18
私たちは泣きじゃくりながら、本音で互いのことを話した。
何分、何時間と。一体どれだけの時間が経ったかわからない。
気づくと辺りは暗くなっており、下校時刻はとうに過ぎていた。
私は泣き疲れ眠ってしまったシスタの頭を撫でながら、これからどうするべきかと考えた。
「そろそろ入ってもいいかな?」
「…ずっと居たんですか」
そういうとユーリアスは保健室の扉を開けた。
その姿は王族であるにも関わらず、ところどころ汚れが付いている。
「前に話した通り、僕は待つことは苦手じゃないからね。
まぁ、今回ばかりは少し無粋かとも思ったけど許して欲しい」
「…わかりました」
妹との会話を聞かれていたと思うと、恥ずかしい気持ちはあるものの、下手に途中で会話に入られるよりかはまだマシだろうか。
「下校時刻については気にしないで大丈夫だよ。
僕から教師に言っておいた。何なら泊っても問題ない」
「ありがとうございます。
ただシスタが起きたら帰ろうとは思っています」
学園にも迷惑が掛かるだろうし、シスタもお風呂に入りたいだろう。
逆に言えばシスタが起きるまでは時間が出来たということだ。
私は疑問に思っていたことを聞いてみた。
「ユーリアス様…。
他の生徒会役員についてはご存じでしょうか?」
私が生徒会の業務に関わらなくなって、シスタは一人で仕事をこなそうとしていた。
もし他に役員が居れば、こんなことには―――
「いないよ。今回の件の前からね。
ずっと生徒会は生徒会長のシスタさんと、役員ですらない君だけで運営されてきた」
「…」
衝撃の事実と同時に納得も出来た。
道理で他の役員の顔も名前も知らないはずだ。
「どうして…」
「それについては僕より妹さんに聞いた方がいいさ。
まぁ、おおよそ見当が付くけどね」
「…そうですね」
今は生徒会役員がいないという事実だけ受け入れることにした。
私は眠る妹の頭を撫でる。
互いの話を聞き、受け入れ、和解することができた。
今までは恐怖の対象だった妹は、今は何よりも愛おしかった。
だから今度こそ、私は守りたい。
「ユーリアス様。一つ、お願いがあります」
私は覚悟を決めた。
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