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私が生徒会の仕事を放棄して3日目の朝。
クラスメイト達の私に向ける視線が少し変わった気がした。
数日前までは常に見下していたのに、今では好奇と奇異の含んだものへと変わっていた。
それはきっとユーリアスが学園に編入し、更に私と婚約関係にあると発表したからだろう。
数日前まで見下していた相手が第3王子との婚約。
童話にでも出てきそうなシンデレラストーリーだろう。
だが理由はきっとそれだけではない。
「これで合っていますか」
「…正解です。よく勉強してきましたね」
教師に指名された問題を解いて見せた。
その様子に教師や他の生徒たちは面を食らったような顔をしていた。
きっと私が解けないと思いながら指名したのだろう。
実際、以前での私なら解けなかったと思う。
だが生徒会の業務から解放されたことで、今までの不勉強を取り戻すように学業に打ち込むことが出来た。
睡眠時間が確保されたことで、授業中の集中力が格段に増した。
放課後に時間が出来たので、今までの抜け落ちていた分を学びなおすことが出来た。
きっとこの調子なら、次のテストでは多少順位を上げることが出来るだろう。
「今日はなんだかご機嫌だね。
顔色も良くなったし、服も似合っている」
「…ありがとうございます」
そして生徒会の業務から解放されたことで得られた時間は、何も勉強だけに注ぎ込まれたわけではなかった。
買い物を楽しむ時間。食事をゆっくり楽しむ時間。そしてほんの少しだけどオシャレに気を遣う時間が出来た。
楽しみが増えることで活力が湧いてくる。
考え方はポジティブになるし、脳みそも活性化されている気がする。
何より少しだけ自分のことを好きになれた。
「この後は暇かな?
買い物に付き合って欲しいんだ」
「おかげ様で空いていますよ。
一体何を買われるんですか?」
王子の買い物というのには興味があった。
馬車一杯に商品を買ったり、お店一棟を貸し切ったりするのだろうか?
「いくら王族でも君が思ってるようなことは流石にしないよ。
あんまり民の反発の買うようなことはしない」
「そういうものですか」
サラッと心を読まれている気がするが、今更なので気にしないことにする。
この王子でも国民への感情は気にするものなのは意外だった。
話は逸れたけど何を買うのか。その質問に答えて貰っていない。
私はそう思い彼の方を見ると…照れている様子だった。
「君に似合うアクセサリーでも選びたいなって…」
「…」
私は心の中でガッツポーズをした。
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