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「求職中ですので、何か良いコネとかありませんか?」

「丁度よかった」

「へっ?」


私の冗談交じりの提案に、ユーリアスは不敵な笑みを浮かべた。

嫌な予感がとてもする。


「そんな悪魔が契約でも持ちかけてきたような表情をして。

 君は一体、僕のことを何だと思っているんだ?」

「変な人だとは思っています」


そうハッキリと言ってやると、意外にもユーリアスは嬉しそうに笑って見せた。


「そうか変人か。初めて言われたよ」

「初めてって…一目見ただけでそう思いましたよ。

 それとも周囲の人みんな変人なんですか!?」


周囲の人もみんなズレてて気づかないのか。

それとも注意して貰えない程に関わることを嫌がられているのか。

少しだけユーリアスに同情してしまう。


「それでどうかな?仕事。引き受けてくれるかな?」

「それは業務内容次第です。

 一体何をさせられるんですか?」


この男だ。森に行かされ未知の昆虫でも探しに行かされそうだ。

何ならこの男自身も探検に参加しそうな程には。


「なんか警戒されてるね。

 別にそう難しくなく、危なくない仕事だよ」


ユーリアスは白紙の紙を1枚取ると、さっとペンを走らせる。

その筆記音は軽やかで、躊躇いもなく、心地よさすら感じさせた。

根拠は無いものの育ちの良さを伺わせた。


「はい、こんな感じ。

 読んだらサインしてね」


差し出された紙を見ると、契約書と見出しがあり、その下にはこの短時間で書かれたと思えない程びっしりと文字が書き連ねられていた。


「簡単にまとめるなら、僕の秘書役だと思って貰えたらいいよ。

 基本的に僕と一緒に居て、事務仕事とか身の回りの雑務を手伝って貰えたら。

 報酬に関しては君が適正だと思う金額を使えばいいよ。全財産欲しいと言えば―――」

「あの…ユーリアスさん…これ―――」


私は震える手つきで顔を上げた。


びっしりと書かれた文字列。遠まわしに書かれた文章。

何度も読み直し、解釈が間違っていないか考え、そして何度も同じ結論に至る。


「これ…婚姻に関する契約書じゃないですか?」

「…この短時間で読み終わり、ちゃんと内容を理解するなんて。

本当に君は優秀だ」


ユーリアスは驚いた表情を浮かべながらも、笑顔で答えた。


「アネモネ。僕と婚姻関係を結んで欲しい」



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