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妹をユーリアスに預けると、私は5日ぶりに生徒会室へと足を運んだ。
扉を開けてまず目に入ったのは、書類の山だった。
読むだけで1日が終わってしまいそうな量に、急いでいたのか一部の書類は床へと無造作に落ちてしまっていた。
ただわかることとして、生徒会の仕事はシスタ1人でやっていたのだろう。
他の生徒会役員や教師はどうなったのか。
疑問は残るが今は敢えて考えないことにした。
妹が持っていた書類に目を通す。
不器用ながらもどうにか書こうとして、それでも間に合わなかった書類。
期日は2日程過ぎていた。
私は速やかにそれを片付けて、職員室へ届けようとした。
すると生徒会室と扉が、初めて開いた。
「君の妹さんはちゃんと送り届けたよ」
「アネモネさん、私に手伝えることはありませんか!!」
ユーリアスとアインさんがそこには立っていた。
「二人とも授業は…?」
まだこの時間は授業中のはずだ。
だけど二人は極々当たり前のように言ってのけた。
「僕は元々出席してもしなくいい身だからね。
堂々とサボらせてもらったよ」
「私はそういうわけでもないですが―――私なんて居ても居なくても一緒ですし。
それに授業で習う内容ぐらいなら頭に入っていますので…」
『それにアネモネ(さん)が困っていますから』
「…そうですか、ありがとうございます」
素直に私は感謝を述べて、そして生まれて初めてこの言葉を使った。
「どうか私を手伝ってください」
今まではたった一人で仕事をし続けてきた。
どれだけ量が多くても、自分が頑張ればいいと思っていた。
だけどそれは頑張りではなかった。
頑張らない為に、無理をしていたに過ぎない。
本当に頑張るべきは―――誰かに頼るということだった。
断られることを恐れず、申し訳なさを感じながらも、我が妹のように頭を下げるべきだった。
『もちろん』
この日、私は初めて生徒会業務を分担した。
ここ数日の睡眠不足の解消、メンタル面の回復により、以前よりも作業スピードは速くなっていた。
そして何より、みんなで協力してこなすことで、業務効率は格段に向上した。
私は生まれて初めて、この生徒会の仕事を楽しいと思うことが出来た。
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