七月
掲載日:2024/08/29
七月
七月には
夏がぐんぐんと
眠ることも、休むこともせずに育っていく
入道雲はもくもくと力一杯
真っ青な空に城を建てる
もう駆け足は始まり
熱い砂に埋もれそうになる真っ白な裸足が
かかとに絡みついてくる波と争いながら
いつまでも走り続ける
紺碧の水平線のゆるやかな弧は
片思いの恋のように
一定の距離を保ち続けるのに
どうして胸が掻きむしられる切なさを感じるのだろう
入道雲のてっぺんに立って
七月は見下ろす
真っ白な砂浜に埋められた
薄桃色の二つに割れたハートの形をした貝殻
大きく流れる天の川
運命、巡り合い、恋慕
流されずに渡りついた岸辺はどちらの岸辺
対岸を振り返ることはもうしたくない
午後の微睡
汗ばんだ微風が軒下の風鈴にふれる
チロ〜〜ンと眠たげな音を立てる
空は抜けるように青い




