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私が生徒会長として表舞台に出てしばらく経った。
生徒会役員には私とユーリアス、アイン。そして妹のシスタ。
突然の生徒会長の変更には一時的には関心を向けたものの、すぐに興味はなくなったようで話題にすら上げられなくなった。
相変わらず問題がなければ良い、というスタンスなのだろう。
そう言った意味では第三王子のユーリアスが生徒会に加入するというニュースが、一番学園を騒がせた。
第三王子に学園の仕事をさせてもいいのか、とか。
王子が居るなら私も生徒会に入りたい、とか。
それらはユーリアスが上手いこと言いくるめて事なきを得たが、結果的に役員がこれ以上増えることもなくなった。
妹のシスタとの関係は、昔に戻ったように良好な関係を築いていた。
「ユーリアスさん、少しお姉ちゃんに近すぎでは?」
「義妹のシスタさん。自分の妻と近すぎるなんてことはないのでは?」
「まだ結婚していませんが―――!!?」
「…」
…少し反動でシスコン気味になっている気がしないでもないけど、それでも良好だろう。うん。
あれから実家とも一悶着あり、それでいてまだまだ解決には遠い問題だがそれでも一区切りつけることが出来た。
シスタ曰く、卒業後は本腰入れて改革をするとかなんとか。
あの日、私は家を捨てる覚悟をしていたし、今でも両親のことを完全には許せていない。
それでもシスタが頑張ると言ったのだから、私は見守りたいと思う。
いつの日か、両親とも笑って話せるように。
「アネモネさん、新刊はもう読まれましたか?」
「もちろん!!発売日に徹夜して読んだよ」
「ですよね、ですよね!!
私も何度も読み返して―――」
アインさんとは良き友人、良き読書家の同士として仲良くやっている。
彼女も私と出会った時と比べて明るくなったように思える。
理由の一端としては生徒会に加入したからだと思いたい。
今まで庶民の出だからと見下していた人たちも、テキパキと仕事をこなす姿を見たら考え方が変わったのだろう。
何より彼女の才能が凄かった。それはもうこの学園、この国に歴史を残すほどに―――。
卒業後は王国の研究施設で働くことが既に決まっている。何なら今すぐ来て欲しいと言われている。
が、まだまだ私たちとの学園生活をしたいということで、卒業まで待ってもらっている。
それでも王国が運営する研究所ならば、きっと卒業後も会うことが出来るだろう。
彼女とはまだまだ長い付き合いになりそうだ。
そして―――。
「ほら、僕の目に狂いはなかっただろ?」
「―――そうですね」
ユーリアスの言葉に私は素直に頷く。
あの時彼が救ってくれなければ、私は今も独りぼっちだったのだろう。
「ありがとうございます」
皆で騒ぎながら業務をこなす光景を見ながら、私はポツリと漏らした。
「…いつになく素直だね」
「私は割といつも素直だと思いますけど?」
「そういう所だと思うよ」
私は頬を膨らませて抗議する。
彼は笑っていた。
「僕も感謝してるよ、退屈から救ってくれて
そしてこれからも…死ぬまで楽しませて欲しい」
「…はい、もちろんです」
きっと彼との今後の人生は、決して飽きることの無い日々になるだろう。
私はそんな未来に胸を膨らませた。
最後までお付き合い頂いてありがとうございました!!
本小説はこれにて完結になります。
またどこかで見かけたら、その際はよろしくお願いします