職出来るなんてねー。ちゃんと感謝するんだよ」

「わかってるよ」

 電車に乗って1時間ほどの場所にあるぼろぼろのビル。そこに灰次の就職先である「ジッパーズ」はあった。ビルに入ると、黴臭い匂いが充満している。このビルの3階にオフィスがある。

「よく考えたら、何やってる会社か知らないな」

 灰次はつぶやいてエレベーターのボタンを押す。エレベーターの扉が開くと、中にはボコボコに殴られて気絶した男が二人重なっている。

「お取り込み中……?」

 灰次は階段で3階に上がった。

「今日からお世話になる仮屋灰次です。よろしくお願いします」

 扉を開けて、頭を下げる。フロアにいたスーツの男達の視線が一斉に灰次に注がれる。金髪の男が近づいてきて、

「おお、何だテメエは」

 と低い声を出す。

「やめとけ、未来。そいつは今日から入る新人くんだ」

 奥に座っている男はこちらに背を向けたまま、ゆっくりと言った。それでも未来は、灰次の顔をじろじろと眺め、最後に、

「俺は寛次屋未来ってんだ。今度しょうもないこと言ったら、ぶっ殺すぞ」

 とすごんだ。灰次は、心の中で「挨拶しただけだろうが」とつっこんでおいた。フロアを見渡すと、どうも皆普通のサラリーマンには見えない。と、後ろの扉が開き、スーツ姿の男が一人と、ポロシャツの男が入ってきた。

「今日から世話になります、小田誠です」

 ポロシャツが大きな声で言う。続いてスーツが、小さな声で、

「藤吉咲。よろしくお願いします」

 と言った。未来がまたつっかかってきて、全く同じやり取りが繰り広げられる。

 何なんだ、この会社。俺はとんでもないとこに来ちまったのかもしれない……と灰次は激しく後悔した。

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