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にゃんとも不思議な異世界生活始めましたにゃ  作者: YUUURI
第2章  町の名はバルバです
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4。急かされるにゃ

 マサが理解に苦しんでいる最中、お嬢様の言葉によってリコの怒りは頂点に達し、一気に牙を剥いた。


「失礼ですがあなたの頭は大丈夫ですかご自分のおっしゃられている意味がお分かりになられていないんじゃありませんかだってあり得ないでしょうまさか新手の人さらいなんですかそうで無ければこの様な失礼極まりない言動をするはずが無いですよね頭が湧きまくって脳味噌が溶けてしまっていないか確認したら良いですよ?」   


 句読点や息継ぎ無く、凄い速さで捲し立てるリコ。


 お嬢様御一行はドン引きしていますが、鞄の中の子猫達はさっきから『ウニャラウニャラ』と喜びの声を上げていますよ?

 俺ですか? 俺は頼もしいリコさんの後ろに隠されています……。

 このお嬢様は変だし、リコさんはマジ怒してますから……。


 先に我に返ったのは、いけ好かないブライという男だった。


「なっ、なんて無礼な!! 貴様の様な下賤な者が、お嬢様に向かって!! おい、お前達!! こいつらを捕まえろ!!」


 いきなり指図された冒険者達は流石にカチンときたようで、各々が怒りの形相を見せ始めた。


「いい加減にしてくれよ!! 俺達は護衛として雇われただけだ!! 召使や従者じゃないんだ!!」


「そうだよ!! 何か勘違いしてるんじゃないのか? 契約内容をみてみろよ、どこに『小間使いも承ります』なんて書いて有るってんだよ!!」


「人さらいまでさせようなんて、バルバの『ベスラン商会』ってのは闇の組織だったわけ? 冗談じゃねえ!!」


「この子達は何もしてないだろう!! いくらあの男の子の事を、お嬢様が気に入ったからって、あんた達頭は大丈夫なのか? それって犯罪だぞ!!」


 相当、我慢していたのか、口々に言いたい事を吐き出し始めたのだが。


「たかだか冒険者風情が何を言っている!! 金は払ってやるから指示された通りに動け!!」


 マサはお嬢様一行が揉めだした様子を見ながら。


 オジョウサマガ、オトコノコヲキニイッタ????

 ……お嬢様が……、男の子を……気に入った……だとぉ!?


 意味が理解できるとマサは怒りが湧いて来た。


 てめぇら、ふざけんじゃねぇぞ!?


 そう思って口を開きかけた時だった。


「逃げるよ!!」


 突然、マサの手を掴んだリコが走り出した。


「あっ、お待ちなさい!!」


 お嬢様が目ざとく気付いたが、マサ達は道を逸れ草原を猛ダッシュ駆けて行く。


「あんな頭のいかれた輩に関わったら、どんな罪を被せて来るか分かったもんじゃない」


 ある程度走り、馬車が見えなくなったのを確認すると、リコは吐き捨てるようにそう言った。


「あれって、マサが気に入ったから自分の所で働かせようとしたんだよね? っていうか……当たり前に、誰でも言う事を聞くもんだって前提で話してなかった? マジで怖いんだけど」


 自分の体に腕を巻き付け、身震いを始めたリコ。


「俺だって怖かったよ……。道理が通じない相手って、マジで恐怖を感じるんだけど……」


「バルバの『ベスラン商会』って言ってたよね? 近づかない様に気をつけようね? 町自体は大きいみたいだから、会う心配は少ないかも知れないけど、用心に越した事はないよね」


 野営地で一緒になればまた絡まれるだろうという話になり、草原を斜めに突っ切って、一足先にバルバに向かう事になった。

 このまま行けば、今日中に辿り付けそうである。

 念の為、腕時計の機能【認識阻害】を使う事も忘れない。




 事前情報では、バルバはセイタルよりも大きな町で、商業が盛んな場所だそうだ。

 町の門は東西南北4ヵ所有り、どの街道も商人の馬車で溢れているらしい。


 夕刻迫る頃。

 マサ達は【認識阻害】をシレっと解除して、気づかれぬよう街道に出た。

 門には入口が幾つも有り、まるで高速道路の料金所を思わせる造りになっている。

 並ぶ場所も決まりが有るようで、冒険者専用門と書かれた行列には狩から帰った冒険者が列をなしていのだが、行列の最後尾に並んでも、思いのほか早く入門する事が出来た。

 門番さんに聞くと、ここは商売が盛んな町の為、素材を持ち込む冒険者はそこそこ優遇されているんだとか。

 その一環で、町の出入りも簡素化されているらしい。

 実際、カード提示と犯罪歴確認の水晶を触るだけで済んでいる。

 他の町では、見慣れない者は別室に呼ばれ、根掘り葉掘り尋問を受ける場合が有ると聞いていたので、大変助かった。


 門を抜けると、幅の広い道路を挟んだ向こう側が大きな広場になっていた。

 時間が遅かった為、屋台は帰り支度を始めている姿が見られるが、町に戻った冒険者狙いで営業している屋台も多くある。

 案の定、うちの毛玉達が鞄から這い出して騒ぎ出した。


「(凄く良い匂いがします!! これは絶対に美味しいはずですよ!!)」


「(早くいくにゃ!! これは間違い無いにゃ!!)」


 ルビィに至ってはマサの肩まで登ると、肉球でぺチペチと後頭部を叩く始末だ。


「いたっ、痛いって。行くから興奮するなよ。危ないだろ?」


「そうだよ、ルーちゃん。初めての町だから危険な事も有るでしょう? 二人共鞄に入っていてね?」


「(分かったにゃ!! だから早くいくにゃ!!)」


「(大人しくしてますから早くいきましょう!!)」


 いそいそと胸元のボディバッグに収まると、早くしろと急かす毛玉達。


 二人は新しい町を堪能する暇も無く、慌てて屋台まで走るのであった。 

お読み頂き、ありがとうございます。

少しでも面白かったと思って頂けたなら、次作への励みになりますのでブックマーク・評価・いいねを宜しく願いします。


そして、ブックマーク・評価・いいねを下さった皆様、本当にありがとうございます。

今後も頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。

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