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習作時代  作者: 中川 篤
煉獄篇
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41話(日記 2010)


2010年5月5日 今日から日記を書き始めようと思う。「ショウ」はしばらく休みだ。朝から夕までずっと、図書館の社会人読書室に居た。勉強だ。朝井リョウ君には感謝したい。彼が、新聞で激賞されているのを見なければ、僕はダメだっただろうから。でも、小説は買わない。家で、よこみね議員の選挙のチラシを見た。えらい人だ。自分は、母や父の背中に尊さを感じたことが一度でもあったろうか。よこみね議員のチラシを写真の横にピンでとめてみた。集中できる訳がねえ。はがす。



6日 午前、八千円出して、中国語のテキストと辞書を買ったが、昔の悪夢を思い出した。英単語を何べんも書き写し、なかなか上達し、すべて忘れてしまったという悪夢。考えてもみれば、テキストは解読ができるようにはなるだろう。もしかしたら本も、一冊か二冊は読めるようになるかもしれない。けど、役に立つかなあ。午後は、四時半まで図書館にいた。昨日よりずっと空いてた。放送大学のテキスト(社会における芸術)の一章を読んだ。読み終えたのが四時頃、その後、ロシアの本(地理)を読んだ。それから、家に帰った。「ショウ」に加筆したが、面白くなかったから消した。いつでもまた書き出せるよう(それが何年後かは分からないが)、「おかえり」と書いたのだ。それにしてもなんて淋しい一日! 「ショウ」はやはり自分の生活に必要だ。疲労を減らすために書くことをやめたが……何てつまらない動機なんだろう! 今日からまた書こう。今の生活はいい傾向なのかもしれないが、辛島先生が知ったら怒るだろう。タオルを投げるに間違いない。



7日 今朝は、早起きしてパワースポットに行く。つまり、寺に母と落ち葉を掃きに行った。これは、なかなか手間がかかる作業だったが、掃き終えた後は、スッキリとした感じになった。けっこう悪くないとも思えた。朝食に、パンを三四枚、バターとジャムとで食べた。九時半頃、デイケアに行った。県立大学から見習の人が一名来てた。午後農作業に行く。農作業は最初は「へま」ばかりだったが、水を撒いたり、農薬を撒いたり、雑草を取ったりする内、作業が好きになって来た。楽しく作業できた。長く続けばいいなと思ったが、雨が降ってきて、途中で中止になった。帰りの車内はすごく眠かった。メガネの人から、アメ玉をもらう。もらって思ったんだけど、悪いことに対しては、すぐ「何かあるぞ」って思うんだけど、親切には何も感じねえんだ。誰もアメ玉をくれなくなる前に、このことに気づいたのはよかった。今日のデイケアの話はこれくらいにしておこうと思う。帰途は雨で濡れた。いい本をちゃんと読まないと心は濁る。と、いうことを発見した。



8日、昼 今朝もお寺に落葉を掃きに行った。ああいう大木の下で働くのは、気持ちがいいもんだ。家に帰ってから、「ゲゲゲの女房」を見た。それから本(宮本武蔵、トム・ソーヤーの冒険)を読んだ。


 午後、5時20分 昼食を父と、「すき家」に食べに行った。それから放送大学に勉強に行った。なんだか通りで見る看板看板が、いつもと違って見えた放送大学の学習センターに着いた時、とても本は読める状態じゃなかった。一ページも読めずに帰った。帰り道、自分の思想は不健全だと、何度も思った。勉強は打ち切らねばならない、と思った。挫折だ、と思った。しょんぼりして、落ち込みながら歩いた。帰り道、子供の泣く声がした。坂の上の寺からだった。身代わり地蔵のある所だった。行ってみると、何だか行内があったんで見た。気分が変わった。そしたら、すっと肩の荷が取れた。肩を落としてしょんぼりしているから、嫌な方に方に事が運ぶんだ。それでも、家に帰る電車の中は辛かった。花屋でちいさなバラを買って家に戻った。母に勉強のことを話した。それから、日記を書いた。7:20



9日 日曜日の朝 あまりいい夢を見なかった。今は、そんなこと忘れてしまったが、あまりいい夢を見なかった。今朝は、寺に行くかどうか少し迷ったが、部屋にじっとしているよりはいいかもしれないと思い、部屋を掃除して出かけた。夢のいやな感じが、まだいくらか残ってたせいかもしれなかった。クスノキ大木の周りを掃いた。昨日より、素早く、簡単に掃くことが出来たように思う。クスノキは立派だが、周りをきれいにしてやると、それが一層立派だ。参拝客が来た。寺の人が来た。お墓参りの人が来た。自分はどう映ったろう。勉強を始めてから、4日立つ。出だしは悪い。家に戻って「ゲゲゲの女房」を見ようと思ったが日曜日なのでやってなかった。代わりに「週刊子どもニュース」を見る。一年生特集。『嘘のない稽古』


3時半 三笠公園でカレーフェスティバルがあるらしいので行った。騒々しいのは覚悟の上でだ。暑かった。通る人通る人皆薄着だ。自分の服層が厚っ苦しくてたまらなかった。久しぶりの横須賀にはメイド喫茶が出来てた。中国人の店が(同列に並べるのは失礼だが)出来てた。その時は、古い横須賀が買い叩かれたようで悲しかったが、現実を知れたのはよかった。中国人が嫌いな訳じゃない。この店だって長い目で見りゃ、また横須賀になる訳だもの。カレーフェスティバルには人が大勢いた。興行師(掛け合いがうまい)にジャグラー、赤い服着た手品師。カレーも色々だった。ラッキョウカレー、卵丼カレー、チャンピオンカレー(行列)の横の引き立て役みたいなカレーを食べた。それから、ここへ来た目的、つまり「戦艦三笠に乗る」を果たして家に戻った。4:03


 夜 きたねえ言葉をガンガン使ってやりてえ気分だ。今日出会った人間を片っ端から口撃してやろうか。いや、よそう。4時頃から履歴書を書いた。手間取った。その学歴の貧弱なこと! 途中龍馬伝が始まり中断。今日は、熱が入ってるはいってる。



10日、日曜日 今朝はお寺へは行かなかった。神様に頼るのはいいことじゃない。退屈な朝。平凡な朝。なあーんもねえ朝。9:30




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